第6話 親子喧嘩
魔導書を発見してから1週間がたった
読み漁ってみたが、だいたいの第1級魔法なら習得した。
まぁそれもこれも、ヘジスの蔵書の数によるものでもある。
ありがたい
しかし文字が読めるというのはやはりいい
この世界のどれくらいの人が読み書きできるかはわからないが魔法の詠唱を読むのに字がわかるっていうのは重要だ。
まぁ話を魔法の話に戻そう
俺は詠唱破棄を試してみたが一向にできない。
確か詠唱破棄は魔力総量に比例するって書いてあったような気がした。
うーん
魔力総量ってどうやって多くするんだろ?
そう、俺はここ最近ずっと魔力の限界まで使おうと思ってめっちゃ魔法使ってるが
いまいち限界がわからない
まさか魔力総量って生まれた時から決まっているのだろうか?
そういえば俺の名前がようやくわかった
いつもヘジスやベルが呼ぶ時は
「シルー」
と呼ぶからシルだと思っていたが
本当はシルバーって名前だそうだ
シルバー・ヴォルク
結構かっこいい
そうそうあともう1つわかったことがある
ヘジスは無職だと思っていたが
この町の魔導士塾というとこで教えていた。
なんと教師だったのだ。
どうりで魔法が上手いわけだ
この前なんかも
街中に出てきた魔物を仕留めたとか自慢してたような気がする
まぁ当分の間は詠唱破棄を目指してやってみるか。
ーーーー
あれから3ヶ月後
俺は詠唱破棄を習得した
やり方は簡単だった
なぜこんな簡単なのに気づかなかったんだろう
まず、手先に魔力を込める
まぁ集中する感じだな
体の内部から全ての魔力を流す感じで
それからイメージする
まぁ火やらなんやらを
それで完成
以外と簡単だ
しかし習ってない魔法はできなかった
まぁこれが才能の限界ってやつか…
とまぁいい
とりあえずは詠唱破棄すると威力を上げることができるのでその辺をもっと試してみるとする。
ーーーー
そして俺がこの世界に来てから2年後
誕生日会が行われた
「おめでと〜!!」
「おめでと〜!!」
2人がお祝いしてくれた
優しい
俺は幸せ者だ
まぁ誕生日だったら貰えるものがある
そう
TA•N•PU•RE
誕プレだ
俺は何をもらったと思う?
杖だ
小さいがかっこいい
「これでお前も立派な魔導士になるんだぞ!」
「はい!お父さん!ありがとうございます!」
「おめでとうございます」
そうだこの人もいたんだ
名前はレイス
我がヴォルク家のメイドだ
美人だ
好みだ
いやいや落ち着け
メイドだぞ?
手を出したらあかんぜよ
まぁそんな話は置いておこう
俺はこの2年間家からは一歩も出ていない。
否
出たくなかったのだ
前世の一件があり、俺は少しだけ対人恐怖症のようなものになってしまった
そろそろ両親から言われてもいい頃かもしれないな
「なぁ……シル?」
ほぉら来た
「な、なんでしょうお父さん」
「お前ー……俺の塾に通わないか?」
え?
あー
そういえばヘジスは塾講師みたいな感じだったな
「えーとそうですね…」
「あ、嫌ならいいんだ
別にな、ただお前が俺の部屋から本をよく持ってって魔法やってるみたいでさ」
うぉぉぉい!
バレねぇように行動してたのにな
バレてたか
でもな俺、またいじめられたらどうしよう
今度こそ復活できなくなるかもな…
でも
俺はこの世界で頑張るとか
魔王倒すとか言っちゃったもんな
ってか魔王死ななかったっけ?
まぁそんなもんは置いておこう
「…少しだけ考えさせてくれませんか?」
「あ、あぁいいとも
まぁすぐじゃないから考えておいてな」
「はい」
「ちょっとー何話しているの?
私たちに内緒でー!」
そこへベルとレイスが食事を持ってやってきた。
豪華だ
前世じゃこんなもの食べたことがない
「いただきまーす」
みんなで一緒に食べた。
そうだ俺はこんなに恵まれているんだ
逃げちゃダメだ
よし
塾へ行こう
そうだな
明日にでも言うか
とりあえず今日はご飯食べるか…
俺はご飯を食べたあとすぐにでも寝た
ーーヘジス視点ーー
俺たちにはかわいい一人息子がいる
シルバーだ
シルは俺の1人目の息子だから
子供をどんな風に育てればいいかわからないがシルバーはちょっとおかしい
いや息子のことをおかしいとは思わない
いわゆる天才なのだ
1歳で本を読み始め
2歳になると1級魔法を習得してる
しかも詠唱破棄まで出来てるらしい
俺はできないのに…
しかも親に対して敬語だぞ?
敬語、ベルは普通だって言ってるが絶対天才だよ
そこで俺は俺が働いている、剣術と魔法が習える塾に通わせようと思った。
絶対に通いたいと言うと思っていた
しかし反応は意外だった
シルバーは塾に行きたくないと言ったのだ。
何故かは知らないが結構な勢いで断られた
何かあるのだろうか?
まぁその後ご飯食べてる時に何か決心したような顔をしていたし
行ってみたいなんて言うかもしれない
俺は父親だ
待っていよう
ーーーー
俺は朝早く起きた
昨日の一件をヘジスに話すためだ
正直まだ怖いが、決めたことだ
行くしかない。
そう決心して、下に降りていくとヘジスが朝ごはんを食べていた。
余談になるがこの世界の主食はパンや麺類で小麦系だ
米が恋しいが贅沢は言ってらんない
なきゃ作ればいいからな
おっと話を戻そう
「父さん、おはようございます」
「おう、おはよ」
「あの、昨日の件で…
やはり塾に行きたいです。」
「塾!?」
とここで反応したのはベルだ
「塾なんて早すぎるでしょ!」
「でもシルは1級魔法を詠唱破棄できるんだぞ?通わせてもいいんじゃないか?」
「それとこれとは別でしょ?
だいたいどこに2歳から剣士・魔導士塾に通ってる子供がいるのよ!」
「だってシルは天才だぞ?1歳の頃から文字も読めたし今は魔法も使える
俺の持ってる魔導書だと1級までしか載ってないんだよ。
だから塾に通わせてもっと学ばせないと!」
喧嘩が始まってしまった
まぁ2人の言い分はわかる
なにせ俺はまだ2歳だ
中身はもう17だが、
塾は早いのかもしれないが、
俺は行ってみたい
魔法をたくさん学びたいしな
あとかわいい子もいるだろうし…
「母さん、心配してるくれるのはありがたいですが、僕は今は魔法をたくさん学びたいです。
それに…僕は母さんに負けないくらい今も強いと思いますよ?」
俺は思い切って言ってみた
ブチッ
ん?
なんかこの世のものとは思えないような音が聞こえたぞ?
あれ?
ベルの顔が赤い
どうしたんだろ
なんだよヘジスどうしたんだよ
そんなに慌てて
「母さん?」
「私より強いだって?ふざけんじゃないわよ」
え?
直感的に思った
殺される
そこからの俺の行動は速かった
前世で培ってきた逃走スキルを存分に発揮して家を飛び出した。
「オラァ!まてクソガキ!」
「おい!ベル!落ち着けよー」
「勝負するわよ!シル!」
えー
何この展開
こんなん望んでないよ
「ってうわ!」
いきなり氷弾が飛んできた
これをギリギリで回避
「偉大なる英雄の名の下に、汝の魔力を糧に、大地に大いなる冷気をもたらせ!
氷砲!」
いきなり撃ってくるなよ!
「火弾」
2級氷魔法を俺の最大出力の火魔法で
レジスト
「なっ 詠唱破棄でその出力?」
「くらえ!氷弾機関砲」
氷弾機関砲は詠唱破棄で出した氷弾を機関砲のように連射する。
「くそ
レジストが間に合わない!
ぐはっ!」
ベルに氷弾が直撃した
「はい!2人ともそこまで!
ベルもそんなにムキになるなって!
子供だぞ?」
「だって…シルが私のことバカにしてきた……」
おいおいなんだってんだよ
「あのー父さん?どういうことでしょうか」
「あぁまぁ話すと長くなるんだけどな
昔、俺とベルとで冒険者のパーティー組んでたことがあってな?
その時からベルはバカにされるとすぐ怒っちゃうんだよね
まぁ許してやってよ」
「あぁそうなんですか、」
なんじゃそりゃ
喧嘩っ早いからって子供に
しかも2歳児に2級魔法を放ってくるなんて
「でもこれだけ戦えれば他の子にも負けないわね」
あー
なるほどそういうことも考えてたんだな
「母さん、ありがとうございます」
「ごめんねついついカッとなっちゃって」
「まぁベルもこれでわかっただろ?
シルは強い騎士王級のお前でも負けたんだ、入塾テストもオッケーだろ?」
「そっかゴメンねシル
別にシルの事が嫌いって訳じゃないの
ただ、昔の血が騒いだと言うか」
「いや全然逆に心配してくれてて嬉しいです
僕は父さんの書斎にこもって本ばっかり読んでてあまり話もしてなくって愛されてないなんて思ってましたので…」
「こんなにかわいいのに愛してない訳ないじゃない!」
と抱きしめてくれた
ベルは優しいな
「3人とも、ご飯の途中ですよ。
食べないと冷めてしまいます。」
そこへレイスがやってきた
心配しなかったのだろうか
まぁヘジスが気付くぐらいだからな
勘のいいレイスが気付かない訳ないか
「おっし食べるか2人とも!
そしたたシル、魔導士塾に連れてってやるよ」
ふぅ
何はともあれ一件落着だ
ベルは騎士王級だったっけ?
ヘジスはどんくらいだろう
まぁ同じくらいだろうな
とりあえず今度から怒らせないようにしよう
殺されるからな
朝ごはんを食べ、着替えた後俺は最低限の書くものと紙を持ってヘジスと一緒に出かけた。
さあいよいよ塾だ!
気合い入れていくか!