第19話 久しぶりの任務
「なぁ〜シルバー君、君は小さいのに凄い強いなぁ!」
小さいって言ってんじゃねえよ。
いくら王子様だからって馬鹿にすると俺だって怒るぞ?
「はいはい、そうですね」
「おい!お前!その口の聞き方はなんだ!このお方は次期国王様になる男、我らミハイリル王国第七王子インペルド・モール・ミハイリル様にあられるぞ!」
そう言ったのは頭に赤い角のある茶色い髪の男だ。
腰には斧を携えている。
剣ではないからおそらく剣士ではない。
なんやねんこいつ。
その他にもこのパーティーには大きな盾を持った老人と、等身大の杖を持った魔導士、短剣を2本持った剣士のような人がいる。
さて、そんな話は置いておこう。
なぜ僕がこいつらと一緒にいるかって?
それは今から30分前にさかのぼる。
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なんか言い争ってるなぁ
俺が深淵の森の入り口へ行くとインペルド達と、王国騎士団の騎士達が言い争っていた。
「だからぁーこの森に入れろって!」
「無理です。ここには依頼を受けてる冒険者しか入れませんので」
「サミュエル、いいわもう」
「うるさい!おい!お前ら!このお方を誰だと思っている!
ミハイリル王国第七王子インペルド・モール・ミハイリル様にあられるぞ!」
王国騎士団の人達は顔を合わせて笑った。
「なぁ〜んだ王子っていうから凄いやつかと思ったら堕落王子じゃねえか!」
堕落王子?なんじゃそりゃ。
「貴様ら!誰に口を聞いてるんだ!」
「ほっほっほまぁ落ち着きなさいサミュエルよ」
「あんたはいいのかよ!1番の古参だろ!?」
「だからこそじゃ、落ち着け。
じゃが、王国騎士団たる者王子にそのような態度をとるとは…
なにをされても構わんようだな?」
老人の目がギラリと光る。
「お、おい、物騒なことはするなよ!
俺らが死ねば団長が黙ってないぞ。
いくら王子様だからってそんな事は許されないぞ」
おいおいなにしようとしてんだ!
「ほっほっほなにもやりはせんだがしかしタダでは済まぬぞ?」
すると今まで黙っていた短剣を2本持った男が剣に手をかけた。
おいおいおい!やべえってこれ!
「おい!あんたら!やめろって!」
気付いた時には体が動いていた。
あ、やっちまった。
俺の良いところでもあるが損ばかりしてきたのはこの性格のせいだ。
困ってる人がいれば誰彼構わず助けてしまう。
まぁただのいいやつだが。
「誰だ!貴様!」
騎士達が槍を構える。
「シルバー・ヴォルクと申します。大木騎兵の討伐任務に来ました。これが証拠です」
俺はカバンからギルドで貰った任務の控えを見せる。
「あ、S級冒険者様でしたか。では、お入りください」
「あ、待ってください。
なんか物騒な感じがしましたが、どうしたんですか?」
「あ、いや、なんでもない。気にするな」
騎士の1人がそう言う。
するとインペルドが近づいて来た。
「あ、俺たちさ、臨時パーティー組んだんだったわ!シルバー!任務頑張ろうぜ!」
「はぁ!?」
さらにインペルドが耳元で
「おい、俺は王子だぞ?ここでどう答えるかなんて、かんがえなくてもわかるだろう?」
脅しかよ!!
ってかそんなの騎士達に通用するわけねえだろ。
「いいのか?早くしないとお前の家族だって危ないんじゃないか?」
くっ!
家族だって?ふざけんな!
「わかりましたよ」
「なにこそこそ話してるんだ!」
「いえ、こいつらが僕とパーティーを組んでる事を理解してないって言われましてね。
インペルドさんの言う通り、僕達この任務だけ臨時パーティー組んだんですよ」
俺がそう言うと、また騎士達は顔を合わせる。
「なぁーんだだったら先に言ってくださいよー」
おいおい…信じるなよバカたれ!
「じゃあ行きましょーみなさん」
「あぁそうだな!」
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こうして現在に至る。
最悪だ。
せっかくジョシュテルさんに忠告して貰ったのになぁ
「なぁー聞いてるか?」
「え?ええ!聞いてますよ。
まぁ僕がより王子様の方が強いでしょー?」
俺は王子様をめっちゃおだてる。
「お!なかなか見込みあるなぁ」
なんか以外とちょろい。
しかも、なんとなく王子様って感じがしないんだよなぁ。
「お前!いい加減敬語を使え!
小さいからって王子様にそんな口聞いていいと思ってるのか!」
うるせぇ!小さいって言ってんじゃねえよ!ぶっ殺すぞ!
「へいへい、すんません。
ところで、冒険者パーティーの職業ってどうなってるんですか?
見てみると色々な職種の人達がいるんですが…」
「それについては私がお答えしよう」
すると1人の大きな盾を持った老人が前に出て来た。
「冒険者パーティーの職種は剣士、魔導士、戦士、盾戦士、雑用係に分かれておる。
必要であればここに、回復魔導士や、賢者、僧侶など連れてくるが我々のような高ランク冒険者パーティーにはいらない存在なのだ。
雑用係は主に料理や、買い物などその名の通り雑用係ですな」
へぇーそんなんになってるのか。
じゃあ俺は魔導士とか、回復魔導士に属するのか。
「なるほど!ありがとうございます。
ところで、改めて自己紹介をしませんか?まだ名前を覚えていないので…」
「そりゃあいいな!
じゃあまずは俺から!
インペルド・モール・ミハイリル。
ミハイリル王国第七王子だ。
王宮剣術を習っていたからそこそこ強い。」
自分で強いとか言っちゃうのかぁ。
次に赤い角が出てきた。
「俺はサミュエル・アニルミア。
獣族だ。3番目の王子護衛だ」
獣族か、角にはいい思い出がないから嫌いになりそうだな
そもそもこの性格が嫌い。
「私はマリシュン・デムよ
魔導士で、騎士王級火魔導士。
2番目の王子護衛よ」
うーん美人じゃないからパス。
「私はグルーム・ケイトス。
盾戦士。1番目の王子護衛だ」
この老人には好感がもてるな。
なんて言ったって優しい!
俺が転びそうになった時に支えてくれたりとかいい人すぎるぜ!
まぁ腹黒そうだけど…
「最後に…我の名はオルニア・ノームトル。雷神流剣士だ。最近王子殿の護衛に選抜された。まだ未熟だが、よろしく頼もう」
腰低っ!!
なんとなく好感がもてる。
俺の同じようなものだからかなぁ。
「と、まぁこんな感じだ。じゃあ次お前ね」
あ、俺もやるんだ。
「えー…シルバー・ヴォルクです。
6歳、霊王級氷魔導士で、2級水神流剣士です。」
「霊王級なのね、私の師匠にしたいくらいだわ。ところであなたの師匠はどなたなの?さぞかし偉大な魔導士なのよね?」
そう言ったのは魔導士のマリシュンさんだ。
「僕に師匠はいませんね。強いて言えば父のヘジス・ヴォルクですね」
「ふーんいないのにそこまで強くなったのね。まぁよく感知してみるとわかるけど、あなた相当魔力あるわね。
才能があるのね」
師匠がいないのは珍しいのかぁ。
ってか感知ってなんだ?
「あの、感知ってなんですか?」
「知らないの??感知っていうのは体内や、体外の魔力を感知する能力よ。
まぁあまりいらない能力だけど」
へぇ〜すげえ。
この人も意外に強いかもな。
「止まれ、いるぞ」
いきなりサミュエルが言った。
え?まじかもう?
「どこですか?」
「あそこだ」
よくよく目を凝らしてみると、10メートルほど前に木に擬態した3メートルもあるほどの大きな魔物がいた。
「じゃあやっちゃいます?」
「いけるのか?」
「まぁ、この程度なら」
俺は杖に魔力を込める。
燃やし過ぎないように、少しでいいよなぁ。
「いけます!援護よろしくおねがいします」
「おう!」
「『火炎爆風』!!」
ゴオォーと音とともに爆炎が杖から出る。
その瞬間目にも止まらぬ速さで俺の前へ来る。
ヤバい!!
そう思った瞬間は遅かった。
闘気を全開にして纏う。
ボゴォォ
「グハッァァ」
「大丈夫か!シルバー!」
い、痛ぇくそッ!
しかし、闘気を纏っていたおかげで骨は折れてないみたいだ。
「『治癒』」
「大丈夫か!?」
「大丈夫です、今治癒しましたので」
「一旦距離を取るぞ!」
俺はオルニアに担がれる。
くそッなかなか強敵だ
オルニアが剣を2つ抜いて走って行く。
「雷神流歩法の型『稲妻』」
オルニアの体が稲妻のように大木騎兵に迫る。
見えないほど早い。
しかし、大木騎兵には見えていた。
持っていた木の槍をオルニアに向けて振り下ろす。
「ウゴォー」
「危ない!」
ボキィ
くそッ遅かったか!
違う、折れたのは木の槍の方だった。
盾戦士のグルームがオルニアに前に出て守ったのだ。
オルニアはそのまま大木騎兵の体を真っ二つにした。
「おお!」
そのまま大木騎兵は動かなくなった。
「よっしゃあ!」
王子が歓声をあげる。
お前なにもしてないだろ!
しかし、この一瞬の隙をもう一体の大木騎兵は逃さなかった。
木に擬態し、後ろからオルニアと、グルームに襲いかかる。
「後ろだ!」
サミュエルが言った時には遅かった。
俺以外の闘気を纏えてないパーティーメンバーは全員槍の餌食になった。
治癒してる時間なんて無い、一気に決めなければ。
「くそッ!『火炎爆風』!」
ゴオォーと音とともに爆炎が森一体を包む。
くそッ
何か策はないのか!
「シルバーくん…大木騎兵に勝つには…足元を狙いなさい…」
かすれた声でマリシュンが言った。
足元か、よし!
地面に魔力を込める
「『地震』」
案の定あの細い脚では地震に耐えることができなく、ポキっと折れた。
今だ!
「『火炎爆風』!」
爆炎が森一体を覆う。
「か〜ら〜の〜『天罰結晶』!」
爆炎ごと氷で覆った。
よっしゃあ!
おっと、そんなこと言ってられない。
早く治癒しなければ。
全員一箇所に集める。
「みんな骨が折れてるな『完全治癒』」
黄緑色の光とともに、4人の体が治癒されていく。
「ふぅ、助かったありがとうな」
「いえ、助けるのは当たり前ですからね」
「終わったのか…じゃあギルドに帰ろうか」
インペルドの声で皆が立ち上がり、帰りの支度をする。
こうして俺の2回目の任務は幕を閉じた。
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冒険者ギルドについたのはもう日が落ちきってからだった。
「任務終了しました。ご確認宜しくお願いします」
といって、受付に行く。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
ふぅやっと終わった…
今日は帰ってゆっくり寝たいなぁ
「なぁシルバー、俺たちとパーティー組まないか?」
そう言ってきたのはインペルドだった。
うーん大丈夫なのだろうか?
ジョシュテルはあんなこと言ってたしなぁ。
「では、任務の時だけの臨時パーティーとしましょう。それでよろしいですか?」
「ああ、もちろん!」
こうして俺はミハイリル王国冒険者団に新加入したのだった。
臨時だがな…
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冒険者プロフィール
シルバー・ヴォルク
6歳
S級冒険者
職業:魔導士
霊王級氷魔導士
2級水神流剣士
依頼達成回数:2回
今回達成した依頼:大木騎兵2体の討伐
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