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【プロローグ】第二十一話 アイツの話

アイツは急に、私に大して冷たくなった。何もしていないのに、暖かい眼を失ってしまったんだ。頼りがいがあって、優しくて、いつも私を楽しませてくれた彼は、もういない。


家族の事で揉めてしまって、今は離れ離れになって暮らしてるらしいんだ。そんな事実を知った時、私はアイツの家族の事情を一度も聞いた事がなかった。


ただ、アイツはお兄ちゃんだって事を一度聞いた事がある。でも、弟と妹、どちらがいるのかは分からない。会いたいとおねだりしたけど、合わせてくれなかったんだ。


私は私で少しやり過ぎたと考えている。背中に短刀を切り目程度に刺して、電気を流すなんて...... 幼なじみに大してやる事じゃないよね。


アイツの正気を戻すためには、今の所こういう感じでやらないと、方法は無くなってしまうと思う。心理で何とかするなんて、私にはそんな力持ってないし。


でも、完全に心を失ってはいないと思う。だって私にカレーを奢ってくれるんだもん。まだ優しい気持ちを持っているから。


...... やっぱり、一人で食べると、美味しさが逃げていっちゃうな。もう少しだけでいいから、一緒に食べてくれてもよかったのに......。


そして、アイツが置いていったバスの時刻表をチラッと見てみたが、もう夜行バスくらいしかいいのないじゃん。ただ、そんなのはもう了承済みだったのか、ある程度の札をテーブル置いていってくれたようだった。これは多分、里島さんのご好意だろうな。





「──うん。今日は泊まっていくから、心配しないで、ママ。じゃあ、そろそろ切るね。おやすみ......」


ママに電話を掛けて、要件を伝えて、夜遅いからもう切った。あまり私自身も夜出歩きたくはないけど、任務だったから仕方ない、と自分に語りかける。


パチン、と音と共に、バス内の電気が消えた。まだスマホとかをイジりたかったけど、光が漏れて他の客に迷惑かかっちゃうから、使用は控える事にした。


やる事もないから、外の景色を見てみた。山奥だと星が綺麗に見える現象と同じで、バス内が暗いから、ビルの光が綺麗に見えた。


── なんだか、夜の高速道路ってとても盛り上がる。いつもは出歩かない時間帯に、外の景色を見ることが出来るから。...... まあ、渋滞は別としてね。


このワクワクする気持ちも、2、3年前まではアイツと共感出来たのに...... あの楽しかった日々は遠ざかっていく......。



アイツは本当に、私の力で救う事が出来るのかな?



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