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出会い

日が傾き始めた頃

カイン達は族長の住居までシルフィ達と馬車に乗っていた

よく分からんデカい犬みたいな四足歩行の魔物が荷台を引いている


族長の家はマーケットを突っ切り里で最も大きい大木に作られたツリーハウスの最上部にいるらしい


何というかタワマンの感覚なんだろうか

この里は大都会でありながらも大自然と上手く共生している

こう言ったツリーハウスはエルフ達の古き良き伝統的な家らしく、文化を象徴するものらしい

大概のエルフは普通の住居に住んでいるそうだ


マーケットのメインストリートを走っていると、ぼんやりと外の景色を見ていたナターリアは視界の端に青い肌を持った目立つ女の子がすすり泣いていることに気がついた


「あ、すみません!ちょっと止めてください!」

サルーがデカい犬の手綱を引くと馬車は止まった


ナターリアは飛び降りると子供の元に駆け寄った


「どうしたの?迷子かな?」

ナターリアはしゃがんでその青い肌の女の子に話しかけた


「うん…そうなの…パパと逸れちゃって…」

女の子は涙目で訴えかけるとナターリアは微笑み

「じゃあ1人だと危ないから一緒に来ない?今から族長さんのところにいくから!」


女の子は目を輝かせた


「うん!行く!」


青い肌の女の子は馬車に乗った


「わぁ〜かわいい!この子どうしたの?」

さっきまで寝てたエマが食いついた


「この子迷子みたいなの 族長さんのところにいた方が安全かなと思って」

まるで母親のような顔をして話すナターリアを見て


「へぇーお前にもそんな一面があるなんてな」

カインが感心していると


「ご主人様は黙ってて下さい」

冷たくあしらわれてしまった


「お名前は何ていうのかな?」

エマがニマニマしながら女の子に聞くと女の子は答えた


「わたし?わたしのなまえはアルティナ!」


「アルティナちゃんか〜あたしはエマ!こっちのお姉ちゃんがナターリアよ!こっちのおじさんがカインさんで、こっちのチビは覚えなくていいわ」


「おい!!」


「あはははは!お兄ちゃんなんて言うの?」


(天使かこの子は…)


「俺の名前はカィ…カザックだよ!」


(あぶねー天使の気に当てられて思わず口が滑るところだった…)


「よろしくねカザックおにいちゃん!」


(グハァッ!そんな純粋な目で俺を見るなぁ…!あとできれば本名で呼んでほしい…)


生まれた時から心の汚れているカインは久々に感じるピュアさに当てられてダメージを負っていた


ナターリアとエマがほっぺをぷにぷにしたりしてペットのように可愛がっているウチに族長の家についた


「着きましたよ!ここがエルフ族族長、シルフィードの家です!」


「ん?シルフィード?え、シルフィってまさか…」


「あ〜よく言われます ウチのおじいちゃんです…」


「「「えぇー!?」」」


なんかもう驚きっぱなしで疲れてしまったカイン達は、大木の中にある転移陣に乗りシルフィの爺ちゃんの部屋に足を踏み入れた ついでに置いておく訳にもいかないのでアルティナも一緒だ


「旅の人…よくぞいらっしゃった…ささ…こちらへ…」


ヨボヨボの小さいエルフが出迎えた

ヨ○ダみたいな風貌をしている


「あ、どうも私カイン伯爵と申します 後ろは…」

一通り自己紹介を済ませると族長は奥の部屋に招き入れた


中は案の定木製で全体的に古いが、中年くらいの家政婦がおり、子綺麗だった


カイン達が奥の来客用の応接室に通されると、家政婦がお茶と菓子を運んできた


「本日はよくお越しくださいました 娘がお世話になってしまって…何か失礼なことは致しませんでしたかな?」


「やだ!もうおじいちゃん!そんな事するわけ無いじゃない!」


(いやお前…最初思っクソ疑ってかかってたじゃん…)


「族長様、お会いできて光栄です 本日は族長様にお話があり伺った次第です」


「ほう…何じゃろうな?」


「魔族や、魔族領について詳しくお話を伺いたいのです 私達人間は魔族のことについて何も知らないに等しいと思ったからです」


族長は細い目を少し開けた

「……ふむ…そうか……そうじゃな…構わんよ…私が知る限りなら教えてやることをできる…じゃがお主ら丁度良かったの……おい、あの方を呼んできてくれ…」


「かしこまりました」

家政婦は部屋を出て行った


「あの方…とは?」

カイン一方は少し騒ついた


数分後…


部屋のドアが開くと……


「あ!パパだ!!」

アルティナが顔を輝かせた


「え?パパ?」

アルティナはナターリアの膝の上を飛び降りてドアに走った


「おぉ!アルティナ!どこ行ってたんだ!心配してたんだぞ!」

男の声が聞こえると……



一同は言葉を失った……



いや、まさか…そんなはずはない………



2mはある巨大に黒くなびくマント、黒と赤を基調とした禍々しい鎧に身を纏い、溢れ出る強大な魔力をたぎらせた筋骨隆々なその肌は青く、無数の古傷がある 頭には山羊のようなツノがあり勇ましい顔つきをした男がそこにいた


「…………つかぬことをお伺いしますが……もしかして…」


「ん?我輩のことか?おほん!人類諸君!我が名はサタン!魔族連合代表!現魔王である!」



「「「「ええぇェェェェェェェェ!!」」」


「パパ寂しかった なでなでして」


「よしよし!もう勝手にどっか行っちゃダメだぞ〜」


家族団欒を楽しむ魔王をよそに、カイン達はパニックになっていた


「ま、魔王…人類の……敵………」

ガタガタと震えるエマ


「お、お、お、落ち着け、絶対に刺激するな!!余計な事すれば殺されるぞ…!落ち着いて背を見せないようにゆっくり離れるんだ…!」

パニックのあまり猛獣を前にした対処法を説くカイン


「ま、まさか、アルティナちゃんが…魔王の娘だなんて……」

なんか驚く所を間違えているナターリア


セバスチャンは驚愕の表情をしていたが、直ぐに跪いた


「これは魔王様!私だけカイン伯爵と申します!お目にかかれるとは何たる光栄!仲間のご無礼をどうかお許しください!」


さすが従者だ、こう言う時はどうすれば良いのか良く心得てる


「…うむ!構わん!面を上げよカイン!其方たちは我が愛娘アルティナの恩人!悪いようにはせんから安心しろ!」


「は!ありがたきお言葉です!」


すると魔王サタンはセバスチャンに近づき耳打ちした


「それと…カイン伯爵、貴様は別人だな?」


ハッとセバスチャンは目を見開いた


「………なぜ、そう思われるのでしょうか?」


「いや、君は人間ではないみたいだからね…そっちの子供がカインだろ?」


全て見破られていた


「このことは娘の恩もあるし内密にしておいてやろう… カインか…面白い奴だな」


サタンはカインの元に歩み寄った


未だにビビってるカインは中腰でゆっくりと後退りしていた


「おいおいそりゃ無いだろ坊主〜」

笑いながら一瞬でカインの前に現れた


「おわぁッ!!」

いきなり距離を詰められたカインは尻餅をついた


「坊主〜お前面白いな〜ちょっと付き合えよ」

「えっ!?ちょっ…」


ガシッとカインを脇腹に抱えて部屋を去って行った………



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