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06 中途半端な俺

 あれからもダンジョンに無理をしない程度に潜り戦い続けて分かってきた事は、何とも中途半端なジョブであると言うこと。


 元々、仲の良い元同級生達は二人や三人でパーティーを組み攻略していたり、あえて一人で攻略することで己を強化し続けるストイックな人もいる。

 そんな周りを見ていて中途半端だと痛感した。


 剣術は同級生と比べて、スピードも威力も落ちる。

 魔法も同級生と比べて、スピードも威力も落ちる。


 在学中から比べれば、大きく成長はしている。それは間違いないけど、周りと比較すると一歩二歩の差以上に劣っていると実感できる。


 まぁそれでも冒険者ジョブを授かれたっていうだけマシかもしれないけど⋯⋯



「ファイヤー!」


 もう何体目になるかわからいゴブリンを倒した処で一息着く。


「ふぅ~、そろそろ魔力もつきそうだし、剣術メインで戻るか」


 どちらも中途半端な俺は魔力消費が早いけど、剣術より魔法の方が得意だった癖が抜けず、中階層を終える頃には、いつも魔力がつきかけてしまっていた。


「こんだけ素材も集められたことだし、良しとしよう。そろそろ金もたまってきたし、今日は豪華な夕食でもいいな」


 モンスターが落とすドロップアイテムでパンパンになった袋を肩にかけて、来た道を真っ直ぐに地上に向かって戻る。


「やっぱり肉は外せないよな。むしろ肉だけって言うのも悪くない。いつもは米で腹を膨らませていたから、米抜きで食いたいもんだけ食うって」


「うわぁー!!」


 ドンッ!


 夕食の献立を考えるのに夢中になっていた俺は、警戒心が緩んでいて、ぶつかられるまで気づきもしなかった。

 ぶつかった衝撃でそのまま尻餅を着いてしまったが、こんな広い通路で真っ正面からぶつかってくるのは意味がわからない。


「ってーな! 前を見て走れよ」


「すっ、すいません! ⋯⋯って、シュウか!?」


 元同級生のコロルが恐怖と安堵が入り交じった顔で俺を見ながら話しかけてきた。


「た、助けてくれ! バーゲンとキャミソが!」


「こいっ!」


 それだけ聞くと俺は、直ぐに立ち上がりコロルの腕を引っ張りコロルが来たであろう方向に走り始めた。


 コロルは成績は普通だったが、いつも笑顔で人望がトップクラスだった。コロルの周りには常に人がいる環境で俺もパーティーを組むほどでは無かったが、仲は良かった。

 そんなコロルが、あの顔で助けてくれと言ってきたんだ。普通じゃない事が起きてるのは聞かなくてもわかる。


「どこだっ? 端的に教えてくれ」


 走りながら後ろを振り向き正確な場所を聞く。


「一個上の階層の、階段を上ったすぐ先」


「なんで降りてくんだよ。普通何かあったら上るだろっ?」


「上れなかったんだよ。そっちからモンスターが現れたから」


「何があったんだ?」


「わからない。で、でも色が違ったんだ。大きさも。いつものゴブリンとは。それで、それで助けを呼ぶためにっ」


 パニックになっているのか、良くわからなかったが場所はわかった。後はその場所まで行けばわかるだろう。目の前に見えてきた階段をそのままのスピードでかけ上がり、上の層にたどり着いて目に飛び込んできたのは、瀕死の二人と、見たことの無いゴブリンだった。


「あれ、ゴブリンかよ?」

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