54 睡眠の邪魔
『引き返せ⋯⋯引き返せ⋯⋯引き返せ⋯⋯』
ん~⋯⋯。
『引き返せ⋯⋯引き返せ⋯⋯引き返せ⋯⋯』
「あっー! うるせ!!」
睡眠を邪魔され思わず起きる。隣を見るとクレインにも聞こえていたようで、頭を押さえながらムクッと上半身だけを起こして俺の方へと目線を向けてきた。
「まったく、毎晩、毎晩、毎晩! どうなってやがるんだここのダンジョンは。こんなダンジョン今まで経験したことがないぞ⋯⋯」
あれから俺達は一階、一階、着実に進んではいるが魔物が強く、攻撃パターンを学びなから戦闘を繰り返しているせいもあって一日に一階下れればいいほうである。
ダンジョンに潜り続けた俺の体内時計はそこそこに制度が高いと自負していて「そろそろ夜だな」ってなったら、寝れそうな場所を探して睡眠を取っているけど、寝る度にさっきのように『引き返せ⋯⋯』が頭の中に流れてきやがる。
横にいるクレインも同じで、無視して寝続けようにも、なぜか起きてしまうから、あれからゆっくりは寝れていない。
まあ、ダンジョンでゆっくり寝るってわけにはいかないにしても、こう何度も何度も起こされたんじゃたまったもんじゃない⋯⋯
「ねぇ気づいてる?」
「何に?」
主語が抜けて聞かれたところで、何に対して聞いてるのかわからず質問を質問で返す。
「あの声、ダンジョンを下るに比例して頻度が多くなってるわよ」
何を当たり前の事をコイツは聞いてくるんだろう⋯⋯。そりゃ下に何かがあって、それを防止するために睡眠中に言ってくるんだから、下に行けば増えるに決まってる。
「そ、そうじゃなくて。何て言うの、こう、あれよ。必死さが伝わってくるって言うか⋯⋯」
俺の目線で俺が思っていることを察したのか、クレインは付け加えて言ってくるが、何が言いたいのか良くわからない。
「つまり?」
「ん~⋯⋯。近づけたくは無いのはわかるんだけど。何かを守るって言うよりかは、私達を守りたいって言うのかな⋯⋯」
「はぁ? 魔物がどうして邪魔物の俺達を守りたいんだよ。バカも休み休み言えよ」
クレインは疲れで自分の良いように解釈しているのか? ダンジョンに潜る時間が長いから思考が変になったんだろう思い、俺は話しを切り上げてまた横になる。
「もう⋯⋯おやすみ」
またこうして眠ったとしても暫くたてば、あの声に起こされるんだろうが、それでも出来る限りの睡眠をとっておかなければ、体力が回復しない。回復魔法で傷は回復出来ても体力まで回復出来るような都合の良いもの出はないからな。
ってか、睡眠中の俺達に対して声を発して起こせるくらいの能力があるならば魔物どもを起こして寝込みを襲わせた方が効率が良いだろうに。
あれ? でも俺達の言語で喋ってるわけだから、魔物には理解できないのか? なら、喋ってるのは人か?
そんな答えが出ない事を考えながら俺はまた暫くの眠りについた⋯⋯




