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40 一年後

題名を悩んでいたらとんでもなく時間が過ぎてしまいました⋯⋯

「学習能力が無いのっ!? ねぇバカなの? イカれてるの? それともなに? 病気なんですかー?」


 俺のオデコをゴツンゴツンと殴りながら今日もクレインは額に青筋を立てながら怒り散らしている。むしろ機嫌が良い日があるのだろうか?


「痛い、痛い、痛いって! もうどんだけ怒ってれば気がすむんだよ。たまには優しさってものを見せても良いだろうよ?」


 ゴツンっ!


 更に力を込めた拳が俺のオデコを殴り付ける。


「いいっ? 私だってこうも毎日のように怒ってたくは無いの! それなのにどこの町に行ったって同じことの繰り返しじゃない。なんで自重が出来ないの?」



 あれから一年という日が経過して俺達は十個の町を過ごしてきた。そして、今はいつものように真っ暗な道でクレインに命じられ正座させられている。


「いや、俺だって気を付けてはいるさ。今回のダズールの町のダンジョンだって一ヶ月は目立ってなかったろ?」


「たった一ヶ月よっ! たった一ヶ月でもうダズールを出ることになったのよ。はぁ~、温泉が気持ちよくて、久しぶりにゆっくり出来ていると思ったら、またこれ⋯⋯」


 やっと殴るのを辞めてくれたクレインは、いつものように腕を組ながら深く溜め息を吐き出した。


「しゃーないじゃんかよ。居酒屋でよく会うパーティーがキメラ三体に囲まれてたんだぞ。それを見なかった事にして通りすぎるなんて普通出来ないだろ?」


「だ~か~ら~! なんで瞬殺するのよっ! しかも、今回は一撃でキメラを三体同時って頭がおかしいでしょ?」


 今の俺からすればキメラなんて雑魚中の雑魚だ。ダンジョン内で昼寝をしているところを教われたってダメージは0。キメラの上位種ですら雑魚なのに、下位種三体をゆっくり倒す事の方が今の俺には難易度が高すぎる。


「まあ過ぎたことだし良いじゃねーか。それに俺の両親の情報だって集まって、のんびりしてただけなんだし次の町に向かう良いきっかけになったと思うだろ?」


 はぁ~。とクレインは再度溜め息をつくと、地面に置いていた荷物を持ちスタスタと歩き始めた。これはいつものお説教タイムが終了した合図でもある。



 ⋯

 ⋯⋯

 ⋯⋯⋯



 ダズールの町で聞いていた通り、一週間の道のりを進むと、ナルガの町に到着した。はっきり言って田舎町だ。それ以外に表現の仕様が無い。


 情報通りダンジョンは無いし、部屋にこもって筋トレの日々を過ごすことになりそうだ⋯⋯


「とりあえず一通り情報は集めてみるけど、たいした情報は手に入らないと思うから、明日には出発するわよ」


「へ~い」


 大抵、こういう田舎町ではとんでなくなく着色された俺の両親の話しが出てくる。一泊しただけなのに、神話級になって語られるから驚く。イエーサではジョブを隠し通してたのに何でこんな話しになっているのか不思議で仕方がない。


 多分俺と同じように、やらかしてしまったんだろうな⋯⋯

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