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高淑妃視点です。

推敲なしの文章です。恐らく後で書き直します。

 雪苑と皇帝が、仲睦まじく肩を抱き合っていた頃。


「なんですって!?」


 ここ、琳寧宮は荒れに荒れていた。主である高淑妃は髪を振り乱し、叫んでいた。女官たちが恐々といった様子で淑妃を遠巻きにしており、数名の宦官が、彼女をなだめている。


「ですから……皇帝陛下が早速貴妃様の宮に向かわれて……」


「なんてこと!!」


  淑妃は近くにあった壺を床に向かって投げつけた。パリン、と小気味いい音が辺りに響く。数名の女官がきゃ、と悲鳴をあげた。鬼気迫る表情で、淑妃はどかりと寝台に座り込む。皇帝の行方を知らせた女官を、宦官がさっと下がらせた。彼女に蹴られでもし、怪我をしては洒落にならない。


「昼間から陛下を宮に引き込み……なんとふしだらな!!」


  色々と勘違いをしている淑妃だが、仮にも二児の母とは思えぬほどの落ち着きのなさである。先程昼食を終えた皇子と姫は揃って寝たばかりだ。


「淑妃様……お怒りなきよう。このままでは皇子たちの目がさめてしまいます」


 女官に諭され、淑妃はチ、と舌を打つ。何だかんだ、他人には当たりが厳しい淑妃だが、我が子、それもとりわけ皇子を溺愛していた。


「あぁ、あの小娘はわたくしから陛下を奪うつもりなのだわ!」


「なんと御労しい……!」


 女官が泣き崩れる……とは言ってもフリ、なのだが。ここはひとつ、何が何でも貴妃を悪者にしなければ淑妃様の怒りは収まらない。そう考えた女官長は、つらつらとここ最近流れ始めた馮貴妃に纏わる噂をのべる。


「甘やかされて育ったがために非常に我儘で世間知らずなのだとか」


「お父上でらっしゃる馮王は厄介払いのために貴妃を後宮に送ったそうですわ」


「男遊びに節操のない方だそうです」


 女官長の思惑に気が付いた他の女官や侍女も口々に言う。勿論、全て噂に過ぎない……というかもはやただの悪口だ。もしこの場に雪苑が居合わせていたら世間体など気にせずに、大声で抗議しただろう。


「思った通り碌な娘じゃなさそうね……寂光」


「はい」


 寂光と呼ばれた女官が恐怖を押し隠し、返事をする。淑妃は、そんな彼女に気味が悪いほどの笑みを向けて口を開いた。


「あの女の素性を調べなさい。過去に陛下との交流があったかも」


「承知致しました」


あの小娘は陛下に名前で呼ばれていた……皇子の母たる、わたくしを差し置いて。


どす黒い感情が淑妃の胸中を支配する。元々後暗いことが多々ある彼女のこと、対して纏う雰囲気は変わらないがその顔は般若の様に歪んでいる。



_________ 陛下の御心は、わたくしのものよ……!


「寂光。鏡台を」


「はっ」


鏡をのぞき込む。自分で見てもろうたけている顔は、酷く疲れていた。唇を彩る艶やかな紅が落ちかかっている。ぺたりと額にくっついた前髪のせいで、数倍老けて見えた。


____わたくしは、まだ美しい?


 いくら淑妃が美しくとも、年齢には勝てない。いつか、過去の人となってしまうのだ。その事実に、淑妃は恐怖した。


「寂光、いつもの商会を呼んできて。新しい首飾りが欲しいの」


「……お金の方は、」


「お父様につけておいて」


 美しく着飾らなくては。

 若く見られるために。

 陛下の御心を繋ぎとめるために……!!




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