30 別行動
「あら、シュウもこれから出掛けるの?」
どうやら同じ時間だったらしく、宿屋の前でストレッチをしていたら、後ろからクレインに話しかけられた。
「んっ~。と、そうだなストレッチも終わったし、ギルドにでも顔を出してダンジョンの詳細確認だな。場所も難易度もわからないから、まずは情報収集かな」
「そうなのね。なら私もまずはギルドからって思っていたから一緒に行きましょ」
そんなわけで俺達はギルドへと向かった。ギルドへの固定観念も無くなったことだし、闇雲にダンジョンを探すより、しっかりした場所に聞いてから行った方が絶対に良いからな。
ギルドへ入った俺達は別々に別れ、目の合った三人組のパーティーへと声をかけ、この近くのダンジョンの情報を聞いた。
「ありがと。この辺りにはダンジョンが二つあって初級と上級があるってことか。なら上級に向かおうかな」
「いやいやいや、一人で上級ってかなりハードだよ。キミが良ければの話しだけど、僕達のパーティーに参加したらどうだろうか? ダンジョンで手に入れた物は、手に入れた人の物。ってルールでさ。初めてダンジョンだし、何も手に入れられなかった場合は多少だけど分けてあげるしさ」
「ん~⋯⋯誘ってくれたのは嬉しいけど、初めてダンジョンは一人で潜りたいんだ。悪いな。
その代わりもしダンジョン内で困ったことが起きたら何でも言ってくれよ。一人加わった所で大きくは変わらないと思うけどさ」
俺の外見からすれば明らかに駆け出しの冒険者だ。いつでも逃げられるように装備は相変わらず軽具だし、武器だって普段使いのを装備している。だから心配をしてくれているのかな?
それに三人組とも、身なり格好から推測すると間違い無く俺より、先輩冒険者だろうし。
ただ、ここは俺の母国では無いし、下手に敬語を使って舐められるのもな⋯⋯と思い、ここでは冒険者に対しては、敬語を使わないようにしようと思う。
相手がめっちゃ良い人でも、周囲で話しを聞いている他の冒険者達がどうかはわからないしな。
「⋯⋯わかったよ。でも無理はしちゃダメだよ。キミも何かあったら、僕達じゃなくても近くにいる冒険者に必ず助けを求めるんだよ。ここの人達はみんな良い人ばかりだから、遠慮することはないからね!」
心配顔のまま、最後まで良い人だった。
チラッとクレインの方を見ると、まだ色々な人から俺の両親の事を聞き込みしていたので、話しを遮っても悪いと思い、クレインには何も言わずギルドを後にした。
「うん。自然体も良いけど、整備された道でダンジョンに向かうのも良かったな」
ギルドからこの上級向けダンジョンまでは歩いて二時間ほどだった。道は整備されていて、途中途中に軽食屋やアイテム屋等が店を構えていた。
朝方から潜ったのか、店先で酔っぱらっている冒険者なんかもいて、ダンジョンが街の一部って感じがたまらなく好きだ。
俺も帰りに何かつまみ食いしながら帰ろ!
ダンジョン前では雑談をしていて、こちらもそこそこ賑わっていた。あの魔物を倒したとか、この素材が手に入ったとか、ダンジョンの情報交換や自慢話しが聞こえてくる。生の声というか、ダンジョンでの話しはダンジョンでの方が実のある話しだ。
さてと、俺も気合いを入れてダンジョンに潜るとするかな。
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