27 筋トレと報告
すみません⋯⋯。編集を間違えてしまい、途中までのが掲載されてしまっていました。
「ほら、疲れたでしょ? ほらほら。いいから、いいから」
ギーラに到着し、クレインはゆっくりと休みたいのか、ギルドへ向かおうとしている俺の背をせかせかと押しながら宿屋の方へクレインが誘導する。
どうやら本当に任せて良いらしい。ならばさっさと任せてクレインから離れよう。
ギーラに到着するまでブツブツ言ってたし、何か機嫌が悪そうだったけど、どうやら機嫌は治ったらしいから、下手に話しを続けてまた機嫌が悪くなられても面倒くさい。
「はいよ。んじゃ、報告宜しくな。俺は適当に夕食食って宿屋で寝るよ」
「うんうん、そうして。朝になったら宿屋のロビーで待ち合わせね」
そういってクレインと別れた。まだ寝るにも夕食を食べるのにも早いし⋯⋯
んじゃ、川原で筋トレでもするかな。
川辺へ行く途中、良い匂いのする屋台で串に刺さった肉を三本買い食べながら筋トレしやすそうな場所を探した。日が落ち、町の明るさだけで薄暗くなった川辺だから、虫に刺される可能性もあるが、今日は何となく川のせせらぎに合わせて筋トレしたい気分なんだ。
「さて、ここでいいか」
特に理由はないが、人目に付かないような適当な場所を選んで満足するまで筋トレに励んだ。その後は夕食を食べ、宿屋で就寝した。
* * * * *
カランカラン
クレインが報告をするためにギルドの扉を開けると、ダンジョンに行く前に話しかけてきた冒険者が、近づいてきた。
「おぉ! 戻ってきたか! で、どうだった?
ん? あっ⋯⋯一緒にいたやつは⋯⋯」
時間も時間なのでジョッキで飲んでいた為、テンションが高かった冒険者もクレインの姿だけしか確認出来ず、次第に落ち込み初めてしまった。
「あっ! いえ、ちゃんと生きてますし、怪我とかもしてませんよ。ただ、疲れたってことだったので先に宿屋で就寝してるんですよ」
それを聞いた冒険者はホッとした表情を変わり、またテンションをあげながらクレインに絡んだ。
「そっか、そっか。じゃあ教えてくれよ。ダンジョンはどうだったんだ? お前らの事が気になっちまって今日は全然仕事にならなかったってもんだからな」
「なに言ってんだよ。お前が真面目に仕事しねーのはいつもの事じゃねーか」
がははっ!
と、ギルドで飲んでいる冒険者達にヤジられ、皆で笑っておりとても賑わっていた。そんななか、ダンジョンで精神的に疲れているのに、酔っぱらいにこれ以上関わるのは、更に疲れを貯めるだけだと感じたクレインは、一言伝えて受付へと向かった。
「それは、受付で報告するので一緒に聞いてもらえれば」
それを聞いて、飲んでいた冒険者達はゾロゾロとクレインの後に続き受付へとやってきた。
「報告にやってきました。
まず、ダンジョンは五階層。罠等は確認出来ていません。また、遺体は無し。そしてこれがダンジョンをマッピングしたメモになります」
そう言って、受付の女性へとメモを手渡しすると、冒険者達はどれどれとそのメモを見ると思い思いに喋り始めた。
「よくここまでかけてるな」
「あぁ、1日でここまでとは」
「そんな大きくはないが、それでもここまでかければ十分だ」
『これくらい書けて当たり前よ』と、クレインは心の中で思ってはいたが、面と向かって誉められまんざらでもなかった。
どんな相手だろうが誉められるのは嬉しいものなのだ。
「そして、ダンジョンに生息していた魔物ですが、ゴブリン等の下魔物や動物はいませんでした。一階層からオークやナーガがいます。下に進むごとに強さは上がり、獣型のキメラや、魔獣までいます」
「「「「えっ!?」」」」
クレインは驚くのは無理もないと思っていたが、勿論冒険者達はそれ以外に驚いていた。
「いやいやいやいや、たとえ獣型のキメラって言ったって、たった二人でどうにかなる魔物じゃねーだろ」
「ははっ、なんで思いっきり逃げ続けマッピングしていました。いやぁ、本当に幸運が続きました!」
「「「「なわけあるかっ!」」」」
王国のギルドでは無く、田舎のギルドならばそうレベルの高い冒険者はいないだろうから、誤魔化せるんじゃないかと。クレインは淡い期待を持っていたが、一瞬で嘘だとバレた。
確かに、王国に比べれば高レベルの冒険者は少ないが、田舎でも高レベルの冒険者はいる。王国の空気が合わないとか、実家があるとか。
魔物を見て逃げ帰ってきたと言ったとしても、あまりにも時間がかかりすぎているため、疑われるし、依頼料ももらえない。
ならば、皆の為にも報告をするべきであるとクレインは思い、自分達の事だけを嘘をついて報告することに決めたのだ。
勿論、依頼料が第一優先ではある。
「直ぐに逃げてくるだけならわかる。だが、どんどん強くなっていく魔物を確認しておいて、全て逃げながら最階層までいこうなんて奴は自殺志願者ぐらいなもんだぞ」
至極最もだ。
「⋯⋯。っ! そ、そう! 私達逃げ足に自信があるんですよ。」
「「「「⋯⋯」」」」
絶対に嘘だと思っていても、冒険者達は黙るしかなかった。パーティーでもない冒険者の事を聞くのは、冒険者道に反する。
また、自分の力をベラベラと喋る奴は一切信用されない。
「まっ、まぁ無事に帰ってきたんだし、こうして依頼も十分にこなしたんだ。おめでとうな」
そう一人の冒険者が言うと、周りも笑顔で拍手してくれた。居心地が悪くなったクレインは、お辞儀で答え、受付から依頼料をもらうと足早にギルドを離れた。
「明日の朝一でこの町から出よう。この後どうなるか気にはなるけど、絶対に巻き込まれるし、シュウがポロっと喋ってしまうかもしれないわ」
クレインはそう決め、明日の為に宿屋でさっさと寝るのであった。




