25 中間のダンジョン
ダンジョンの場所を聞き忘れたけど、運良く森で他の冒険者に聞くことが出来た。やっぱり、ダンジョンに行くことは止められたが、場所を教えてもらったお礼を伝え、足早にダンジョンへと向かった。
本来、ダンジョンと言うのは発見された領土内のお偉いさんが、調査団を派遣しある程度の階層や危険度等を告知する。
それを知った冒険者達が自分の強さに応じて、潜る事を決める。
ダンジョンのレベルが高ければ近づかないし、逆に低すぎても近づかない。
何も情報がないってことは、最初に出会った魔物が強敵すぎるって事もある。その場合は一瞬にして殺されてしまうって可能性があるが、俺は逃げ足だけは自信がある。しかも重力魔法から解放された今ならば、ドラゴンからでも逃げられそうだ。
「ねぇ、先に教えておいて欲しいのだけど、万が一にも強敵しかいなかった場合は逃げるのよね?」
「そりゃそうでしょ。勝てない相手と戦いたい訳じゃ無いからな。俺はダンジョンが好きってだけだからそうなったら速攻で逃げる!」
「あぁなら良かった。あと、一つだけ約束してね。私の回復魔法が枯渇しそうになったら必ず戻るって」
「はいよ」
そんなことを話しながら、俺達はダンジョンにたどり着いたが、ここまでの道もダンジョン前も何も整備されておらず、良くこの状況でダンジョンが発見出来たなと驚いた。
ダンジョンに着くまでは道に迷ったんじゃないかと思ってたほどだ。
ダンジョン愛かな?
「良かったな。道はあってたぞ。にしても少し位は整備してもいいと思うけどな」
「お互いの町が一切手を加えたくないのよ。きっと」
これじゃダンジョンが可愛そうだとは思わないのかね?
※ ※ ※ ※ ※
「なぁ、さっきから戦闘には一切参加しないで何を書いてるんだ?」
クレインは一階層から三階層をまでずっとこうだ。別に戦闘に参加してほしい訳じゃないけど、後ろでずっと書いていると気が散って仕方ない。
「あんたねぇ⋯⋯まさかとは思うけど、何のためにここにきたか忘れてる訳じゃないわよね?」
「何のため? ダンジョンがここにあるから潜ってるんだろ? 理由なんてあるわけないだろ?」
クレインは腰に手を当てながら呆れたと言わんばかりの表情から、顔を真っ赤にしながら怒り始めた。
「ガーラとギーラの仲の悪さの原因のダンジョンを調査する為でしょうがっ! シュウがやらないから、私がダンジョンのマッピングや魔物の種類の全てをメモってるのよっ! ダンジョンに夢中になるのも良いけど、やることやんなさいよね!」
「⋯⋯ん? そんな無駄な事を何故するんだ? マッピングも魔物も、頭の中に勝手に全部入るだろ。それを後から求められた情報だけ提示すればいいじゃないか」
「えっ? シュウって【トレジャーハンター】でも無いのにそんなこと出来るの? そういうのはトレジャーハンターの技でしょ。えっ、なんで? なんで出来るの?」
あぁうるさい。何を急にテンション上げてるんだよ。
たしか、【トレジャーハンター】ってジョブを授かると、戦闘能力は低い代わりに、ダンジョンや遺跡なんかの、マッピングや魔物情報、宝の在処なんかもわかるようになるらしい。だが、そんなものはジョブが無くてもダンジョンに潜ってれば普通出来るようにだろう。
だから、俺の中では無駄なジョブだと認識してる。
まぁ、初級冒険者とかに引っ張りだこって話しは聞いたことがあるから初級パーティーには需要があるんだろうな。
「いや、慣れでどうにでもなるぞ。クレインもそのうち出来るようになるって」
「なわけあるかっ!!」
良くわからないけど、出来たことに越したことはなんだからとクレインをなだめ、その後もダンジョンに潜り続け、五階層で行き止まりになった。
始めてみた魔物が数種類いたけど、別にとんでもなく強かったわけでも、迷宮ってほど入り組んでたわけでも無かった。イエーサのダンジョンが二十階層だから、言ってしまえば小型ダンジョンだ。
ダンジョンから出た俺にクレインが「報告は私がするからシュウは宿屋でゆっくり休んでて良いわよ」と、今日一の笑顔で報告を引き受けてくれた。流石にダンジョン内で何もしなかった事が悪いと思ったんだろうな。
「魔獣や、キメラが出るダンジョンって異常過ぎるわ。両町に報告は勿論、王城へもしなくちゃ⋯⋯それに、シュウの強さが異常だわ。でも本人は気づいていない? なら、強さに溺れ暴走しないように黙っておくべきだわ。いや、指示を仰いだ方が⋯⋯重力魔法の意味が⋯⋯ブツブツ」
「おい、さっきから何をブツブツ言ってるんだよ?」
「⋯⋯えっ? はぁ? 乙女の独り言よ! 何か? あなた変態なの?」
ちょっと気になって聞いただけでそこまで言われるのか? 女性って謎過ぎるだろ。
その後も何かブツブツ言っていたけど、気にしないことに決め、ギーラの町へと戻った。




