第006話 『そして俺は…どうしてこうなった?』
オッサンだと思ってた人が実はハスキーボイスな女性でした…しかも『ユゥシャァ』って言いながら泣いてるし…それこっちの言葉じゃなくもしかして日本語の『勇者』ですか?
ってかなんで泣いてんの?…勇者に助けてもらいたいことが有るとかそんな感じ?…勇者って言っても召喚されただけで何も出来ないと思うんだが…泣くほどの事があるのかねぇ…
その人のやたら張りのある巨大な胸に抱かれながら薄め開けてその人泣き顔を観てたら…目が合っちゃったんで思わず…目を逸しちゃった…
あぁ…これ気が付かれてるなぁ…思いっきり驚いた表情してたし…言葉は判らないけど気が付かれたことだけは分かったわ…
『ユゥシャァ…デァラッティム?』
その一言で周りが一気にザワついた…危険だと思ってた相手が気がついてるって言っちゃったんだろ多分…そりゃねぇ…ザワつくだろうさ。
でもなぁ…いや、マジで言葉判らないから…どうしたもんかなぁ…なんてことを考えてたら
『ちょっ!?』
その逞しい女性は俺の頭を胸に抱いたまま右手にナイフを持ちだした!
この流れでオレを殺すの!?無いでしょ!?とか思ってビビって目をつぶったんだが…
ん…数秒経っても痛くない…あれ?どうした…と思ったら口に噛まされてた蔦が外された?…あ、蔦を切ってくれたのね。
『あ、ありがと…』
口の蔦を外されて、どうせもう俺の気がついてる事には気が付かれてるんだろうし取り敢えず言うだけ言っとく…この世界の言葉でヤバイ言葉で無ければいいんだけどな…
言った後でヒヤヒヤしてきた…言うんじゃなかった…?
周りが更にざわつく…えっと…俺が話をした事でなんか問題が有るんだろうか?
マッチョな彼女は今度は俺の後ろ手に縛ってる蔦と足を縛ってた蔦を切ってくれた。
で、俺の脇の下に手を入れてヒョイッと軽く俺を持ち上げ
『ユゥシャァ…ミィッティムゥンガ!』
マッチョな人の言葉にさらに周りがざわつく
そう言って俺を下ろしたと思ったらイキナリ俺の上着を脱がしにかかった
『え?ちょっま!?』
いや、この状態であんまり逆らうと状況が悪くなるかもしれない、無抵抗に脱がされるか…
フード付きのトレーナーとTシャツを力ずくで脱がされ後ろを向かされる…何というかこう言う風に自分より大きな存在に服を脱がされるとか通常無いことなんでなんか不思議な感覚…いや、それ以前になんか周りがザワついてたのが一気に静かになってるんですけど、ホント何があるの俺の体の事?
『ヤァガ!!バニァンテュン!!』
マッチョな彼女は俺の背中…肩甲骨のあたりにに手を当ててからそう叫ぶ、さらに俺を前に向かせて目を隠すぐらいの長さがあった前髪を手で後ろに流してオールバック状態で固定し
『ヤァガ!!バニァジィング』
周りはざわつき始める…
『バニァテュンンガジィング、フィリンニァイガィグィアンタッ!』
隣に居た女もまた声をあげる。
『アガマゾクナァンガヤァリッタァヤ、マゾクヤガガイジャンエネェイァランギャニィッゴォ!ノゥオイアンガッタリィナイッタァ、ワングヌゥアイウアンラァッティッカァングラニミィアァグラニムゥナァダザン!ウリィアングマゾクアンラィイヒィヤァンルゥ!』
またマッチョな彼女が今度は俺のズボンを膝まで力づくで一気に下ろして俺の何を引っ張ったりグニグニしたりしてる!?ちょ?!これ・・・マジでどういう状況!?
もう訳が混乱して訳が判らないので股間をグニグニされてても反応なんかしようがないぞ…もう俺のモノは可愛く縮こまってるよ…ほぼ全裸でそれを衆人環視にさらされるってホントどういう羞恥プレイですか!?
『イガァチンプゥフ、クラァンティマ!ユウシャァ!ユウシャァヒィルビディアッグ!!!』
『『おおおおおおおぉっ!!!!』』
なんか周りの女達が一斉に…ひれ伏したぞ?
『『ユゥシャァ…ユゥシャァ』』
そして、こちらに頭を上げ下げしての大きなウェーブで『勇者』大合唱である…えっと…取り敢えず俺の命の危機は去った…無事ってことでOK?
ねぇマッチョな人…えっと…ズボン…上げてもいいかなぁ?
取り敢えずこのユウシャの大合唱が数分続き…周りを守っていてくれた人達と一緒に大木の虚の中に連れて行かれた…
木の虚の中は完全に部屋っぽくなっていて床には草を引き詰められていて柔らかい…入る際に靴を脱ぐとかはない…っていうか、彼女たちはそもそも靴を履いてません。
部屋の中央には大木の丸太を輪切りに斬ったような机と椅子。部屋の奥の方には獣の毛皮を敷いてある…寝床なんだろうか?
他に部屋は無いし…ココでの一般的な生活はこう言う部屋でするもんなんだろうか?
一応俺の荷物はあのマッチョな人が持ってきてくれてる…部屋の入口付近に荷物を置いてくれた。
みんながみんな大ぶりの近接武器を持ってるんだけど(マッチョな人はドデカイバトルアックスな感じの武器、他の人もなんか10kg以上はありそうな大剣の様なモノを背負ってる。)…それを追いたりしないで皆背負ったままとか…え?疲れないの?…なにこのゴッツイ人達…俺あんなの背負ってずっといるのは絶対に嫌だぞ?
皆が武器をそのままで椅子に座っていくので俺も座るんだが…
なんか凄い刺すような視線をしてる人も居るんだよなぁ…見た目は身長170cm位のスポーツ少女的な娘、肌はやはりマッチョな人と同じで日焼けしてる…
金髪というよりもオレンジっぽい髪の毛は後ろで大きく束ねているが…ポニーテイルみたいではなくもっと低い位置で束ねて居る…が其処から毛が大きく広がってるので後頭部に箒をつけているかのようだ。
その背には馬とか簡単に両断出来そうな幅が30cm刃渡り1m以上の分厚い剣を背負ってる…前から見てても剣が物騒すぎるんですが…抜かないでね、
うん、人が少なくなって落ち着くかと思ったけどその娘の刺すような視線だけでも落ち着けません…いや、マジで俺が何したってのよ?この世界に来たばかりだぜ俺?
取り敢えずは椅子に座ったものの…えっと言葉が通じないからホントどうしたものか…やっぱアレか、ダンスウィズなんとかとか言う映画みたいな感じで言葉を教え合ってくとかやったほうがいいのかな…
ん~…ここはやっぱり自己紹介なんだろうけど、言葉が通じない…名前ぐらいは教えておくべきだろうか。
『誠二…せ・い・じ』
俺は自分を指さして、聞き取りやすいように言ってみる。
『セ…イジィ…セイジ?』
マッチョな人は素直に俺の名前を繰り返してくれる、俺はウンウンと頷き正しいことを伝える…なんか発音は変だけどその辺りはしょうが無いだろう。
今度はこのマッチョな人の名前を聞くために彼女を指差す。
ん?と言う感じでマッチョな人は自分を指さし
『ミィーナァ…ミー・ナァ』
うん、俺が名前を訪ねている事は理解されてるようだ。
マッチョな感じだけど名前は可愛らしいのねミィーナァさん
そうやって回りにいる人達の名前を全員聞いていく…なんかさっきの箒頭の娘はイヤイヤっぽかったが…周りからのプレッシャーで答えてくれた名前は『ヤハトゥ』。
他の細身で身長の高い『ラフィ』、ドレッドヘアの様な髪型の『アンジィ』、オカッパ頭でグラマー体型な『ケィジィ』、小柄でツインテール、まるで少女の様な『ローミィ』
この六人が一つの集団のようだ。
と、取り敢えず全員の名前を聞いた所で…一人の腹の虫が『ぐぎゅるるぅぅ・・・』と盛大な音を鳴らした。
さっきから俺を睨んでたヤハトゥがバツが悪そうにお腹を抱えている。
と、ミィーナァさんが声をかけて数人が動き出す…食事の準備でもするんだろうか?
4人が外へ出ていきミィーナァさんとヤハトゥが残る…まぁ勇者だと思っていてもいきなり消えたり暴れだしたりしたら問題だから監視は必要ですよね…でもホントヤハトゥ…その『殺す!』って目で睨むのはマジで辞めて!
手を背中に背負ってる大剣にもってかないで!
ヤハトゥが何やらやりながらミィーナァと会話をしているようだが…こっちはヘタに声がけする事も出来ず…三十分程じっと椅子に座っておとなしくしていると…
『ガランクゥヤァ!』
アンジィ他四人がそう声をかけて戻ってきた。
彼女らは手に何やら大きな樹の葉っぱで包んだ大きなものを担いでいる。
で…どう考えても皆…血で汚れた姿です…身にまとった毛皮が思いっきり血にまみれてて…血まみれの顔で笑顔とか怖いよ?
机の上にソレを置いていく…ドシャ!という音で…ソレを目の前に置かれて包んでいる葉を開かれた…ええ、どう考えても肉です。
…コレ…さっき俺の横にあった熊モドキの肉ですよね?…あのぶっとい抱きかかえるのもを辛いような熊モドキのウデ肉を輪切りにして四分の一にしたような10kgはある塊である。
横にレバーも500グラムぐらい入ってますね…
し・か・も……どこからどう見ても『生肉』!!
俺、アレを殺した後に血抜きとかしてないんで…コレ…思いっきり血が噴き出してくるんですけど…
ってか毛皮を剥いでないんですけど…今捌いて来たって事だろうけど…え?これ…?え?
そう思って俺が引いていると…皆が席に付き…
…皆そのまま生肉の塊に喰らいついてる!!
なんかガウゥッ!!とか言いながら食ってる人が居るんですけど…え?ええ?えええええ???
ココじゃコレが当たり前なの?え?何コレ?…エスキモーかよ!?いや、エスキモーだって皮は剥いで捌いて一口大にして食うよ!?
と色々突っ込みたいけど…流石に…変に大声だして周りを緊張させるのはあまり好ましくない…よねぇ?
『ユゥシャァ…セイジィ?…イーグァ!』
ミィーナァが俺が口を付けてないのを不思議に思い声を掛けてくる…勇者と言った後でちゃんと誠二と修正してくれてもいる、最後のは『食え』とか『食べないの?』とか言う意味なんだろうな、ちゃんと気が使える人なのだろう。
…でもね、その口の周りを血で汚してすんげぇ鋭い牙を魅せつけるような食い方されるとマジで怖んだけど…それにやっぱり怖いよ寄生虫とかさ…さっき殺したところだからそりゃ鮮度の問題はなんもないだろうけど…
ってか彼女たちは武器は使ってるけど獣耳や尻尾があったり牙があったり完全に獣かよ?顔の形は人間だけど…コレはやっぱりアレなのか…獣人とか言うようなものなんだろうか?…でも其処までケモノケモノしてる感じじゃなくコスプレっぽい姿なのに…
ずいぶん前から気づいてはいたんだよ?…だって頭の上に尖った耳が有るんだもの…尻尾が有るんだもの…でもコスプレみたいなものかと思って突っ込まなかったんだよね…
ほら、原住民なら強い獣の特徴をアクセサリーにしてその獣の強さを得ようとしてるとかあるのかと思ってたんだよ…不思議に耳も尻尾も動いてたけどさ…
やっぱりどう考えても耳も尻尾も生身ですね…獣人さんですね…
コレ…多分彼女らは調理とか知らないんだろうな…いや、栄養価は焼く前の方が高いんだろうけどさ…生肉食えばビタミンとかも焼いた物より多く取れるんだろうけど…
住む所もアレだけど…食事も完全に火を使わない原住民レベルなのか…
…それでもやっぱり俺には生のままはちょっとなぁ…
俺は自分の荷物を取りに行き当初予定していたように火を付ける道具を作る事にする。
スニーカーの靴紐を外して、樹の枝の端に紐を結んで弓型にして反対側も紐で結ぶ…乾燥した太い枝を割って作った板を下に敷いて…乾いた細い繊維の草を一纏めにして置いて…
あ、板の反対側押さえるのに…まぁ板の端のほうを切って使うか…あとは棒がズレないように板と押さえる側の板にナイフで凹みを付けて…種火の準備は完成っと。
後は…この樹の虚の中で火を付けるわけにも行かないよな…可燃性の物しか無いし…
外の土が見えてる場所に細い枯れ枝を組んでいってその周りに多少太めの枯れ枝を組む…近場にあった枯れ葉も入れて着火しやすくしておくか…用意した火種を作る道具もこっちに持ってきた。取り敢えず準備完了かな?
彼女らは俺が何をしてるのか…肉を喰らいながら何も言わずに見ている。
さてと…弓の蔓(スニーカーの紐)に棒を巻きつけて、板のくぼみに棒をあて、足で板を押さえて、左手で小さい板を使って棒の上側を押さえる…行けるかな?
弓を引くとキュー!キュー!と音がして板が焦げ臭いにおいを出す…
一旦棒と弓を外して板のその焦げた窪みまでナイフで切れ込みを入れて…よし、本番!
さっきと同じ体制で弓を思い切り引きまくる!焦げ臭くなり、煙が上がって来た!一分もせずに火種が出来た、やっぱり弓使ったやり方は火種が出来るの速いな!
マサイ族の様に手でやろうとしたら思いっきり手のひらが痛くて話にならなかったからなぁ…ええ、この弓を使ったやり方も薫子の知識ですが何か?
キャンプでカッコつけて原住民式!とかいってやろうとしたら焦げ臭くなっても火が着かなくって…このやり方を教わりましたけど何か?
生肉の塊に喰らいついてた彼女達は焦げ臭い臭いに何事か?と鼻をヒクヒクさせている…まぁそれでも肉は手放さないし食ってる口を止める事は無いようだけど。
板の切れ目の部分にできてる火種をこぶし大ぐらいに纏めた乾いた細かい草の中に入れて…思いっきり腕をぐるんぐるんと振り回す!!
草に火が付くと彼女たちが騒ぎ出した!まぁ文化レベルが火を使う所まで行ってないならそりゃ驚くか…ん?でもどうやって彼女たちは背負ってるドデカイ鉄の固まりっぽい武器を作ったんだろうか?鍛冶なんて絶対に無理だろ?火が使えないなら…???
まぁいいか、言葉も変わらないんだし今聞いても無駄だし、今は取り敢えず飯だ。
その火を焚き火の為に組んだ枯れ枝の中に投入、コレで時間が立てば焚き木に燃え移るだろ、焚き火は完成っと…
余った細い枝を数本持って再び部屋の中の自分に渡された肉の所へ、さすがにこんなデカイ肉の塊のままじゃ火も中々通らないだろうし…ワイルドにマンモス肉みたいな喰い方もしてみたいけど…さすがにアレだけの焚き木じゃ無理だよねぇ…
もっとデカイ火とYの字になった太い枝が二本有れば出来そうな気もするけど…こんだけ太い腕の断面じゃ…絶対に火が通らない…なにより腹減ってるんだ、ちゃんと火が通る厚さにしよう。
ナイフを使って肉の塊を厚さ二センチ程にドデカイステーキ肉の様に切り分け、さらに3x5cmぐらいに切ってそれを枝に刺して行く。
案外肉質は柔らかくって枝がしっかり刺さるな…
それを五本ほど用意したら焚き火の近くに突き刺して…あとは焼けるまで火を絶やさないように焚き木を追加していくだけだ。
何が何だか判らない彼女達は焚き火の近くに居る俺の横にまでは来ないで遠巻きに見ている…やっぱり火が怖いのかな?
しばらくすると肉が焼けた匂いが漂い始める…最初の火種の時には炭の焦げ臭い匂いに変な顔をしてた彼女達だが…この匂いには美味そうだと言う感覚があるのだろうか…生肉の手を止めてこっちを見るようになった…
なんかこの流れだと焼いた肉を食わせないとダメっぽいな…さらに枝を集めて追加で10本ほど用意するか…肉を焚き火の近くに持ってきてまた肉串にする。
最初に焼きはじめた物を五分ほどしてから肉の火にあたる面を変えて…10分ほど…うん、十分火も通ったようだ(寄生虫が怖いからしっかりウェルダンまで火を通した)…試しに一口食ってみる。
まぁ血抜きが十分じゃなかったけど、新鮮な肉だったのでそんなに臭みもない…なんか癖はあるけどソレは多分熊モドキ自体の味だろう。そこそこ美味しく食べれそうだ…まぁ塩も無いので味気ないのは仕方ないけどさ。
あまりにもダラダラとヨダレを垂らしてるミィーナァ達がアレなので…串を三本渡す。
『アガラッシィア!』
多分ありがとうなんだろう言葉を返しミィーナァと二人が串に喰らいつく…と
『アッガィイ!』
声を上げて皆一気に全部食ってしまった、多分『美味い』なんだろうけど…おいおい…六人居るんだからまず半分に分け合えよ!後ろの三人がこっちを睨んでるじゃないか!
と思いつつも最初の五本のうち後の一本は俺が食う。
今食った三人と他の食ってなかった三人も思いっきり期待の目で再びこっちを見てくる…
はぁ…と溜息を付きつつもテーブルの上にあった俺に分け与えられた分の肉を焚き火の近くまで持ってきてまたさっきと同じサイズに捌き串にさす。
まだ焚き火は保つだろうから更に五本串を追加したが…
六人ともさっきまで火が強くて寄って来なかったのに…今度は肉が焼ける匂いにつられてヨダレをダラダラ垂らしながら肉にまとわりついている…
焼けるまでもうちょっと待てよ…お前さん達…ほんと欠食児童かよ…さっき生肉食ってただろ?
追加した串も全部ミィーナァ達の胃袋の中に消えてしまったのだった…俺は最初の串二本で十分だったんだがね。
まぁ美味そうに食ってくれたからいいけどさ。こう言う食によるコミニュケーションってのは敵じゃないと訴えるのに一番いいかもね。
と思ったら…今度は彼女たちが自分達の分の生肉の塊を持ってきた…まだ焼けってか…でもこれだけの量を焼くには焚き木が足らないぞ…
俺は枯れ枝を集める事にしたが、まぁ彼女たちに付いて来てもらおう。
皆に一度肉を置かせて森のなかに入る。
俺は枯れ枝を数本集め、ミィーナァに渡す。
俺が何をしてるのかを察したミィーナァは周りに言って皆で焚き木を集める事に成功する…うん、成功したと思ったんだけど…
何故か横で背中に背負ってたとんでも無い武器を振り回して一抱え以上ありそうな樹をぶっ倒して枝を取ろうとしてる奴が…いや、ソレ無理…生木だと煙ばっかり出て燃えないって…
あれはえっと…ドレッドっぽいからアンジィか…
『ミィーナァ』
声をかけ
『アンジィ』と指さして戻って来るようにジェスチャーをする。
ミィーナァは察しがいいなちゃんとアンジィを呼んでくれた。
呼ばれたアンジィは今切った生木の枝を沢山持って現れたのだが…俺は俺の集めた枯れ枝を折ってパキッと折れるのを見せる。
そしてアンジィの持ってきた枝にも同じことをして…無論生木なので折れずに曲がるだけ。それをポイッ!っと捨てて見せ枯れ枝出ないとダメだということを伝える。
アンジィは首を傾げているが…ミィーナァが何か言ったことで理解したらしく枯れ枝を集め始めた。
やっぱりミィーナァは理解力が高いな、見た目は一番脳筋っぽいんだけどやっぱり人は見た目じゃないね!
ん…いや、生木でも串にする分には捨てることもないか…
要らないと言ったのに俺はそれを串にするために確保した…ミィーナァが『え?』と言う顔をしたけど、まぁ見てなさいって。人数が居たので数分で一時間ほどは余裕で火を持たせる量の焚き木を皆で集めてまた焚き火の所に戻る。
皆の集めた焚き木を焚き火に追加してから肉を捌き、肉を生木の枝に突き刺す俺を見てミィーナァは納得したようだった。
俺の真似をして小柄なローミィが肉を斬ろうとしてるが…いや、彼女らはどうやら背中に背負ったドデカイ武器しか持って無い様で…肉に力いっぱい振りかぶってぶった斬ったがナイフの様に細かくは切れず意味がなかった…
ああ、道理で皮を剥いでないわけだ…なんだかんだでナイフが有れば簡単に出来るだろうけど、そんなゴッツイ武器じゃさっきみたいな輪切りとか大胆な切り方しか出来ないですよね…ホント武器なのな。
彼女たちの着てる毛皮はホントどうやって取ったんだろうな…力づく?
俺は切った肉と串にしてる生木の枝をローミィに渡し刺すようにジェスチャーで伝え、肉を切るのに専念する。
出来た肉串を焚き火の周りに刺していく…気が付くとミィーナァの仲間六人だけではなくこの集落の人間まで集まってきて遠巻きに見ているようだ…さっきの彼女たちと同じく生肉の塊にに食らいつきながらな…あ~なんか30名様追加~!ッて感じなんだけど…
『セイジ…』
申し訳無さそうにミィーナァが集まってきた皆の事を見る…
…はぁ…皆の分も焼いてくれって事ね…
俺は持ってきた焚き木を別に組んで焚き火を更に数カ所作り、ミィーナァ達にもっと焚き木を集めて来てくれとジェスチャーする。
更に肉を切り、串にさし焚き火の周りに突き刺していって、ひっくり返して焼けたら皆に渡していく
ん?…良く考えたら元々生で食ってたんだから皆はレアでいいよね?
時間をかけるのが面倒くさくなってきたので中身まで完全に火を通さないままで渡していくと返って受けがよかった…まぁ…生と火を通したのとの良いとこ取りだし、寄生虫を気にしないならソッチのほうが美味いよねそりゃあ。
そんな事がこれから3,4時間忙しなく肉を焼き続け、やっと皆満足してくれたようだ…はぁ…疲れた…
集落の皆が満足して帰った後、一人で火の後始末をして…樹の虚の部屋で俺のために開けてくれていたのであろう敷いた毛皮に横になった…
え?ミィーナァ達?俺が肉串を集落の人達に振る舞ってる間に腹一杯にして満足してさっさと虚の中に戻って眠っちゃったよ?
監視とかどうしたよヤハトゥ?…お前マジで食い物でつられ過ぎ、肉串やったら完全に警戒心解いたろ…めっちゃ尻尾振ってたしな。
まぁいつまでも殺気を向けられるよりはマシなんだけどさ…こんなチョロくていいのか?
なんか餌付け完了ッて感じ…
ってか、えっと…俺勇者だよね?さっきまでミィーナァもそう言ってたよね?…皆もなんか崇めるようにしてたよね?
俺、コックとかブリーダーとかじゃないよね?!ほんと…どうしてこうなった?
気がついたら一ヶ月経ってしまってました…すんません(;一_一)