表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/56

09 町に戻ってイベント

 その後は無事に、ダンジョンから出て地上に戻って来た俺達だったが、王城へ報告しにいかなきゃならなった。


 それがこの国のルールだ。


 何かあった場合は、王城へ報告の義務が存在する。もっとインスタントに報告できる場を設けるべきだという声もある。


 しかし、誰が管理するのか?


 という問題がついて回り今のところは、王城へ報告となっている。俺からすれば誰だっていい気はするがそうはいかないのがこの国らしい。


 政治とは難しいものなんだろ。⋯⋯知らないけど。


 王城と言うだけあって、セキュリティが厳しく報告するだけでも何時間もかかるって話しもあるので、俺は行きたくは無かった。まぁ他にも理由はあるんだけど⋯⋯


 だったら他の三人に任せるのが良い。助けたんだから金品を寄越せ。っていうのは冒険者の道徳にかける。しかし、それでも何かしらのお礼はするのが道徳だ。


 それに、報告だけなら別に四人も必要ない。見たものを、体験したことをありのまま話せば良いだけだ。


 王城だって四人分より三人分の調書の方が楽だろう。



「助けたお礼は、王城への報告を皆に任せるから」


「えっ?」


「はいっ?」


「行かないのか?」


「うん、俺には大切な用事があるから、じゃーまたな!」


 それだけ言って俺は足早に逃げた。面倒な事からはそそくさと逃げるに越したことはない。王城へ行けると言うのは一種のステータスらしく冒険者が憧れる場所でもあるそうだが、俺は行きたくない。


 それに俺には焼き肉を食べると言う、大切なイベントが待っているんだ。



 さっさと家に帰ってきた俺は、ゆっくりと風呂に入りダンジョンの汚れを落とす。汚れたままで焼き肉を食べても良かったんだが、せっかく旨いものを食べるなら綺麗な状態で食いたいもんだ。




 ただその選択がミスだった⋯⋯

 そのまま焼き肉を食べに行けば良かった⋯⋯


 風呂から出て、着替えを済まして家から出ると、王城の兵士が三人も家の前で待ち構えられていた。


 ははっ⋯⋯、今回はやけに早いじゃねーか。何時間もかかるっていうセキュリティはどうしたよ。


「シュウだな。王城まで」


 この流れは間違いなく王城へ連行される。悪人が連行される場面を見たことがあるから分かる。


 有無を言わさず連行するのが兵士だ。


 だから、俺は逃げた。


 魔力が回復してないから、魔法は唱えられないから純粋な脚力だけだ。初対面の兵士なら間違いなく逃げられる。そう確信したから逃げた。


 別に俺は悪いことはしちゃいない。ならば刑に処せられる事は無いんだ。


 逃走が刑だと言うなら話しは別だが⋯⋯


 甲冑を身に纏った兵士のスピードなんて、たいしたことはない。

「待てー!」

 と、叫ばれたが待つ奴はいないだろ。


 人目から遠ざかる為に、裏道へ裏道へとスピードを落とさず走り続け、一度振り向くともう兵士達の姿は見えなくなっていた。


「ふぅ~。まぁこんなもんか」


 俺は安堵し走るのを辞めた。


「⋯⋯で、逃げられると思ったの?」


 屋根から飛び降り、俺の前に立ち塞がる女性冒険者。


「はぁ~、そりゃねーよ。ルルさん⋯⋯」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ