24 ギーラその3
「ダンジョンだって? ダンジョンって一言で言っても、大小ありますし、難易度もまたしかり。それに、なんと言っても、建造美とはまた違う美しさまでありますからね。お互いが自分のものだと言いたくなる気持ちはわかりますよ! いや~、完全に俺達の誤解でしたよ」
「ちょっ、ちょっと、落ち着いて!」
クレインにそう言われ、男性を見ると軽くひいていた。確かに久しぶりにダンジョンという話題に盛り上がってしまった。
「すみません⋯⋯。ちょっとだけ興奮してしまいました。詳しく教えてもらっていいですか?」
「お、おう。ダンジョンにそこまで興奮する奴は始めてみるぞ。お前さん凄いな⋯⋯
まぁ、お前さんが言うような事では無いんだよ。どっちの私物にしたいか? じゃなくて、逆だな。『そっちの物なんだからさっさと調査して、報告書をよこせ』って揉めてるんだ」
ん、何を言ってるんだ? ダンジョンを押し付けたい奴がこの世にいるとか、そんなふざけた話しはあり得ないだろう。天候関係なく過ごせるってだけでも凄いのに。ジョブがアレだからイエーサでは微妙だったけど、他の冒険者達との憩いの場としても活用出来る場所なのに。
「確かに、元々仲の良い姉妹では無かったらしく、ガーラに移住した最初の住民は、妹寄りであったり、姉が嫌いだったりで移住したって話しだ。それでもお互い表面上には出さなかったらしいんだが、ダンジョンが発見されてからは押し付け合いが始まっちまってな」
「それならどなたかの冒険者が調査すれば、少しは解決するのでは?」
「ははっ、馬鹿言っちゃいけねぇ。
命あっての冒険者だぞ。どっちの町からも支援されず、何かあっても何もされねーんだ。勿論、何かあった後でもな。
しかもだ。そんなわけで冒険者が近づかねーから、今もどの冒険者もいやしない。そんな所にわざわざ潜るメリットなんかありゃしねーよ」
「町からの支援が無いって言うのもですけど、他の冒険者が居ないって事は、ダンジョンでもフォローが無いってわけね⋯⋯それはたしかに恐怖だわ」
うんうん。良くわかったぞ。
「よしっ! 今から行くぞ!」
「「はいっ?」」
「ラッキーだったな。この時間からならゆっくり潜れるじゃねーか」
「ねぇ馬鹿なの?」
「お前さん正気か? 何かあっても知らねーぞ?」
「知らん! 俺は、行く。今までも支援とかされたことないからそーいうのは気にしないんですよ。
クレイン、嫌なら付いてこなくてもいいぞ」
二人はまだ何か言いたそうだが、ダンジョンが待っているんだ。話しを聞いてる時間が勿体無い。しかもだ! 誰もいないダンジョンとか素晴らしい。完全なる自由ではないか。
乱狩りしても良いし、強敵なら何も気にせず逃げられる。
「じゃ!」と、二人に軽く挨拶をし、ギルドを後にする。
「ちょっと、待ちなさいよ。行くわよ。
はぁ~⋯⋯なんでこうなるかな」
俺がギルドから出ると、クレインも後を追いかけてギルドを出たようで後ろから腕を捕まれた。
「嫌なら来なきゃ良いのに。別に頼んでないぞ?」
「そう言うわけにはいかないの!」
ん? よくわからないが、クレインの事情なんか知らないし、来ると言うならば来たらいい。そんなわけでダンジョンを知ってしまった俺はワクワクしながらダンジョンへと向かった。
やべ、ダンジョン調査の依頼があったなら受けてから行くべきだったと途中で気づいたが、戻るのも面倒くさいし後からでもどうにかなるんじゃないかと、ギルドに戻るのは諦めた。




