ツイスター 回転系最後
回転系の話10/10最後です。
誰に頼まれたわけでもないし誰に望まれた訳でもないのに私が勝手に初めて、勝手に自分の首を絞め続けたこの『回転系』の話も今回で最後。やっと最後。これは誰にもわかってもらえないかもしれないけど、でもやってみるとこれが意外と感慨深い。今私はすごい感慨深い。この話の最後の方で、もしかしたら泣くかもしれない。
ただ、最初はまさかこんなにかかるとは思わなかった。だが、実際は、『実際』というものはとても恐ろしいもので、本当に一年以上かかった。その期間私はずっと自分の頭のどこか片隅に『回転』というものを住ませていた。
今、そのことを考え直すと少し怖い。ずっと脳みそがミキサーにかけられていたような気がする。
あるいは、本当にそうなっているかもしれない。
で、回転系最後の話のタイトルは実は遥か一年前から、最初から決めていた。
『最後はツイスター、にしたい』
と、決めていた。
どうして、どこから、『ツイスター』が出てきたのかと言えば、簡単な話、回転系最初の話に対する踏襲である。
『ハムスター』というタイトルに対をなすもの。
一年前の私が『ハムスター』というタイトルの話でこの『回転系の話』のスタートラインを踏んだその時、私は既に決めていたのだろう。
私は踏襲が好きなのだ。
大好きなのだ。
特に、
他者がもうとっくの昔に忘れ去ったタイミングで、わざわざまた掘り起こしてきて、それをさも「まあ、あの話でも書きましたけどね?」ってやるのが大好きなのだ。
リビングデッドが好きなんだろうと思う。
あと、
性格が悪いと思う。何があったのかわからないけど、本当に悪いと思う。
まあ、
それがまた・・・たまらないのだけど・・・。
さて、そんな訳で何時までもぐだぐだやっている訳にもいかない。ここでは『ツイスター』に関する某かの話を考えなくてはいけない。
ただ、
考えなくてはいけないのだけど、でも正直な話、何も思いつかない。
ホントに何も思いついてない。
もしかしたら一年前の私はなにかを考えていたのかもしれないけど、今の私は本当に何も考えていない。
正直どうしたものかと、今正直私は思っている。
ただ、一年前の私が書いたメモ帳の「羽生河四ノ回転系の話、十本」というページを見ると、
ハムスター
と書かれている部分と、
ツイスター
と確かに書いている。そしてそれが書かれている部分にはそれぞれ『☆』のマークを描いている。
しかも、そのメモ帳の下の部分には走り書きで、
「ハムスターが最初、ツイスターが最後!!」
というようなことが書いてある。
一年前の私は一体どんなことを考えていたのか今の私には全くわからない。本当に一切わからない。そもそも今の私にはどうして一年前の私が「回転系の話を書こう!」って思ったのかがわからない。
とはいえ、『ツイスター』に関するなにかを書かないと、終われない。仮にそれに触れないで終わったとしても、このままではこの話のタイトルは『ツイスター』というよりはむしろ『リビングデッド』になってしまう。
なのでここ一ヶ月程は『ツイスター』に関する色々なことを考えた。
ツイスターとツイスターゲーム?
とか、
ツイスターとツイストを踊る?
とか、
ツイスターとケンタにいく?
とかそういうことを考えた。
しかし、ともすればすぐに脱線してしまいがちな私の頭は、すぐに「ツイスターよりトルネードとかの方が・・・」とか「ハリケーンの方が・・・」とか考えてしまうのだ。
例えば、
『torneでトルネードを録画したい』みたいな話を考えたりした。
それで、話のオチは、二人の会話で終わるのだ。
「よし、じゃあtorneでトルネードを撮るね?」
「いや、それtorneじゃないし、それは地デジチューナーだし、torneはアプリの名称だし、そうやってwikiに書いてるし」
「・・・じゃあ・・・torneでトルネードはとれね・・・
みたいな感じ。
さすがにやめた。
あと、ハリケーンはどうしてもある戦隊が出てくるのでそれもすぐにやめた。
他にはツイスターを知るという目的のために映画も観たりした。昔学生時代に一度観たんだけど、最近dビデオでなんか観れたので改めて観てみたのだ。
ただ・・・結果的には、これは良くなかったかもしれないと今は思っている。その・・・なんというか、それのおかげで強くイメージが固着されてしまったのだ。
もう、とにかく竜巻いてしまった。
頭の中がもうすごい竜巻いてしまった。
二次元に厳しいこのサイトだからあまり詳しくは書けないんだけど、
でも、
とにかく竜巻いてしまった。
というわけで、
現在の私は苦境に立っている。まあ、他人からしたら全然苦境じゃないと思うんだけど、でも今の私的には間違いなく苦境だ。
最初にタイトルだけが存在しているというのは、こんな風に辛いこともあるんだな。と今の私は考えている。実感している。
『そんなに邪魔なら変えてしまえばいいじゃないか!』
と、皆様なら思われるだろうか?しかし、これは変えることができない。
それは私と昔の私との約束なのだ。
・・・ああ・・・もう・・・ここで一つ、告白する。いや、是非ここで告白させていただきたい。
本当の私は私ではない。僕だ。
私は昔、本当は『私達』だった。でも今はもう僕なのだ。僕一人なのだ。
昔、半年ほど前まで『羽生河四ノ』という存在は二人でやっていた。
僕は書き手、そしてもう一人が話を考えていた。
病院の待合室とかで彼女から話を聞いて、そしてそれを僕が字に起こす作業を行っていた。
ただ・・・、
まあ、よくある話だ。
少し前のアーティストが(今もそうかもしれないけど、僕は知らない)よく「方向性の違い」で解散とかしていたけど、それは僕たちも同じことになった。
ただ一つ、アーティストと違うとすれば、解散ではなく、
僕が、
彼女を、
殺してしまった、
ということだ。
というのも彼女はある日、僕が一人で考えて書いた話を読んで僕のことをひどく言った。もうすごいひどいことだ。泣いてしまうようなことだ。「つまらない、死ね」というようなことだ。どうしてそんなことをいうのか僕には理解できなかった。だって僕はそれまで彼女の話を読んでいて面白いと思っていたし、他人に理解されなくてもすごいと思っていた。だって話というものを思いつくこと自体が、もうすでにすごいことだと僕は思っていたのだ。そんな彼女のことを尊敬していた。
で、これを読んでいる『短くても過去に一度でも話を書いたことのある人』ならわかってくれると思うんだけど、人間っていうのは他者の存在に影響を受ける生き物だ。こういう話を書きたい。そういう感情っていうのは他の何かからインスピレーションを得るものだ。
今まで話のことなんか考えたこともない僕も、あるとき、そのときはちょうど彼女から聞いた話を僕が文字に起こしていた。そんな時、ふと自分の中に今まで体験したことのないものが湧いたのを感じたのだ。
つまり僕がその話を書けたのは言ってみたら彼女のおかげだ。彼女の話に何かしら触発されたに過ぎない。
そんな訳で、彼女にひどい罵声を浴びせられたとき、僕は自分の頭の中でわけがわからなくなった。
それはさながらひどい暴風雨の中にいるような感じだった。
目が見えない、耳も聞こえない。何も考えられない。どっちが上かも下かもわからない。
僕はそのとき、ひどいところにいた。もしかしたらツイスターの中にいたのかもしれない。
そして、
気が付くと、彼女の体の至るところを刺していた。
彼女は穴だらけになっていた。
とっくに動かなくなっていた。
・・・、
そんな訳で、回転系の話の四話以降は僕が一人で考えて書いた。
彼女はもう動かないので家の床下に埋めた。ワンドアの冷蔵庫に無理やり詰めて、んで、それごと埋めたのが良かったのか、臭いはまだしない。
そして、彼女がいなくなったので僕は回転系の話の他にも色々な話を書いてみた。
それが意外と書けるので僕は正直、驚いている。
ただ、回転系の話は彼女のメモ(彼女はまずタイトルだけ決めてそこから話を考えていたみたいだ)を見て、あとは僕が一から考えて書いていたので正直彼女の想像の話とは違うかも知れない。そもそも彼女の考えたことなので僕には想像もできない。
でも、もうこれでやっと終わりなので僕は正直ホッとしている。
彼女に対しての追悼もようやくこれで終わりだ。
これからは僕の好きな話を書いていこうと思う。
今日がその新しいスタートの日だ。
彼女も土の下で喜んでくれていればいいけど・・・。
こんなこというのも無粋でアレなんですけど、もちろんフィクシ・・・