第25話 IN迷宮
ガタァンと音がして迷宮の扉が閉まった。
「『松明』」
ポッと杖の上に明かりが灯った。
「やっぱ詠唱破棄は便利ね。今度私にも教えてくれない?」
「いいですけどそれなりに魔力がないと危険ですよ。」
「失礼ね!私だってインペルド様の護衛をするくらいの力はあるわよ!」
マリシュンはムスッとした顔をした。
「すみません。でも詠唱破棄にはいい思い出があまりないので。」
「そう…まぁいつでもいいわ。迷宮にいる間ならどうせ暇だろうから。」
こんな話をしているとサミュエルが怒った。
「おいお前ら!迷宮なんだぞ!わかってるのか!!」
「わかってるわよ!まさかあなた怖いの?」
「なっ!そんなわけねぇだろ!」
「ふーんそうなんだぁー」
この2人はいつ見たって喧嘩してるな。
まぁ喧嘩するほど仲がいいっていうしな。
「みなさん。これを見てください。何か文字が書いてありますよ。」
グルームの一声で視線が一斉に壁に向いた。
「何語でしょうか?僕は見たことがないですね。」
するとインペルドが何か閃いたような顔をした。
「これは…天神語…か?」
「そうですね。これは天神語です。」
グルームも頷いて言った。
天神語か、初めて聞く言語だな。
「天神語ですか?聞いたことがないんですが。」
「まぁ無理もないでしょう。もともと天使族が使っていた言語ですね。あまり使われる言語ではないですからね。私はインペルド様の教師をしているのでわかりますが。」
凄いなグルームは。
「それで、ここにはなんて書いてあるの?」
マリシュンがしびれを切らしたように言った。
どうやら彼女は待つことが嫌いなようだ。
「そうですね…『見えないないところこの上に答えはある。』と書いてありますね…どういうことでしょう。」
「おい!シルバー!わかんないのか!」
角野郎はいつだって生意気だな。
「わかりませんよ僕にだって。まぁ今の所関係はなさそうなんで無視していきましょうか。」
ま、無視とは言いつつも何かの役に立つかもしれない。
メモでもとっておこう。
「それもそうだな。とりあえず、道には気をつけろよ。どこに罠が仕掛けられてるかわからないからな。」
さすが王子様だこういう生意気な奴がいる時には頼りになるな。
「ところでグルームさん。あなたは天神語を話すことができますか?」
「ええ、私はこれでもインペルド様の護衛兼執事でもあり家庭教師もやっています。なので教えたりするほどは話せます。」
「凄いですね。では、僕に教えていただくことも可能ですか?」
「ええ、もちろんですとも。シルバー様に教えられるなんて光栄ですよ。」
そんなこと言われたら照れるなぁ。
すると奥からグゥゥゥと音がした。
なんだ??
「王子、下がっていてください。」
おっ!なんか久しぶりにオルニアの声を聞いたな。
しかしどうしたんだ?
「あれはA級魔物の三つ目の狼だ!」
「どうします?やりましょうか?」
「いや、俺1人で十分だ。」
するとオルニアは二つの短剣を鞘から抜いた。
「『雷神流二ノ段 雷鳴』」
オルニアがそう言ったと同時に三つ目の狼の首が飛んでいた。
「よくやったオルニア。」
「うっす。」
速い…いや、速いなんてもんじゃないな。
聞いていた通り雷のような速さだ。
「しかし危なかったな。一匹だったからいいものの複数体いたらヤバかったな。」
「余裕そうに見えましたけど??」
「お前は何もわからないんだなぁーま、子供だから仕方ないか。教えてやってもいいんだぞ?」
やっぱりサミュエルはイラつく。
「いいですよ。オルニアさんに聞きますから。」
「チッ!生意気なガキだな。」
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迷宮に入って半日ぐらい経っただろうか。
三つ目の狼以外これといった魔物は出てこなかった。
「ん?みんな来てくれ。行き止まりだ。」
サミュエルが行き先の指差した。
「ほんとですね。どうしましょう。」
「ぶっ壊せばいいじゃない。こんな壁。」
「待ってください。壁を壊したら崩れる危険性があります。それと、迷宮に入ってから半日は経ってます。ここらで休憩しましょう。その間に僕は抜け道が無いか確認してみます。」
「わかったわよ。」
「それで、誰か一緒に行ってくださる方いませんか?」
「俺が行こう。」
そう行って手を挙げたのはオルニアだった。
「それではいきましょうか。皆さんはしばらく休憩しておいてください。」
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行き止まりの壁を右に行くと広い空間に出た。
しばらくの沈黙が続く。
「オルニアさんはどこで剣術を学んだんですか?」
「メンフィス王国だ。」
メンフィス王国?聞いたことのない国名だな。
「そこがオルニアさんの出身地ですか?」
するとオルニアの目が変わった。
あ、聞いちゃまずい質問だったか?
「あ、別に嫌ならば答えなくていいです。」
「いや、なんでもない。俺の出身国はアロン王国だ。アロン王国は世界で最も貧しい国と言われていてな。俺の一家も例外ではなかった。そして俺は奴隷大国と呼ばれていたメンフィス王国に売られたんだ。」
聞いちゃまずかったな…
「そこで剣術を習ったってことですか?」
「まぁ、そうだな。お前も剣術はやっているのか?」
「ええ、水神流を少々。」
「そうか、水神流か。世界で最も多く使われている流派が水神流だ。水神流は簡単だからな。それと覚えておくといい。世界三代流派と呼ばれている、水神流、火神流、雷神流はどれも極東の島国奴国が始まりの地だ。いずれ行ってみるといい。」
奴国!鬼太郎先生も奴国出身だったよな。
将来行ってみる価値はありそうだな。
「ところで、何も手がかりになりそうなのはありませんね。」
「ちょっとこっちへ来てみろ。」
「ここは…下の階へと続いてますね。」
下の階へと続いていると考えられる階段は暗闇へと入ってってる。
「ではみなさんを呼んできましょうか」
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「ここが下へと続いている階段ね。」
「はい。では行きましょうか。」
俺たちは下へと続く階段を降りていく。
はぁ…どんな敵が待ってるのやら…




