20 通貨
今日は時間が余っていたので、おかわりです!
おかわりって言うと、げふんげふんっ⋯⋯
オークを男性へ擦り付けたあとは、あえて会話もせずにクレインが指を指した宿屋へと早歩きで向かった。
一秒でも寝たいのもあったけど、それ以上に一緒にいたくは無かったのが大きい。
⋯⋯大きい。はぁ? なにそれ?
宿屋は外観からして普通の宿屋。高級感があるわけでもないし、ボロって訳でもない。汚れが目立たないようにするために、外装は全て茶色。城下町までよくみる作りだ。
「すみませ~ん。一泊で二部屋借りたいんですけど空いてますか?」
二人で一部屋の方が安くなるが、それでは野宿を断った時と同じだ。なので、クレインが喋りだす前にと、扉を開けたと同時に喋り始めた。
「いらっしゃいませ。ようこそこんな田舎町に。大丈夫ですよ。うちはいつもガラガラなもんで。一泊と言わず二泊でも三泊でも大歓迎ですよ」
元気の良いふくよかなおばさんがカウンターから身を乗り出して、連泊を進めてきた。
コソコソ
「大丈夫なのかここ? 部屋空き放題みたいだぞ」
「田舎町はだいたいそんななのよ。冒険者や商人が目的地の途中で一休みする程度しかお客なんて来ないんだら」
なるほど。確かに田舎町で連日泊まるってなるのは、近くの森で討伐依頼か、怪我人の治療くらいなもんか。
「なんだい? どうかしたのかい?」
「いやいや、何でもありませんよ。ちなみに一泊おいくらなんですか?」
「朝食込みで一人銀貨三枚さ。どうだい連泊するかい?」
銀貨三枚とは破格の安さだ。
銅貨十枚で銀貨一枚分。銀貨十枚で金貨一枚分。
その金貨が十枚で紙幣一枚となる。
銀貨五枚で飯が食えるんだから、宿代は銀貨二枚に銅貨五枚ってことだ。
俺の住んでた城下町じゃ、安くても銀貨五枚。良いところに泊まろうもんなら金貨一枚は硬い。
「そうしたいのは山々なんですが、依頼進行中の為、長いは出来ないんですよ」
勿論、嘘だ。しかし、そう言っておけば依頼は公言できる訳でも、依頼内容を質問することも出来ないので、便利な嘘だ。
「そうかい。それなら仕方ないね。今日はゆっくり休むと良いよ。朝食は十時までだから忘れないでおくれよ」
「「わかりました」」
カウンターのおばさんに部屋の鍵をもらい、それぞれの部屋に到着すると俺はベッドへとそのままダイブし、眠りについた。
⋯⋯
⋯⋯⋯⋯
『まんまる銀の首飾り~、希望の剣へと差し込めば~、光に包まれ見えてくる~、行くべき道が見えてくる~』
『お母さん、その歌なに~?』
『ん? これはね、勇者の冒険って絵本の歌よ。でも外で歌っちゃダメよ。勇者を狙う怖~い魔物が襲ってくるかね!』
『はーい!』
⋯⋯⋯⋯
⋯⋯
ドンドン、ドンドン!
「ねぇいつまで寝てるの? 朝食の時間終わっちゃうわよ!」
「うわっ! えっ? ごめん、直ぐ行く!」
ベッドへダイブしたまま朝まで眠っていたらしく、寝癖だけ直して朝食の準備がされている食堂へと急ぎ足で向かった。
ん~、なんか妙に暖かくて心地の良い夢を見たような気がするな。
二人で朝食を食べたあと、待たせちゃ悪いと思い、風呂場は使わず中庭で桶に貯めた水で素早く体を洗い流した。
「昨晩はありがとうございました。また、機会があれば宜しくお願いします」
準備を整え、カウンターで待ったいたクレインと合流したあと、おばさんにお礼を伝えて宿屋を出るため、ドアへ手をかけた。
「あっ」
「ん? 何かありましたか?」
「いや、何でもないさ。ちょっと知ってる人に似てるなって思っただけさ」
「あ~! 冒険者ってみんな同じような格好してるから後ろ姿は似てますもんね」
だからと言って自分だとわかるような格好をしたいかと言われればノーだ。ダサくなる可能性だってあるし、『自分は違うのだ』と思ってる人は大抵がヤバい人な気がする。
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