34 助太刀後
「で、どういうことなんだ?」
完全に質問の対象がこっちに向いてしまっている。クレインから目立つなと言われているのにダンジョン生活一日目から目立ってるなこりゃ⋯⋯
「ま、まぁ。そんなことより、この状況を整理しようよ。少女をこのままってわけにもいかないし、死体だってあるんだから。ダンジョンでは常にベストな状態を維持するのが重要でしょ?」
「そりゃそうだが⋯⋯ん~、嬢ちゃん簡潔に何があったかまとめてくれ。ここから動くにしたって情報は大切だからな」
「はい、わかりました」
少女はポツリポツリと喋り初めたくれたおかげで、とりあえずこっちへの質問は止まってくれた。
まだ完全に落ち着きを取り戻した訳ではなかったけど、少女の話しをまとめると、少女の名前は名前はリタール、五人パーティーの魔法使いとの事だ。
普段は体調に合わせて八階、九階をメインに活動していたが、武器を新調したしそろそろ十階にも行けるんじゃないか? と、話しになったらしくこの十階まで降りてきたとの事だ。
最初は苦戦もあったが、新調した武器も合ったため、進んでいたらしいが、この場所まできた時にキメラに遭遇したらしい。
最初は一体だけだったが、戦闘が長引き音に釣られて二体のキメラが追加。パーティーメンバーが一人、また一人と倒れていき、魔力が尽きたリタールは何も出来ずに助けを求めた結果が今の状況との事だ。
「はぁ~⋯⋯言いたいことは多々あるが、何にしても助けを呼ぶのが遅すぎる! キメラ一体だって危険なんだぞ。逃げられないとわかった時点で対応はいくらでもあったろうが⋯⋯」
「はい⋯⋯すみません⋯⋯」
一通りの話しを聞いた冒険者達のリーダーらしき男は、頭をかきながらため息混じりにリタールに告げる。
「俺達だってキメラと出会っちまったらまず逃げる事を最優先に考えるってもんだぞ。今回はたまたま運が良く三体相手でも命が⋯⋯んっ?」
そう言いながら、こっちを見てくる。
思い出すんじゃねーよ。バカ!
「まぁ、でもあれだ! ここで過ぎた事を喋ってたって仕方ないさ。ここからじゃ遺体を持っては危険だから、埋葬してとりあえず地上に上がろう!」
話しの主導権を渡しっぱなしにするのは不味いと思い、俺から話しをさっさと切り上げて、このパーティーメンバーから離れる事に全力を注ぐ。
「⋯⋯そうだな。遺体の臭いに釣られて魔物にこられても厄介だからな」
なぜ全員がこちらを見る⋯⋯あぁ、そうか俺の意見に賛同してくれたからだろう。そう思っておこう。
「地上に出た後で話そうな」
肩をポンっと叩かれそう告げられた。まぁそうだよな⋯⋯さっさと逃げる事を考えておこう。
魔力が尽きたからといって、地上まで出るのに、このパーティーメンバーだけでも余裕だろうけど、俺が逃げられる雰囲気では無かった。失敗だ⋯⋯
「じゃ、そういうことで!」
とか、言えればいいんだけど、言ったら絶対に面倒な事になるのは感覚でわかる。なので、仕方なく一緒について行くことにした。
黙ってついていくだけだと、状況によっては質問の連打がくるし、先陣切って戦えばまたボロをだす。
なので、リタールの護衛兼、心のフォロー要員として常にリタールの横を位置取りし、二人だけの世界を作り続けた。
魔物と遭遇する度に俺は戦わないように意識し、リタールの前から一歩も動かずやり過ごす。このパーティーはどうやら強いようで地上に上がるまでの戦闘で俺が魔物と戦うことは一度もなかったので、ボロは出さなかった。
「アイツ嬢ちゃんの事をねらってんじゃねーか?」
とか、ボソボソ聞こえてきて、変な誤解を招いてしまったようだ。まぁ、ボロが出るよりはマシだろう。それにクレインにバレたら、説教の時間が長くてたまったもんじゃない。
このパーティーメンバーからの質問をかわし、クレインにバレないようにする良い案を考えるのに頭が痛くなった。




