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仲間と手がかり

「ここはとある異国の街だ。『アリアの街』と呼ばれている。周りも外人ばかりだ。

まぁ稀に日本人ぽい人もいるけどね。」



アリアの街。



なんだかやっぱりRPGゲームみたいだなぁ……

ヒナは思わず苦笑いになった。


「だから…俺たちはこの世界に紛れる為に、名前を偽っている。まぁ音の響きだけは本名でも問題ないからそのまま使ってるけどね。」


「この世界に…紛れる?」


ヒナはロウの言葉に引っかかった。

その様子を見てロウは軽く微笑み、うなずいて話を続けた。


「そう。高崎さんは勘が良さそうだね。その通りだよ。」


「………」


ヒナの頭でパズルのピースがひとつ、はまった手応えがあった。

その様子を見てロウは告げる。


「ーーー俺たちも、どこからか飛ばされてきたんだ。この世界に。」



「!!」


ヒナは息をのんだ。


まさか。

まさかそんな事があろうとは。


自分だけが夢を見ているのだと思いたかった。

そう、そうすれば。

夢から覚めれば現実へ帰れると思っていた。


でも。

現実は違うーーーーのか。


ここに彼らは飛ばされてきたと言った。

という事は。

単なる夢で片付けてはいけない事なのだと悟った。


自分と同じ境遇の者がいる。

それは不安を安心に変える。

だけど。

その事実は。

これが夢でない事をヒナに告げているのだ。



「……あの……」



まだ頭が上手く働かない。

そうなんだ、と呆然と理解するだけで精一杯だ。


それでも必死でヒナは、頭に浮かんだ疑問をロウにぶつけた。


「じゃ皆さんはどうやってここに。」



「それがね〜〜ワタシタチにも分からんのですよ。」


軽い口調がヒナの横から入ってきた。

あれ?とヒナは隣を見る。


昨日の彼、だ。


なんだか訳の分からないうちに変なテンションで自己紹介したあげく。

ヒナの手の甲にキスをかますという理解不能な行動をとるーーーーーー


「あ……」


ヒナは突然となりに出現した彼の名を、とっさに思い出す事はできなかった。


「ありゃ?ヒメさまはワタクシのカオをお忘れですか?あぁなんてつれない!悲しいですよワタシは!

もう一度言いますのでよーく覚えてくださいねっ!」


大げさに嘆いたフリをして、その彼はヒナの手を取り、キラキラしたキメ顔で名乗った。


「あなたの王子、カイトです。キラーン」


「……くだらん効果音を付けるな」


あきれ顔でレイがつぶやく。

コイツは気に入らない、とオーラが全身から出ているようだ。


「………」


ヒナはまたも卒倒しそうになる。


いやちょっとまて。

何なんだこのテンション。

いやそれよりも。




遠のく意識を何とか持ちこたえ、額に手をあてながらヒナがうめいた。


「おっ、ちょっと免疫ついたか。順応早いな。」

レイが面白そうに言う。


「……あなたたちは…」


ヒナはうつむき加減で、したから見上げるように皆を見つめながら聞いた。

「この事態をどこまでご存知なのでしょうか。私はまだ状況が全く飲み込めません。」


昨日の今日で。

異世界だの現実から飛ばされただの、偽名だの王子様だのと

訳の分からん単語を連発されても。

まったく理解ができない。



「私は、仕事から家に戻るだけだったんです!どうしてこんなトコに…」


「きっと、何か意味があるんだよ」


ヒナが言い終わるより先に、ロウが声を発した。


意味?


「俺たちも、手探りで毎日過ごしてる。俺たちも気付いたら紛れてたんだ。この街に。」


静かに、ロウは続ける。


「最初はオレとレイ。そしてサラとカイトに出会った。カイトは何か知っているんじゃないかな。」


そう言ってロウはカイトを見る。


「えぇぇぇぇっ!?なんでワタクシめがそんな事を存じているなどと申すのでしょうか。心当たりなど全くございませんですよええもうそれはもう。」


オーバーリアクション。

カイトはいつもこんな調子なのか。

疲れる。


レイが苛立った様子で詰め寄る。


「その面倒なリアクションどうにかしろよ。つまんねーんだよ。第一、『力』の使い方を知ってたのは

オマエじゃねーか。オレらにそれを教えたのもオマエ。どう考えてもオマエ何か知ってるだろ。」


レイのまっすぐな目に降参、というポーズで両手をあげ。

カイトはぼそぼそとつぶやいた。


「確かに『力』の使い方はお教えいたしましたよ。そうじゃないと俺一人ではどうにもならなかったんで。」



ヒナはやっぱり話の内容が理解できない。


『力』ってーーーーー何?



ヒナがいぶかしげにカイトを見ているが、そのままカイトは続けた。


「俺も詳しくは知りません。使いっ走りなのでね。ただ、神の掲示といいましょうかーーーーーーー

『行ってこい』と言われただけです俺は。」


「誰に言われたんだよソレ。神の掲示って何だそりゃ?神って誰だよ。」


俺はそんな信仰心はない、と吐き捨てるようにレイが言う。

カイトは口を尖らせて子どものようにつぶやいた。


「俺の命の恩人ですよ。俺は一度死んだも同然だったので。その恩人に、行ってこいと言われただけなのです。麻布に行ったら分かるって言われて、素直に麻布に行ったら……こうなっちゃったワケです。」


「はぁ?意味わかんね。オマエの命の恩人だか何だか知らねえけどさ、言ってこいと言われて何も聞かずに素直にホイホイ行くオマエの神経が分からん。普通用件くらい聞いてくるだろ」


「用件は聞きましたよ。『仲間を探して、街を正常に戻せ』とだけ。ワタシにも何がなんだか…」


ハァ、と深いため息をついて、大げさに困ったポーズを取る。

レイにはカイトがどうしてもふざけてるようにしか見えない。


「……オマエ、ホントいらつくな。」


「何と言われようとこれがワタクシなのでね。勝手にイラついてくだされ。」

カイトは気にしていないようだ。


「とにかく。今分かってる事だけ伝えよう。俺たちは皆、どこからかここへ飛ばされてきた。

現実なのか架空の世界なのかも分からないが……でも事故にあって死んでいる状況ではない事から

現実へ帰る手段はきっとあるはずなんだ。」


ロウがそういって間に入り、二人の不穏な空気を遮断した。


「そこでひとつ、高崎さんに確認したいんだけど。」


ロウはヒナを見て言った。


「ーーーー『猫』を見なかった?…黒い『猫』」






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