第004話 『そして俺は…探索する』
いやぁ…ずいぶん間が空いてしまいました…m(_ _)m
熊モドキを倒した…と言うか自滅させた。
コレを撃退とか倒したとか言ったら間違いだろう、一撃は入れたが撤退はしてないし直接攻撃して倒した訳ではない…事故を誘発したようなもん…まぁブレーキワイヤーを切っておいた的な事だからな…
何にせよ運が良かった…いや、良かったのか?運が良かったらこんなバケモノには遭遇しないだろうし追いかけられもしないだろう…洞窟の入口の上で待ち構えてたってのも考えたら案外知能は高かったのかもしれない。
こっちの武器が自分の体に大したダメージを与えられないものしか持ってない…そういう油断があったからこそ…と考えれば判らないでもないな…まぁ死んでしまった今ではそんなのは無意味だけどな。
さっき熊モドキに目眩ましで投げつけた鞘は山の斜面に落ちてる筈なので拾いに行く。
ここから600m程ぐらいの所で投げつけたはずだ…尋常じゃない傾斜の山を600mも登るのか…その時点でかなりの嫌気が差してくるが…片手にショートソードを持ったままでは果物を取るにも樹にも登りにくいし移動も不便になるかもしれないのだ、鞘は有った方がいい。
ゆっくりと斜面を登り鞘を探す…移動してきた道は真っ直ぐなので迷いようもないし、熊モドキがドシドシと走ってきた後が思いっきり足あとになってるので大凡の位置は判る。
転がった後のしばらく上の着地点の辺りのはずだ…たかだか600mと思っていたのだが其処まで登るのに一時間ほどかかった…斜面の砂に足を取られて踏み出した足が下に流されるのだ…それに斜面が急すぎるので真っ直ぐには登れず斜めにジグザクに進んで上に登るので実際には相当な距離を歩いている…これだと元の洞窟に戻るまではかなり見ておかないとな…
熊モドキの着地点までもう少しというところに鞘は落ちていた…熊モドキが弾いた鞘は斜面を落ちてきたのだろう、途中の岩にひっかかっていた。
どうせなら引っかからないで下までまっすぐ落ちてきてくれてればこんな苦労しないでも済んだんだがな…はぁ…
鉄ごしらえの鞘は熊モドキの振り下ろしの右を食らったにも関わらず別段凹むこと傷付く事もも無くそのままで使えそうだった。
鞘を再び細い鎖でベルトに結びつけ(思いっきり引きちぎったつもりだったのだが、この細い鎖がかなり頑丈らしく軽く結んだ所が解けただけだったので問題なく結べた)ショートソードをその鞘に収め再び森の方へと降りていく。
斜面を下りながら森の入口に鎮座する様に死んでいる熊モドキを見る。
この距離でも判る巨大さ…家一件程の大きさに思える…機転を効かせどうにか死んでくれたけど、ホントこんなのがポンポン現れる世界だとしたらまともに生きてる人間が本当に居るのか…
またこの考えが頭をよぎる…
昔見たSF映画ではこの熊モドキよりも大きなの昆虫に原住民と主人公が襲われるシーンがあったが…アレだけの大きさの生き物が居る所で人が生活して村とか作れるのか?
いや、前の世界でごく小さな生物の蟻だってコロニー作って生活してたんだ、小さくともそれなりの繁殖力が有れば種は存続できるだろう…多分。
村を作らないでゲリラの様な戦い方で生きてるマジで野生な人々なのかもしれないし…って個人でこんなバケモノ相手にしてる時点でトンデモねぇだろうよ?まぁそれは有り得ない…だろ?
前の世界の常識でモノを考えてしまう俺としてはホントこの世界の事がいろいろ知りたい…知るためには…やっぱり人…探さないとな
何にせよ、まずは人の居る痕跡も探さないと…イキナリ深い森のなかで人の足跡をを探す…とか無理だが人が居て火を使っていればその痕跡ぐらいは見つけられるだろう。
もしあのメモが本物ならば俺はこの世界に召喚された筈、ならば召喚した奴はそれほど遠くには居ない…と思いたい…
アレがどこかの悪ガキの悪戯でした!…とか…流石にあってほしくない…異世界なのに日本語で悪戯とか異世界で同じ日本語使ってる?…偶々同じような文字が別の意味で置いてあった?…いや、そもそもこの世界に連れ込んだあの声自体が悪戯…ありえなくはないのか?
考えれば考える程不安しか沸き起こってこない…この世界に薫子が居るんだとしたら薫子もこんな不安を感じたんだろうか?…こんなバケモノのいる世界で無事で居るんだろうか?
『薫子のいる世界ではあるけど、残念ながら既に死んでました!』…なんてのはマジで勘弁して欲しい…この世界に来た意味が無い。
まぁそれ以前に俺がココで生き残れなければ薫子の心配をしてもまるっきり無駄なのだが…
色々考えながら山を下っていたら熊モドキの所に戻ってきた。
その熊モドキが打つかった樹を改めて眺めてみる…
『デケェ…一体何年育てばこんな太さになるんだ…』
熊もデカイがそれ以上に打つかった樹が桁違いにデカイ。
日本の屋久杉で最大縄文杉と呼ばれる物が大人が10人程度で周りを囲めるらしいが…コレはそういうレベルではない、少なくとも二十人じゃあ囲めないんじゃないかという太さだ直径で10m以上有るだろ…
あの縄文杉で樹齢7000年とか言ってたか…それだとコレは一体何千年、何億年掛かって出来た樹なんだろうか
さらぶトラックの衝突と同じような熊モドキの激突を受けてもなんともないっていうんだから…密度もとんでも無いんだろう…植物までバケモノだな、数千年とかかけて育った樹がこんなにも大量にあるとか…人は少なくとも地球と同じレベルでは居ないんだろうな…それとも樹を切る必要がないのか?
落ち着いてくると気温が初夏の様な温度である事に気がつく…木を切って薪にすると言う必要がなかったら、木で家を作ると言う必要がなかったら、開墾して畑を作る、そういう事をしなかったら…樹を切る必要って有るんだろうか?
アマゾンの奥地で生活している人々が樹を無駄に切って砂漠化させるなんて話は聞かない…周辺の大都市辺りの人間がジャングルの樹を切り倒し放牧地を作ることで砂漠化に繋がっているとか言う話は薫子から聞いたことがあったが、それも結局は放牧と言う異常に増えすぎた人間の食を維持する為だ…人口が少なければこんな森林を傷つける事もないんだろうな…人が居ないわけじゃないよね?…
樹の幹は尋常じゃなく太いのだがその高さは…まぁ数十メートルじゃあ利かないだろうな…正直上を見上げても先が見えないので首が痛い
まぁそれにしても樹だって寿命があったりするんだろうし、ここまでデカくなる種類があるこの世界が凄いのか?
ってか…最初洞窟から目算で一キロぐらいだと思って走ったけど…木がこれだけデカイんだったら、あの時の目算の距離感もおかしかったんじゃないのか?もっと遠かったんだろう…さっき鞘を探した時にもやたら登るのに時間がかかったと思ったが実は距離自体が間違ってたのかもしれない。
ヘタに距離感も測れないとかホントどんだけだよこの世界…洞窟までの距離は二倍以上は離れてるんだろうよ…じゃあ、さっきの山登りの距離の四倍は見ておかないといけない…二時間コースか…
駆け下りる時はアドレナリンもドバドバでて一瞬の感覚だったけど帰る時には二時間とか…
いや、帰りの事よりまずは食料と水だ。
風で草木がガサガサと音を立てているが水音は聞こえない…近くに川などは無いのだろう。
あまり森の深い所まで探索しては洞窟の方向を見失う可能性もあるのでできるだけ近場で探さないといけない。
近くを歩くだけだとしても念の為にショートソードで樹の幹に傷を付けて迷わないように進む事にしよう。
現状あの洞窟ならば安全だと思うがあんな熊モドキの様なバケモノが居るのだ、迷って森で野宿…なんて絶対にしたくはない。
飲み水は川が無くとも太い蔓的な植物を探して切れば其処から飲み水が取れるはず…植物の根を通る際に濾過され未知のウイルス等があるかもしれない川の水より安全なはずだ。ん?それよりも先に水を入れる入れ物とかが欲しいか…
辺りには一応下生えとそう背の高くない(と言っても日本だったらデカい)木が生えている…地面には巨木の根がうねっていて苔むした感じだな。
大きな草はあまり生えていないが、背の低い木の葉でかなり大きめの葉が付いている物があるな…コレで…水筒を編む?…いや水が漏れるから水筒なんて編めないだろ…
モノを入れるためにバスケットみたいな物を編むのも悪くないかもしれないけど、今はそんな物を編む時間なんて無い。
またバケモノに遭遇することがあるかもしれないのでできるだけ素早く必要な物を揃えたいからな
何かないかと辺りを見回すとビーチバレーのボールほどの大きさのツボの様な形の花があった…アレは水筒代わりにならないか?
『う…なんだこの臭い…』
その植物に近寄って行くと強烈な腐敗臭がする…腐敗臭がする植物…?
『ってコレ!食虫植物か!?』
叫んだ途端にそのツボのような形の花と近くに放射線状に広がっていたシダのような先端をした葉が勢い良くツボの部分に集まり上から別の葉が蓋をした…
ウツボカズラとかそういうタイプの虫が入ってくるのを待つだけじゃなく、葉に振動が伝わると虫を捕らえるタイプの食虫植物の様だ…って事は…あのツボの部分の中には昆虫とかが溶かされる消化液が入ってるはずで…
『水漏れはしないだろうけど…流石にアレを水筒には出来ないな…』
正直気持ち悪い…虫と消化液が入ったツボだからな…ヘタすれば中に入った虫が逃げ出さないように麻痺毒とかも含まれている可能性とかもあるだろう…飲み水が汚染されたらそれだけで死ねるぞ…コレはマジでない。
蔓っぽいものは樹に絡んでいるのをそれなりに見かけているので水自体の確保はできそうだが…何かに移して持ち運ぶのはちょっと無理かもしれない。
ならば水分を多く含んだ果実などが無いかと思い周りを見回してみるのだが一見して赤やオレンジや黄色の実は見当たらない。
これだけの植物があって実がないなんてことはないだろう、取り敢えずはそれほど背の高くない木を一つ一つ細かく見ていくと…葉の中に葉と似たような色と模様の多少違う形をしたものが有ることに気がつく。
手の届く高さにあるソレをもぎ取ると硬い殻に包まれた実だった。
大きさは手の平大で葉の葉脈の様な模様が表面に刻まれているのでパッと見には葉に見えて見つけられなかったのだろう。
重さはかなりの水分を含んでいるのだろうオレンジなどと同じような重さである。
取り敢えずナイフで切れるか試してみたが殻は固く簡単に切れないようだ…今度はショートソードを抜いてその柄で実を軽く叩きつける。
軽く叩いたぐらいではなんともないようなので段々と力を強く入れて殴りつけてみる…本気に近いぐらいに思いっきり叩きつけてやっと殻にヒビが入る…
もういっちょ!と殴りつけると…パカっと殻が割れ中身からドロっとした液体が出てきた!
『うわっ!?』
まるでコレじゃ卵である…中身をよく見ると殻の周りには薄い層があり、中身が汁気で満たされている…
何というか殻の質感は違うがココナッツの様なものなのかもしれない、それならばこの中の汁はココナッツミルクの様な物なのか?
そういえば昔薫子が言ってたか…ココナッツミルクが取れる前の若いココナッツは中身がゲル状で果肉が殆ど無いとか…
ココナッツミルクってのはスポーツドリンクみたいなモノで電解質を多く含んでいるとかも言ってたな…もしココナッツに近いものなら水分と栄養を両方取れるいい食材って事になる。
水分はコレでいいかもしれないけど…流石にコレは…飲んでも大丈夫なんだろうか…見た目がドロっとしてるのであんまり食欲とか出ない…手に付いたゲル状の中身をちょっと舐めてみる。
多少苦味があり舌がしびれる様な感覚はあるモノのパイナップルを食べた時と似た感じなので酸が強いだけかもしれない、一応即座に腹を下したりすることはない感じ…だがコレを安全だと思えるかは判らない、もしコレで数時間しても問題ないなら一個食べてみて、さらに数時間しても問題ないならコレは普通に食べて問題の無いモノだろう…毒の判断が出来ないのが辛いところだ。
取り敢えずもう2,3個拾って着ているトレーナーのフードの中に入れておく、このぐらいの大きさのものなら案外フードに入れてしまったほうが手も使えるし楽だったりする。
コレ一個だけでは心もとないし他になにか果実っぽいものがないか調べる…
やはり周りを見渡してもあからさまに果物と言う感じのモノは見当たらない…もしかしたらこの世界ではあんまり植物の実を食べる動物が居ないので実を付ける植物は実と種を食べさせる事で種を広範囲に広げる…とか言う様な進化はしてないんだろうか?
(まぁ動物によって種を移動させ種を広範囲に繁栄させよう!なんて考えは植物が持つはずも無いので単純にそういう風に進化した植物が生き残っただけの話だろうが)
コレも葉に擬態するような模様があった事を考えるとほとんどの実が目立たないようになっているのかもしれない。
他の樹の同じような実も2,3個フードに入れておく…さっきのよりこっちはもうちょっと熟れてるかもしれない、まぁ割ってみないと判らないけど。
ぱっと森を見るとただサイズがデカイだけで元の世界と変わらない森に見えるのに植物に関してはかなり違いがあるようだ…さっきから樹に巻き付いている蔓があるので飲水は取れるだろうと思っていたのだが…本当にコレ飲水確保出来るんだろうか?
気になったので近場にあった樹の蔓の足元の高さの部分をショートソードで切りつけてみる。
『GYAAAAAAAAA!!』
『ぬわあぁっ?!!!』
斬った所から緑色の液体が吹き出し蔓が声を上げて苦しみだす!?蔓じゃなかった!蔓に擬態したなんか判らない生物だコレ!!
ずいぶん上の方からこの蔓の頭と思われる部分がこちらに二本の鎌の様な腕らしき物と頭らしき多少大きくなった部分を向けて襲い掛かってくる!!
また戦いかよ!!…と思ったらそのまま地面にボタっと落ちた…落ちてピクピク震えていたのがしばらくして動かなくなった…
ショートソードで突いてみる…反応はない…ただの屍の様だ。
その生物をよく見ると…蔓だと思っていた所から細かい足が伸びておりソレが樹にしがみついている…斬った下側からは体液が未だに噴き出している…その蔓に見える胴体の下は地面の下から生えているように見える…
『地面の下に心臓があって…斬られた所為で血が行かなくなって死んだ?』
まぁ人間で言えば首を落としたって事になるのか?…いやそれにしてもだったらなんでこんな無防備に首にあたる蔓モドキの部分があるんだよ…蔓をわざわざ斬ろうとする敵が居ないからこう進化したのか…?
なんだろう…蔓だと思ってたのが蔓に擬態した昆虫モドキでした…って…他の蔓もこんな感じじゃないだろうな!?水マジで確保できるのかよ?
とか思ったが、実際他の蔓を見てみると足は無く、偶々蔓モドキに最初に当たっただけのようだ…腰ぐらいの高さを切っても今度は反応しない。
蔓の更に丈夫を切って下の方を口に寄せ、チョロチョロと流れ出てくる水を口に含んでみる。
心配してたのだがコレは多少甘みのある水の様だ…苦い木の味の水が出る物も有るらしいのでコレは当たりだろう。
この蔓をロープのように巻いて持っていどうすれば水も持っていけるんじゃないか?…ということで蔓をおもいっきり引っ張り引きずり落とす。
肩にぐるぐる巻いて5m分ほどを持ち運んべるようにする。
コレでどれだけの水が入ってるのかは判らないけどあんまり量が多くてもかさばって大変だから…このぐらいで良いだろう。
一応キノコとかも見当たるんだけど、キノコは毒キノコとかあったらどうしようもないので絶対に手は出さない、大体腹は膨れてもカロリーもないし食べるべきじゃない。
っていうかキノコを単体で食おうと思った最初の人ってマジですごいよな…あんな得体のしれない毒のある物が多いキノコって食いもんを…出汁取った時の風味とかは嫌いじゃないけど単体で食う必要性を感じないからなぁキノコ。
実際日本では高級なキノコとして有名な松茸は食べ慣れてない外国人にはかび臭いとか言われてしまう始末だし…松茸は味ではなく香りを楽しむ日本だけで高級な食材だからな…
トリュフだってやたら高級なのに『松茸マズイのになんで高いの?』とか言う外国人は少なくないとか…まぁ薫子情報だが…どこでこんな情報を仕入れてきてたんだか…本に載ってるとは思えないんだよなぁ。
違う土地のキノコであるだけで食う気すら無くなるって物だ、異世界で好んでキノコなんて食おうと思わないだろ。
『ん?…松茸!?』
なんか20cmぐらいの立派な松茸っぽいキノコが群生して生えてる!?…松茸ってのは名前通り赤松の根本に生えているから松茸なんだそうだ…この樹はどう見ても松…どころか針葉樹ですらないんだが…流石異世界ってところか?
でもどうみても松茸…それもカサが開いてない松茸…香りが飛んでいない高級松茸に見える。
普通のキノコなら食べようとは思わないのだが…こんな立派な松茸だと…ちょっと食べれるんだろうか?と興味が湧いてしまったのだが…他の植物が前の世界にある物とあからさまに違ったのでコレも本当に松茸であるかは判らない…でも見た目は本当に松茸…
臭いで判るかな?と思い一番大きな松茸に顔を近づけてい臭いを嗅ごうと思ったら松茸のカサの部分に十字に切れ目が入り…その隙間が広がり中から細かい牙!?
『SYAAAAAAA!!!!』
松茸の柄が一瞬縮んで太くなってから急激に伸びて俺の顔面に襲いかかってくる!!
咄嗟に右てで飛びついてきた松茸モドキのカサの根本辺りを掴みガチガチと牙を鳴らし…それで届かないと見たのか今度は口を大きく開いてその中から牙の部分がさらに伸びてくる!二段噛み付きとかエイ○アンかよ!?
右手で抑えているので左手で逆手にショートソードを抜いて伸びていた松茸モドキの柄を切る!!
『くそっ!!』
右手を振って松茸モドキを投げ捨てる…ビチビチとのたうち回っていたかと思ったら数秒でおとなしくなった…コレもやっぱり地中に本体が有るタイプのバケモノかよ
まさかキノコだと思ったらまたモドキかよ!…ホントどうなってるんだよココは?
気を抜いた時…今度は他の群生していた松茸モドキ達のカサが割れ細かく動き始めた!!
『『SYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』』
いや、マジでエイ○アンかよ!こんなシーンあったよな!フェ○ス○ガー一匹倒したら他の卵が一斉に割れて襲い掛かってくるってヤツ!!
ビビって後ろに数メートル飛び退く…生えている辺り2m範囲ぐらい全方位に松茸モドキが伸び縮みしてガチガチと牙を鳴らしているが、既に獲物が遠のいたのに気がついたのかまた20cm程の松茸モドキな姿に戻った…
さっき切った松茸モドキをショートソードで突いてみても反応がないので臭いを嗅いでみる…驚いたことに臭いはしっかり松茸だった…いや、松茸はあんな牙とか無いだろうよ…
動物なのかどうなのかも判らないけど…取り敢えずコレをトレーナーの前ポケットの中に突っ込んでおく…焼いて食えればいいんだが…
『びっくり箱みたいな世界だな、ホント…』
びっくり箱っていうか一発目の熊モドキは思いっきり致死レベルだったのでビックリでは済まされないけどな。
取り敢えず水を含んだ蔓(以後水蔦と呼ぼう)とココナッツモドキを数個、ソレに松茸モドキ…あとは枯れた枝とか草とか拾って焚き火の用意をしようか…
その前に…石を探すか、弓を作るか…近くに木は沢山あるけど…硬い石があるかどうかだな…
辺りを探して手頃な石を持ってみる、軽石のようなものではないシッカリした密度の有る石の様だ、これなら使えそうでは有るな、問題はこっちだな。
ショートソードの刃で石を叩いてみるが火花は飛ばない、柄も鉄で出来ているので柄頭の部分を石で叩いてみるが殆ど火花は散らない。
ナイフで同じように刃と柄頭で叩いてみてもほとんど火花が出なかった…相当に上等な鋼鉄なのだろう。
火打ち石で火を起こす場合にはそこそこに柔らかい鋼鉄で無いといけないそうだ、アレは石を鋼鉄で削っているのではなく、石で削られた鋼鉄が熱を持って散って居るのであって硬すぎる鋼鉄では火花は散らない。
上等な武器である事が仇になるとは…まぁ火打ち石が使えないなら弓を使えばいいか。
弓を使うのは縄文式とか呼ばれる火の付け方だ。
木の板に棒を押し当てその棒を回転させて火を起こす火付けを弓のを使うことで手を痛めずにさらに楽に回転させるというモノだ。
弓と言ってるが要は片手でヒモを前後させる物があればいいって事なのでそこらに生えている木の曲がった枝で十分だが…
乾燥した木の棒と板が必要だ…まぁ板じゃなくともそこそこの太さの有る乾いた枝を割ればそれでも代用できるだろう。
適当な樹の枝をショートソードで斬り、その両端近くをヒモで結べば…ヒモ??ヒモなんて在ったか?
自分の着ているモノを見る…トレーナー、ジーンズ、スニーカー…おおっスニーカーのヒモがあるか!
後でスニーカーのヒモを二本纏めて使って弓にしよう。
あたりを探し直径10cm程の枯れ枝を見つける。一旦枝をショートソードで20cmほどの長さに切り、それを立ててショートソードの刃を押し付けてからまっすぐ下に叩きつけると綺麗に縦に割れる。
もう一度同じように割れた部分に平行に刃を押し付けてから叩き割り板を作る。
さっきの枝のもう少し細い部分、4,5cmの所を40cm程に切り先を多少細く尖らせる…コレで着火用の道具はどうにかなるな。
さてあとは火口になりそうな乾いた細い草とかと細い枯れ枝、さらに太めの枯れ枝だな…まぁ太い枯れ枝はさっきの板を作った時ので十分だろう、あれを4、50cmぐらいに切り分けよう。
しかし…ショートソードをさっきから斧の代わりにしか使ってないな…二回しか戦いに使ってないので斧代わりとして使ってる回数のほうがよっぽど多いとか…あ、そういえば蔓モドキも斬り殺したか…いや、その時の行動自体斧や鉈代わりだろ。
そんな事を思いつつショートソードを鞘に収め火口と細い枯れ枝を集める。
20分ほどして十分な量が集まったが喉が渇いたので先ほどの水蔦を50cmほど切って飲む…一口二口分位の水が流れてきた、やはり独特な甘みを含んだ水だ。
5m用意したので多分1リットル以上の水は確保出来てると思う。
ふむ、もっと細い蔓を使えば薪を持ち運ぶのに良いかもしれないな。
太さ2cm程の蔓を薪をまとめる紐の代わりにして結びソレを背負える様縛り一応森で用意しようと思っていたモノは揃った。
さて、洞窟に戻ろうか。
薪を背負い洞窟の方を目指し歩いていく。
とギャアギャアと鳥なのか何なのかの鳴き声と飛び立った様なバタバタと言う音がする…ん?今まで辺りは風が吹いても静かだったのに…
不思議に思いながらもそれから五分ほど歩き森を抜け熊モドキが打つかった樹の辺りにまで来た時にさっきのバタバタの意味がわかった…
先ほどまでテディベアの様に座った姿勢で死んでいたはずの熊モドキが…
『居ない!?』
ちょっと待てよ!あんな脳みそかき回した動物が息を吹き返したのか!?そんなバカな!?
さっきのギャアギャアってのは生き返った熊モドキにビビって鳥が逃げた音なのか!?
熊モドキが死んでいた場所を確認する…よく見てみると熊モドキが起き上がった後や歩いて行った足跡は…ない!?
なら他の大型動物があの熊モドキを捕食した?いやあたりを見てもあの熊モドキの様な大きさの動物を捕食できそうな生き物が来た痕跡はない…そんな大型の動物がいるんだとしたら少なくとも大型の足あとぐらいは残るだろう。
何だこれ?ホントに一体何だこれ!?
混乱し辺りを見渡していた俺は…イキナリ後頭部に衝撃を受け…気を失った。
トンデモなく大きな獲物を捕食する動物…それは何かと問われたら?
ホントは後数話引っ張るつもりだったけど流石にこのままでずっとやるのはつまらなくなってしまいましたw