51 でした
⋯⋯出会ったのは1体のオーガでした。
多分、いや⋯⋯きっとオーガだと思う。
正確にはオーガらしきものだな。
本当に鬼が出るとは思ってなかった。想像の斜め上を行ってくれるからダンジョンは辞められないな。
そう言えば、学校時代にアディは強いだけでなく女子にもモテていたな。
『女にモテたって強くなる訳じゃ無いんだぜ? それより一緒に無茶出来る奴と一緒にいた方が強くなれるってもんさ!
な、相棒!!』
そんなことをアディは言っていたけど、今のアイツの相棒はペットとか⋯⋯笑えるな。ははっ。
「ちょっと! アレ何よ! ちょっと現実に戻ってきて説明してよ!!」
ぼけ~っとオーガらしい魔物を見ていたら、クレインがバシバシと背中を叩き、俺を過去の記憶の世界から、現実の世界に戻してくれた。
「ん~なんだろな? 多分オーガなんじゃない? よくわからないけど」
俺達が知ってるオーガって言うのは、大型でも2mほどの身長に、ムキムキの体型。オデコには一本の角が生えていて、こん棒を装備している。
服装は一年中、パンツ一丁っていうド変態な魔物だ。
それが目の前にいるオーガらしきものは、3mはあるだろう身長だし、オデコから二本の角が生えている。
色はゴブリンと同じで黒だし。服装はパンツ一丁だ。
「あれがオーガだっていうの? 嘘よ、違うじゃない!」
ごもっともだ⋯⋯
でも、魔物に「貴方はオーガですか?」と聞いたところで、回答が返ってくるはずがない。今までだって、俺達が魔物の名前を勝手に決めてるだけなんだから、今回も勝手に決めていいだろ。
考えるのも面倒くさいし⋯⋯
「いや、オーガの進化系なんだ。そう言うことだから、さっさと戦うぞ。これ以上、話しをしている時間は無さそうだしな」
黒オーガがどうやら俺達を敵だと認識したらしく、右手のこん棒を構え、ゆっくりとこちらに近づいてくる。ゆっくりと言っても、3mもの巨体で一歩ごとの移動距離は長く、あと数歩も近づかれればこん棒がこちらに届いてしまう距離だ。
「こん棒は任せろ。クレインは左へ回って様子を見ながら、攻撃が出来そうならば頼む」
「ちょ、ちょっと、あんまりあてにしないでよ。私はそんなに攻撃力があるわけじゃないんだから」
「⋯⋯。んじゃ出来る範囲で構わないから宜しくな!」
「わかったわよ!」
こういう時の謙虚さは本当にいらない。
いい加減、【暗殺者】ってジョブを受け入れればいいのに⋯⋯
そんな事を思いながら、黒オーガに向かって走り出した。




