41 正体
「ねぇ聞いて。とんでも情報をゲットしたわよ」
いつも町で情報収集をしているクレインが部屋にやって来たと思えば、とんでも情報をゲットしたとの事だ。大抵はどうでも良い情報ばかりで、やれ、町人を救っただの。やれ、無攻略だったダンジョンを制覇しただの。過去の偉業ばかりで手懸かりになるようなものは殆ど無かった。
たまに手に入るどっちに向かったという情報だけを頼りにここまで旅をしてきた。
「で、とんでも情報ってのはなんだよ?」
部屋のベッドで横になっていた俺は、体を起こしてクレインの方へと目を向けた。
「ここから一週間ほど西に行った森の中にダンジョンがあるんだけど、そこで消息が途切れて何人もの調査団が調べに行ったそうよ」
「なるほどね、じゃあ明日にでもそこのダンジョンに向かうか?」
「そうね。やっとここまでこれたわね」
クレインは驚きも感動も無い表情のまま、備え付けの椅子に腰をおろす。あぁやっぱりか⋯⋯
「んじゃ、そろそろ喋って良いんじゃないのか? クレインの正体をさ。隠してる力も教えてもらっておかなきゃ何があるかわからないダンジョンに連れてはいけないぞ」
「⋯⋯っ!」
ベッドに座ったまま俺は前のめりになりながら、クレインの目を凝視した。
「⋯⋯気づいていたのね?」
溜め息を吐きながらクレインは俺と目を合わせる。さすがにこんだけの長い時間を一緒にいて気づかない方がどうかしている。
時々出てくるあの身のこなしは、ルルさんを思い出させるしな。あのオッサンか、ルルさんが仕向けたパターンだろう。
「それもそうよね。昔はよく一緒にいたんだし⋯⋯暫く会って無くても面影でわかるわよね」
ん?
「私も大人になって雰囲気が変わったと思うから、シュウ相手ならバレないと思ったのは甘かったわ」
んん???
「久しぶりって言葉は変よね?」
「あっ、あぁ⋯⋯」
こんな奴、お城にいたか? ダメだサッパリ思い出せない。新しく入った兵士か何かじゃなかったのか?
「ふぅ~⋯⋯改めて自己紹介をさせて頂戴。イエーサ王の長女、クレインよ」
「はぁ~っ!?」
なんじゃそりゃ?
「き、気づいてたんじゃなかったの?」
クレインは驚いた表情で椅子から立ち上がり、俺の襟を掴んでくる。
「城の兵士だと思ってはいたけど、姫だとは気づかねーよ!」
クレインの手を弾きながらそう答えるのが、やっとだった。流石に混乱が止まらねーぞ⋯⋯
姫ってことはクーちゃんって事だろ? 変わるってレベルの話しじゃねーだろ⋯⋯




