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第四十九話 ヒマワリワーキング

師匠が居なくなってから、私の心にはポッカリと穴が開いたような感覚が続いた。だけど、その穴は直ぐに埋め尽くされた。堂桜子(とおこ)湊斗(みなと)のお陰だ。


私が入学した「立間市立高校」で、三人で毎日楽しく過ごしていた。私の見た目が怖かったのか知らないけど、友達、ってのは昔から少なかった。だけど、堂桜子(とおこ)湊斗(みなと)は私と友達になってくれた。


たまたま二人と席が近くて、湊斗を中心として話しかけてくれたのだ。最初は戸惑ったけど、だんだん話している内に、嬉しいという気持ちが混み上がった。


二人といると何だか新鮮な感じがした。カラオケに行ったり、クレープ食いに行ったり......気づいたら、寂しさなんてどっか逃げていた。


高校を卒業した後、それぞれ別の大学に行き、大学卒業後は、堂桜子は事実上ニート、湊斗は事務員をやっていた。


そんな私はというと......。





「...... 花宮さん?」


「え、ああ、すまない。こっから先の事を言うのは...... 堂桜子達にも言った事なくて......ちょっと心の準備が......」



花宮さんは机にあった水を飲み、口から離したあと、数秒間沈黙した。そして、一息ついて、口が開いた。



「──この中で誰か、ヒマワリワーキング、っていう会社を聞いた事ある奴は手を上げろ」



という問に対し、俺を含めた全員が手を挙げた。



「イマチ知ってるよ、(ナナフシギダミー)とか名作だよね」


「私も知ってます。ショットにある筐体の掃除してる時に、ロゴが目に入って、すぐ覚えちゃいました」


「──だろうなぁ。ゲーマーしかいないこの組織に、ヒマワリワーキングの存在を知らねぇ奴なんかいる訳ねぇもんな...... ますます難易度が上がっちまった......」



花宮さんは、自分の髪をくしゃくしゃにして、頭を抱えた。……難易度が上がるとは、どういう事なのだろうか?



「...... お前ら、今から私が言う事、落ち着いて聞けよ。あのな...... その...... その会社の社長の......()なんだよ、私......」



その言葉を聞いた一同は、口を揃えてこう言った。



「「「──えええええええっっ!?!?!?」」」


──と。



突然のカミングアウトに、一同は驚きを隠すことが出来なかった。てか、まず平常心を保てる事が出来るゲーマーなんて、誰一人いるわけがないのだ。



「いやいやいやいや!! 何でそんなすごい事、今まで黙ってたんすか!?」


「そうだよ! 何も隠す事なんてないじゃない!!

「......白月、愛佳。確か二人は、月魄に入った時期が近かったらしいが、お前らは入団してすぐに、自身の秘密を明かしたか? 」


「それは......確かに、少し時間はかかったけど......」


「だろ? だから私だってすぐに口に出せなかったんだよ。……今後どんな風に私を見てくるか......怖かったんだ。だけど、この様子じゃ......大丈夫そうだな」



だから、みんなにこの事を言う前に、あんなに躊躇ってたのか。花宮さんらしくないなとは思ってたけど……。



「……それでだ。私も一応大卒だけど、その後は親父の会社の(社内広報部)の部長になった。社外に情報を出すんじゃなくて、社内で情報を発信する部だな。──ここら辺で、私がコソコソ隠しながらやる理由は分かってきたか?」


「……リーク情報を、社外へ漏らさない為……ですよね?」


「ああ。お前達の事を信頼はしていたけどよ、社内のルールだから仕方ないんだ。わかってくれ」


「でも、私に疑問があります」



手を挙げて質問したのは、三月だった。



「大家さんは大抵、部屋で家事をしたり、買い物とか行っていますが、そんな忙しい大家さんが会社に行く時間などあるんですか?」


「会社には直接行ってねぇ。テレワークってやつを運用してやってんだ。行くのは大事な書類を届けに行く時だけだが…… 一応、三月が家に住み始めてからも、会社には行ってるんだけどな……」


「そ、そうだったんですか…… 」



──とにかく、花宮さんがどんな仕事をしているのかはわかったけども…… 俺には一つ、まだ疑問が残る。



「…… 花宮さん、俺からも一つ、質問していいですか?」


「なんだ、咲ちゃん?」


「その…… ちゃんと部長にもなっているのに…… どうしてアパートを建てたんですか?」





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