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李徳妃視点です。

短いです。

 同じ頃。

隣の紅樹宮では李徳妃がむっつりとしながら娘と共に食事を取っていた。


「おかあさま?お加減が悪いの?」


 ため息ばかりの母を見かねてか、皇帝の長子である彗琳が話しかける。すると、徳妃は幾分か表情をやわらげ、娘の頭を撫でた。まだ6歳と幼いながらに随分と賢く、言葉遣いも大人びており、可愛らしい外見をしている彗琳を、徳妃は誇りに思っている。


「彗琳は良い子ね。お母様は嬉しいわ」


 気持ちよさそうに目を細める彗琳に、思わず徳妃は頬擦りをした。

陛下に生き写しの瞳、自分と同じ色の髪をもつこの子が、可愛くてたまらない。


「でも大丈夫です。お母様のことは心配ないから彗琳はお勉強を頑張りましょうね」


 皇帝の初めての子、しかも淑妃も同時期に出産を控えていたため、男児を強く希望していた徳妃だったが、つい最近、娘がまともに話せるようになってきてから、ようやくその可愛さがわかってきた。恐らく、淑妃の生んだ皇子よりも賢い彗琳ならば、女児ではあるが皇帝になれるかもしれない、という可能性を徳妃は見出していた。この国の帝位継承権は基本的に男が優先だ。女帝が立ったという事例も少数だが、ある。現皇帝の曾祖母にあたる人は、六代前の皇帝である。


「ですが、私はおかあさまが心配なのです」


ぴとり、と徳妃に寄り添い、潤んだ瞳でこちらを覗き込む彗琳はとてつもなく可愛かった。


「……お父様が、新しいお妃様をお迎えになりました」


「お妃様?淑妃様のような方のことですか?」


「彗琳!あのような女に様などつけなくてよいのです!淑妃は皇帝の側室、彗琳は皇帝の姫なのですから」


 徳妃はふふん、と効果音がつきそうな口調で言うと誇らしげに彗琳を見つめる。


「いい子よ……貴方はお母様の希望なの」


「私が、おかあさまの希望……?」


「そうよ。彗琳がおかあさまを幸せにしてね?」


  


______この子が、優秀であれば、



(陛下がまた、振り向いてくださるわ)



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