第29話 迷宮生物
バッシャーーン!
「うぇ!?なんだ!」
「起きなさい!朝よ!」
びしょ濡れになった髪をかき上げながら目を開けるとそこにはマリシュンがいた。
「もっと優しく起こしてくださいよ。」
そう言いながら熱魔法と風魔法で熱風を作り自分に吹きかける。
「しょうがないじゃないあなたいつまでたって起きないんだから。」
全くこれだから女の子は困る。
前世でもそうだったが、わがままなんだよなぁ。
「ほら、シルバー早くしろ。もう行くぞ。」
インペルドが言ってる通りすでに皆んな用意が済んでいた。
「え?リカルドさんも一緒に行かれるんですか?」
「なんだ、ダメなのか?」
「ダメも何もお体の方は大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ない。君に昨日治癒魔法をかけてもらったからな。」
ならいいんだけどな……
よし、水筒も持ったし食料も持った。
「じゃあ行きましょうか!」
「おう!」
「はい。」
「遅いわよ!」
「了解。」
「よし。」
「うむ。」
うん。皆んな元気そうで何よりだ。
ーーー
意気込んでみたものの魔物やらは全くもって出てこない。
あれ?どうしたんだろうか?もっといると思ったんだけどな。
ま、出るよりは出ない方が嬉しいけどな。
「敵は全然出てこないですね。」
「そうですねぇ。リカルドはこの辺のこと何かわかりませんか?」
グルームが聞いた途端にリカルドは不安そうな顔をした。
「どうしたんですか……?」
「いや、ここに一緒に入った仲間を思い出しただけだ。この階層は魔法陣がいたるところにあってな。それを踏むとどこかに飛ばされてしまうんだ。」
「なっ!転移の魔方陣だと!?」
サミュエルが素っ頓狂な声を出した。
「どうかしたんですか?」
「い、いやなんでもない。さあ早く行こうぜ!」
なんだサミュエルの奴。
俺にも相談できないのか?
全く中身はあいつより上なのによ。
苦労するぜこの体は。
それより転移の魔方陣か……転移っていうぐらいだから結構危ないものなんかもしれないな。
あとで話してくれそうなグルームさんとかに聞いておこう。
「あ!水だ!」
サミュエルが走り出した先には水溜りが池のように溜まっていた。
飲めるか?
すると突然サミュエルがうめき始めた。
「う……グゥゥゥ……」
「大変!サミュエルが意識を失いかけてるわ!」
「なんだって!?どいてください!」
急いでサミュエルの近くに行き、治癒魔法をかける。
「『完全治癒』」
「どうだ?大丈夫なのか?」
治癒魔法をかけると次第に息が整ってきた。
ふぅ危ないところだった。
そう思い水溜りの水を飲んでみる。
「ぺっぺ!くっそ!多分毒ですね。毒のあるなんかの魔物が死んでこの水に毒が流れ出たんでしょうかね。」
「で、サミュエルは大丈夫なんですか?」
心配そうな顔でグルームが聞いてきた。
「大丈夫です。ただ今の状況で魔物が出てくると……」
する遠くからカラカラとよくわからない音が聞こえた。
「厄介なんだけどな!みなさん広がってください!リカルドさんとグルームさんはサミュエルを頼みます!」
「あれは見たことがない魔物ですねぇ。」
そこには鎧を着て、剣を持った骸骨がいた。
しかも三体。
「ここは俺が行かせてもらいます。」
「待ってくださいオルニアさん!奴らはまだ僕らに気づいてません。僕が一体仕留めるのでオルニアさんとインペルドさんで二体仕留めてください。」
「わかった。」
「うっす。」
「じゃあ行きますよ!マリシュンさん!援護を頼みます!」
「わかってる!」
上の階でA級の魔物がでてきたからおそらくA級か、それ以上だろう。
まぁでもここにいるのは全員A級冒険者以上の実力者ばかりだ。
奇襲だったら勝てるだろう。
「雷神流二ノ段 『雷鳴』!」
「『ミハイリル流王宮剣術』!」
「水神流『舞水』!」
三人一斉に飛び出した。
決着は一瞬だった。
オルニアの剣が骸骨の首を刎ね、インペルドの剣が骸骨を真っ二つにし、俺の刀が骸骨の体を縦に斬った。
「よっしゃあああ!意外と簡単だったな。」
「そうですね。やはり2人ともお強い。」
「なによ!私の出番がないじゃない!」
「まあまあ落ち着いてくださいよ。まだ活躍する場はきっとありますって。じゃあ先へ行きましょうか。」
念のため風魔法で骸骨の死体は道の端へどかしておく。
「全く……サミュエルさんは手を焼かすなあ。リカルドさん、担ぐの辛くなったら言ってください。いつでも変わりますんで。」
「ああ、大丈夫だ。助けてもらったお礼はしなくてはならないからな。」
おおー! いい人だ! サミュエルも見習って欲しいくらいだ。
そう、骸骨の死体を通り過ぎたあとだった。
カラカラっと後ろから音がした。
まさか……!
案の定骸骨は生き返っていた。
「くそっ!みなさん構えて!奴らおそらく不死身です。僕が凍らすのでみなさん下がっていてください。」
「ああ、わかった。 」
「『天罰の結晶』!」
バキバキバキ
そう音を立てながら辺り一面凍った。
「すごい!これが霊王級の力か……」
後ろを振り返ると皆んなが目を丸くしていた。
「じゃあ行きましょうか。」
こうして俺らは二階層目も一名毒にかかったやつもいたが、無事に攻略した。




