第7話 入塾テスト!!
「なぁシル、あれはなんだと思う?」
ぼーっとしていた俺はこの言葉でハッと我にかえる
何故俺がぼーっとしていたかそれはね?
それは家を出てから5分ぐらいしたとこだろうか
周りには畑風景が広がっていた
「綺麗だな…」
「だろ?なんでお前が家から出なかったのか不思議だよ」
自然と呟いてしまうほどそこの景色は綺麗だった
我が家があるのは小高い丘の上の村だ
この村はミハイリル王国・リスタ州・ビノイ村といって農作が盛んでミハイリル王国の半分の小麦を輸出しているリスタ州の主要な村だ
塾はビノイ村のはずれにある
昔は中心部にあったが、誰かが火魔法を使った時に山火事になりかけたという
おっと話を戻そう
「わからないですね〜」
なにやら塔がたくさん建っている
「そうかそうかシルにも知らないことがあるんだなぁー」
ニヤニヤしながらヘジスが言った
「あれはな、冒険者ギルドだよ
冒険者は皆仲のいいやつやその辺で知り合ったやつとパーティーを組んでギルドに登録するんだ。
そうすれば魔物討伐任務やらなんかの依頼が来て、成功すれば報酬をもらえるんだ」
へぇ
まぁありきたりだな
少し歩くとなにやら神殿のようなものが見えてきた
「父さん、あれはなんですか?」
「あぁあれは迷宮だよ」
おぉ!
あれが迷宮か
すげえな結構でかい
「迷宮ってあの攻略すると人智を超えた力を手にするっていう?」
「あぁそう言われてるな
あれが出来たのはちょうどお前が産まれた頃だったな
それから国の主要な人物やら、腕に自信のある冒険者がたくさん挑んだが皆帰らぬ者となったよ」
まじですか!
よし!
誓おう
俺は絶対に迷宮には行かない!
だって怖いもん…
ともあれそんなこんなで1時間歩くと大きな建物が見えてきた
「ここが俺の働いてる
『剣士・魔導士塾』だ」
おおー
意外とでかいな
「ここでは5歳から12歳までの子供たちがその後学校に行っても困らないように指導してあげるとこだ」
5歳から?
俺まだ2歳なんだけど
「僕はいいのでしょうか?」
「ん?なにがだ?」
「5歳からなのに僕はまだ2歳ですよ?」
「あぁまぁ5歳からってのは入塾テストに受かるのがそんなにいないからであってお前なら受かるだろう」
うーん
曖昧だな
この世界は適当だな
「とりあえず入るか」
「はい」
塾はいたってシンプルに作られていた
3階建ての建物でその殆どが教室、
1階には医務室と事務室そして職員室がある。
グラウンドには大きな魔法陣が書いてある。
おそらく魔法が出ないようにするためだろう。
まず、俺たちは職員室に行った
「おはよう」
「おう!おはようヘジス
あれ?今日は子供もいるのか?」
「あぁ入塾させようと思ってな
ほら挨拶しな」
「し、シルバー・ヴォルクです」
「お、礼儀正しいな
でもよヘジス
この塾は5歳からだろ?」
「大丈夫だ塾長に話は通してある」
「そうじゃよ
グリフィン先生、君が言うことではない」
「塾長!」
白い髭を生やしたお爺ちゃんが出てきた
まぁ
魔導士!
って感じだな
「君がシルバー君かい?」
「はい
シルバー・ヴォルクです
これからよろしくお願いします。」
「ほっほっほ
礼儀正しいのう
じゃが、君はこれから入塾テストを受けるのじゃ
受からなかったら塾には入れんぞ?」
「はい、わかっています」
「ほっほっほ
威勢がいいのう
よし、グリフィン先生グラウンドに生徒たちを集めてくれ
入塾テストをさせるとな」
「了解です」
いよいよテストか
腕がなるぜ!
と言っても負けたらどうしよう
不安でいっぱいだ
それから30分後
グラウンドに全生徒たちが集められた
「なぁ 入塾テストだってよ」
「あぁ知ってるぜ
しかも2歳児だってよ!」
「2歳児?なめてんだろ」
口々にそう言っているのが聞こえる
塾生には沢山の種族がいた
長耳族や炭鉱族
まぁでも人族が1番多い
正直怖い
負けたらどうしよう
やりたくなくなってきたなぁ
「皆んなに集まって貰ったのは他でもない。
彼、シルバー・ヴォルク君が入塾テストを受けるからだ」
塾長の言葉で皆んなが静まり返った
「彼と戦ってもらうのは
8年生のゴリアンヌ・ベンゲス君!」
は、8年生!?
最上位生じゃないかよ!
入塾テストだろ!?
しかも2歳児の
ほぉら皆んなざわついてる
「なんで主席が相手するんだ?」
「塾長、あのガキを入れさせたくないんじゃないか?」
そんなことを聞いてると1人の男の子が出てきた。
「俺がゴリアンヌだ」
「ぶふぉ!」
思わず笑ってしまった
獣族ではないだろうが
顔が、顔がゴリラそのものだ
「なにがおかしい!」
「すみません、なんでもないです」
「ふん!ぶっ殺してやる」
あぁ怖い怖い
その顔はまさにキング○ングだな
「まぁまぁ2人とも落ち着きなさい
ルールは簡単、どちらかが倒れるまでの一騎打ちだ武器はなにを使っても構わない。ただし真剣はなしだ。
では、ヨーイドン!」
そう言って塾長は花火を打ち上げた
その瞬間
「雷電!」
いきなり撃ってきた
おそらく塾長の話の間に詠唱でも唱えてたんだろうな
人の話は聞けよ!
3級魔法だろう威力はかなり強そそうだ
「ぐっ」
これを危機一髪で回避
「氷弾機関砲!」
これは俺のオリジナル技だ
これは俺しか使ってないだろうからおそらくレジストできない
「偉大なる英雄の名の下に、汝の魔力を糧とし、大地を凍らす大いなる冷気をもたらさんことを!『氷界!」
地面が薄く凍った
氷弾も凍らされた
くそ!上手く動けない
「くそ、『火弾」
かろうじて溶かす
薄かったからそれほど時間はかからない
「お前、詠唱破棄ができるのか!?」
そんなに珍しいことなのだろうか
あたりを見回すと先生と生徒たちが目を丸くしていた
「仕方がないな
あの技を出すか」
キリがなかった
ここまで勝てないのならば必殺技を使うしかない。
と言っても本で読んだだけでまだやった事はないからできそうにないが
「猛吹雪!」
俺が言った瞬間、
猛吹雪がおきた
「まだだ、もっと寒くなれ!」
ゴリアンヌはかろうじて立っている
俺は杖に魔力を込めた
次に足を思いっきり地面に打ち付けた
「凍結!」
その瞬間俺の足から凍っていった
吹雪の中でもがくゴリアンヌの姿が見えた
「すまないな」
呟いた瞬間、
ゴリアンヌは凍結した
「そこまで!
勝者シルバー・ヴォルク!」
うぉぉ!
っと歓声が上がった
皆、すげえ、すげえと口々に言っている
俺はすげえのかな?
「皆、これでわかったように彼は2歳でありながら霊王級魔法を詠唱破棄できる。
霊王級魔導士がこの塾にいるのはとても貴重な存在だ。
そこでこの子をこの塾に入塾してもらうことにした。
もちろん学ぶ事は少ないだろうが、この塾には剣士用道場もある。
どうだろうか皆の衆」
生徒たちがざわつく
その後沈黙が訪れた
「大歓迎ですよ塾長。」
後ろにゴリアンヌが立っていた
歓迎するとか言ってんのに
目が笑ってないんだよなぁ
俺いじめられたらどうしよう
「あいつがいいっていうならいいんじゃね?」
「あぁそうだな」
と、生徒たちは口々に言った
「では入塾を認めよう。
そこで彼には霊王級氷魔導士の称号を与えようと思う。
どうだろうかシルバー君
君が良ければ魔導士協会に言って申請してもらおう。」
申請なんてするのか
まぁもらえるものは貰っとこう
しかも霊王級だってよ
あの技霊王級だったのか
「謹んでお受けいたします。」
「うむ、よろしい」
「これにて入塾テストを終了する!
皆の衆授業に戻ること!」
塾長の言葉で生徒たちは帰って行った
それにしても霊王級氷魔導士か、
ヤッベェ
にやけが止まらん
と、次の瞬間
後ろから殺気が飛んできた
怖がりながら向くとゴリアンヌがいた
口元は笑っているが
目が笑ってないんだよ!!!
「よろしくな」
「は、はい」