神よ総帥を救い給え
「ミハイル……」
「なんだ?誰かが呼んでいる……」
「目覚めなさい……ミハイル…………」
「母……さん………?」
目を開けるとそこは真っ白な空間だった
そうか……俺は………
負けたんだ
不思議と何も感じない、悔しいはずなのに悲しいはずなのに何も感じない
気がつくと目の前に誰かがいた
母さん……では無かった
白く輝き、輪郭しか見えないが確かに何かがいた
「あなたは、役目を終えました…」
「……死んだのか……」
「………はい、あなたは己の使命を全うしました………使命に生き、使命に死んだのです……」
「あれが使命…?笑わせないでくれ」
「いいえ、あれは貴方に課せられた使命、神の試練です」
「神?神だって?あの大虐殺が神の使命だって言うのか?ふざけるな!」
「………貴方は神の試練を乗り越えた者として、2つの選択ができます
一つはその汚れた魂を清め、生命の部屋に帰る… もう一つは神の力を授かりここではないどこかに生まれ変わる…」
「待ってくれ、神の力?神の力って何だ」
「そのままの意味です 貴方は人類の歴史に残る偉大な人物です そんな貴方に神の力を授け、もう一度人生をやり直すことが出来るのです…」
「そ、その神の力って……何でも…いいのか?」
「はい 構いません 貴方の望む「全てを作り替える力」でも…」
「おい…おい!何でだよ…!何でそんな力を寄越せるならもっと早くくれなかったんだよ!!」
「………まだ分かっていないようですね………貴方の試練はその献身をもって完遂するものなのです……」
「………!つまり……俺が死んでやっと成し遂げたって事なのか……?」
「はい、その通りです」
「…………うっ……ふざけんな………ふざけんなよぉぉぉ!!あんまりじゃねぇかよぉぉぉ!!」
ノイマンは泣き崩れた 自分の無力のせいでどれだけの人間が犠牲になったのか
その重すぎる重圧にノイマンは打ちひしがれていた
「……………もう大丈夫ですか…?」
ひとしきり泣いたノイマンは涙を拭い深呼吸した
「……………ああ……分かった…その力をくれ……その『万物を創造する力』を俺にくれ!!」
「分かりました ミハイル・ノイマン 貴方にはその資格があります ただしその力は神にも値する力…制限をかけさせて頂きます…
貴方は新たな肉体を得て 生まれ変わるのです… ではまた会いましょう……」
強い光に包み込まれたノイマンは再び意識を失ったのだった………
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思い出した…
全て思い出した……
カインは自身の悲惨な後世をほとんど忘れていた
光り輝いていた青春時代と、辛い感情と望んだ力と共に転生したと言うことくらいしか覚えていなかったのだ
目が覚めると、目の前に大男がいた
大男は大粒の涙を流し佇んでいた
「……ミハイル………いや、カイン……お前は…俺と同じだ……」
ガバッと小さい体を抱き寄せられると、その胸板の厚さを直に感じた
「お、おい!はーなーせーよー!」
カインはなんとか逃れようとジタバタしたが、全く動けなかった
「カイン…勝手に頭ん中覗いて悪かったな…!やはりお前は俺が思った通りの男だった!」
何言ってるのか分からないまま抵抗することを諦めたカインは脱力した
「で、何が言いたいんですか?」
「いやな、俺も似たような境遇でな…つい熱くなっちまったんだ それにカイン!お前のその能力気に入った!是非お前をスカウトしたい!」
「あぁスカウトね…って、はぁ!?」
唐突なヘッドハンティングについノッテしまった
「あぁ!お前のその力が有れば俺の夢もお前の夢も叶えられるぞ!」
「ちょっと待ってくれ!何で俺が人類の敵の味方しなきゃいけないんだよ!」
「うーん確かに人類からは敵扱いだが…俺としてはちょっと違うんだよ」
「ち、違うって何が…」
「この俺は人類と和平交渉がしたいのさ!」
「………どう言う事?」
あまりにも急すぎる展開に頭がついていかない
「え、人類って魔王に脅かされてるんじゃないの?」
「何言ってるんだ、人間達が勝手に敵視してるだけだ 向こうが先に手を出したのさ」
あっさりと返されてしまった
「…あぁそうか……俺はこのために来たんだった………魔王サタン…様…!この俺にこの世界のことを教えてくれないか?俺はそれを知るためにここに来たんだ!!」
「…!そうかそうか!いいぞ!教えてやる!この世界のことを…何でもな!!」
カインは魔王サタンと共にみんなの居る応接室に戻ったのだった……
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