第8話 ビノイ剣士魔導士塾の日常
ーーーヘジス視点ーーー
今日は俺の天才息子、シルバーの入塾テストの日だ。
しかし天才と言ってもまだ2歳、入塾テストに受かるかどうかもわからないのに受けさせてもいいのだろうか。
万が一怪我でもしたらベルに殺される
そう思っていたのはどうやら杞憂だったようだ。
シルはあっさり勝ってしまった。
しかも主席のゴリアンヌにだ
それに加えて俺でも到達できていない霊王級魔導士の称号を手に入れた
自慢の息子だが、俺より強いと泣けてくる。
どうやら俺ももっと強くならなければならないらしい。
そう、俺の目指す理想の父親と今の自分では雲泥の差だ。
ーーーーーー
入塾テストから1時間後
俺は塾長先生に校内を案内してもらっていた。
「ここが道場じゃ、
剣士になるにはこの授業を取るといい。
まぁ君は霊王級氷魔導士だからな
いらぬかもしれぬが」
「いえ、やれることならなんでもやります」
「そうか、よろしい
勉強熱心なことは関心
塾長先生の話が長くなってきた
そこで俺は
塾長先生の話を聞き流しながら俺は塾のことを簡単にまとめようと思う
塾の名前はビノイ剣士魔導士塾
ここでは5歳から12歳までの少年少女が魔法や、剣術を習っている。
授業はどの授業を取っても構わない
まぁ俺は魔法はいらないから剣術でも習おうと思う
道場にやってきた
「いーち、にーい、さーん」
「声が小さーい!!!
もっとお腹から声をだせ!!」
鬼教師だ
ツノが生えているように見える
否、本当に生えていた
「あのー先生」
「なんじゃね?君も混ざるかい?」
「混ざりたいですが、あの方はなぜツノが生えているのですか?」
「あぁあの方は極東の島国奴国に住む鬼族の末裔だ。
鬼族とは文字の通りおそれられているが、根は優しいやつじゃ
この授業を取るなら君も一度挨拶をしてみるといい」
極東の島国奴国か、
それってさ
日本じゃね?
鬼族とかもさ
一度でいいから行ってみたいな
「わかりました」
そう言うと俺はかけだした
そう、こういうのは最初が肝心だ
「あのー先生」
「なんだ貴様は!
稽古の邪魔だ!帰りたまえ!」
「あ、すみません」
俺は道場の端に行き、正座した。
「よーし続けるぞ〜」
ん?
ちょっとまて、
挨拶できてねぇじゃん!
「まあまあ落ち着きたまえよ
鬼太郎先生」
「あ、塾長先生」
「彼はさっき入塾したばかりの生徒でな
わしが挨拶してこいと言ったんだ
許してくれたまえ」
「あ、よく見れさっきゴリアンヌをぶっ倒した奴じゃないか
なんだ?この授業取りたいのか?
最近は骨のある奴がいなくてな
なんなら一緒にやるか?」
先生?
空気読もっか
後ろで殺気を放ってるゴリラがいるから
あと、その子分たちも
「いえ、今日は遠慮しておきます
明日にでも必ず授業には出るので」
「そうか、残念だな
お前は素質あると思ったのにな」
「さて、また見て回るとするかの」
「はい!」
ーーーーーーー
入塾テストから1週間後、
この1週間の間俺は休まず通い続けた
まぁ休んだらベルに殺されるんだが、
ともあれ平和に通い続けている
朝は6時に起き、朝食を食べ、顔を洗い、着替えて、歯を磨く
7時にはヘジスと一緒に塾に行く
毎日1時間の道のり
決して近いとは言えないが、足腰は鍛えられる
8時に塾に着き、8時半からある魔法座学に向け予習をする。
と言ってもあまりやることはない
詠唱を暗記するだけだ
まぁこれも詠唱破棄ができる俺に関してはなんの意味もないのだから
1時間の座学終了後
授業は魔法演習になる
魔法演習の授業はとにかく魔法を撃ちまくる
座学でやった詠唱を使ってみたり、
相手との実践演習
その他もろもろ
演習を2時間行ったあと昼食休憩に入る
皆んなは友達と食べているが、俺に友達はいない
なので職員室でヘジスと一緒に食べている。
1時間の昼食休憩のあと道場へ移動し、剣術の授業に入る
余談になるが俺は結構センスがあるらしい
まぁなんと言っても勇者に転生したからな
剣術の授業はいたってシンプルだ、
まず素振りをやり、型をやる
型が終わったら実践演習。
ここでは俺は先生を相手にやっている
まぁボコボコにやられるが、
これが俺のいつものスタイル
まぁ充実しているだろう。
今日の魔法座学は2級火魔法についてだ
「えー、魔法は全ての種類で2級になってくると1級とは違い広範囲に影響を及ぼすことがあるので注意すること
ちなみに先生は校舎を焼いたことがあります。」
こいつか
この塾が街中にあった時火事を起こした奴は
「えーでは、詠唱を唱えてみましょう私に続いて言ってください。
『偉大なる英雄の名の下に、汝の魔力を糧とし、地上を焼き尽くす大いなる業火をもたらせ』」
『偉大なる英雄の名の下に、汝の魔力を糧とし、地上を焼き尽くす大いなる業火をもたらせ。』
「はい、よくできました。
ではグラウンドに出て実際にやってみましょう」
「はーい、ではではまずはじめに先ほどやった詠唱を唱えてみましょう。」
すごい
やはり火魔法はかっこいい
ここでもう一つの発見をした
魔法陣の外に魔法が出てしまいそうになると自動的に消滅する仕組みになっているのだ
はいてくだぁー!
「では演習に移りたいと思います。
シルバー君はこっちに来てください。
あなたがやってしまうと全員凍ってしまうのでね。」
俺は先生と一緒に生徒たちを見ている
まぁ、なかなか面白い
みんな相手をぶっ殺す勢いだ
あれじゃ
死ぬな
死にたくないし
2時間の演習の後
ヘジスのいる職員室に行く
「父さん、ご飯を食べましょう!」
「なぁシル?
お前さ友達いるだろ?一緒に食べないのか?」
「父さん、空気読めよ…」
「ん!?
あ、あぁごめんな悪気があって言ったんじゃないんだよ」
はぁ、空気の読めない奴め
俺だって友達ぐらい欲しいよ!!
でも、入塾テストの一件があって俺は恐れられている
俺が廊下とか歩いてるとみんな逃げ出すんだよね
でも友達なんていらないもん!!
「まぁ食べましょう」
「あ、あぁ」
ーーーーー
午後の授業は剣術だ
いつもなら素振りとかをやるんだが、今日は座学教室だ
何をするんだろう
「あのーすみません
今日は何をするんですか?」
「うぇっ!!え!?
えーと今日はね
剣術の座学だよ まぁ色々やるから為にはなるよ」
そんなに驚かなくても…
傷つくわ…
それにしても剣術の座学か、
何するんだろうか
と、そこへ鬼太郎先生が入ってきた
「おい!お前ら!席につけー
授業始めるぞ!」
「えー今日は、覇気と、闘気、そして剣術の成り立ちなどについて勉強するぞー」
覇気?闘気?
なんじゃそりゃ
「えーではまず、剣術の成り立ちについて、
ゴリアンヌ!
どうやって剣術ができたかわかるか?」
「はい、
剣術とは元々騎士王アンドレアス・アーサーが、第一次魔王討伐戦争でなんの力も持っていなかった人族に対し、戦える技を身につける為にと、考案したとされています。」
おおー!
ゴリアンヌさん顔はアレだけど
なかなか頭いいんだな
さすが首席!
…だから睨むなってこっちを
「そうだよく予習しているな
今ゴリアンヌが言ってくれた通り
剣術とは騎士王アンドレアス・アーサーが考案したものとされている。
魔導士と違い、階級などの設定はされていないが、熟練者になると1人で国の5分の1は破壊できるほどの力を持つと言われる。
その他冒険者パーティーなどでも機動力のある剣士はとても重宝される。
よし!
成り立ちはこんなところでいいかな」
へぇー
じゃあ剣もならっとけば多少なりとも戦った時に有利に事を進めることができるのか。
「では、続いて覇気、闘気についてだ
まず、覇気についてだな
覇気とは一般的に言うと殺気ということだ
しかし殺気は相手をビビらせたりすることができるが、覇気を持っていると相手を気絶させることも可能だ。
ただし、気絶させることができるようになるには20年間厳しい修行に耐えなければならない。
それに覇気は生まれ持った才能であるから使えない人のが多い。」
覇気かぁー
俺使えんのかな
今度出しかた教わろっと
「続いて闘気についてだ。
闘気と言うのは殺気や覇気と違い、剣や体に纏うものだ。
例えば闘気の熟練者が剣に闘気を込めると、氷山を分断する程の威力を放つことができるし、体に纏えば騎士王級魔法だと耐えられるほどだ。
しかし闘気もずっと出していられる訳ではなくて5分ほどで1回切れてしまう。
これは、闘気で守られてる体が闘気に対応していられる時間が5分間だけということだ。」
へぇー闘気かぁ
使ってみたいなぁー
「どうだ?わかったか?」
「質問などがない場合は今日の授業はここまでにするがいいかな?
よっしゃ
じゃあ帰っていいぞ!」
「さよならー」
今日は早かったな
1時間くらいかな?
まだヘジスは授業だろうし
1人で帰るか
「先生さよなら」
「おう!じゃあな
気をつけて帰れよ!最近はこの辺でも人攫いが増えてきてるからな
特にお前みたいな子供は狙われやすい。
まぁお前ならぶっ倒せると思うけどな!ガハハハハ!!」
豪快な笑い方をしながら鬼太郎は教室を出て行った。
人攫いか、前世でいう誘拐か、
まぁそんなもんには捕まりたくないな
そんな油断が後に悲劇を生むことになるとはこの時の俺はまだ気づかなかった。