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46 探索と発見

「ふんっ!」


 ボタっと音と共にキメラの頭部が地面へと落ちる。もう何度も見た光景で、さらに言えば何度も倒してきたキメラだ。


 時々、パーティーがキメラを倒したことに歓喜している姿を見てきたが、今の俺としては作業の一環となっている。


 いや、本当に強くなったな俺。


「久しぶりにシュウの戦いを見たけど、本当に一緒でキメラを倒すのね」


 10階層で暫く休んだことで、体力が回復し疲れが取れたクレインが、俺の横にやってきて死んだキメラを見ながらそう喋る。


「そりゃこんだけ強くなったわけだし、キメラは瞬殺出来るようになってはいるよ。ってか、クレインは全く戦わないじゃないか!」


「だってわざわざ私が戦わなくったって、シュウが一撃で倒すんだからいいでしょ?

 シュウが危なくなったら戦うわよ。まぁ、シュウが危なくなるような敵がいた時点で終わりだけどね」


「おいそういう事を言うのは止めろよ。大抵そう言うと実現するのがダンジョンって所だぞ」


「そうなの?」


 キメラの死体に興味を失ったようでクレインは案内板に従い歩き始めたが、首だけをこっちに向けて訪ねてくた。


「あぁ、ダンジョンじゃよくあることだ。逆もしかりで、『次の魔物を軽く倒したら戻ろうぜ』なんて口にすると大概は強敵に遭遇して命からがら逃げる羽目になったりな」


「じゃあ、下手なことは言わないで潜るのが良いのね」


「そういうこと」



 その後も、周りに目を配りながら俺達は進んではいるけど、やっぱりそれらしい場所は何も見つけられず、最下層へひたすら足を進める事になっている。


 魔物はバカでは無いので、圧倒的な力で戦って勝つ姿を見せると、近付いては来なくなる。逆にギリギリの戦いをしようものなら、どこからともなく、魔物が集まって囲まれてしまう。

 そこら辺を考えるとクレインが戦いに参加しないのは正解かも知れないな。実際に戦っている姿を見たことが無いので何とも言えないっちゃ言えないが⋯⋯




「はぁ~! やっと着いたわね。で、どこが怪しいと思う場所なの?」


「お前さてはバカだな? 初めてきた場所で怪しい場所なんかわかるわけないだろ。隅々まで調べるんだよ」


 最下層の15階に足を踏み入れた瞬間に、クレインは背伸びをしながら、さも俺がわかっているよな口振りで聞いてくる。

 ダンジョンに潜ってから思考停止してるだろ、やっぱり⋯⋯


「とりあえず、二手に別れてさっさと調べようぜ。何か見つけたら叫べ。調べるのは地面と壁の2つだからな。じゃ、俺は左回りで探してくるからクレインは右回りで頼むよ」


「ちょっと待て!」


「ぐえっ」


 クレインに歩き始めた俺の襟をおもいっきり引っ張られたせいで、変な声が出た。呼び止めるなら呼び止め方を考えろよ。


「キメラ以上のが出たらどうするのよ? 私に死ねって言ってるのかしら?」


「ゴホゴホ⋯⋯。はぁ? そんな強い魔物が出るのか?」


 喉が詰まったせいで出したくもない咳を出しながらクレインに訪ねる。


「えっ? 知らないわよ」


「はっ? ルルさんとか調査団からここの魔物の情報は聞いてるんじゃないのか?」


 表に出てこなかったとしても姫って立場なら、調査団からの報告は受けるだろうから、知らないって事に意味がわからない。


「15階層にどんな魔物が出るか何て気にも止めないわよ。流石に調査団が殺されたとかなら調べるけど、そんな報告は上がってきてないの」


「なら、いねーんじゃねーの? 危なくなったところで【暗殺者】ってジョブなら逃げられるだろ?」


「そういう問題じゃ無いわよ。一応は姫なんがら姫を危ない目に合わせるとかおかしいでしょっ!?」


「今更なにを言ってるんだ。このおてんば姫は⋯⋯」


「うるさい! ほら行くわよ」


「ビビってるならそう言えば⋯⋯」


「あぁ?」


「いえお供します」


 こういう時だけ、職権乱用するとはとんでもない姫だな⋯⋯

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