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最終決戦

カイトから弾かれるように後ろへ下がり。

国王は額の汗を拭う。


「……こんな所まで…邪魔しに来るか。」


「当たり前じゃないですか〜姫を守るのはナイトの仕事でっす!」

僕はプリンスですけどね〜などとフザケた台詞を言いながら。

チラッとヒナに振り返る。


「お待たせしてすみません。間に合ったようでよかったです。」


「…ありがとう……正直ちょっとアブなかった」

ヒナの返事を聞いて、クスッと笑い

「そーいう素直な台詞、いいですね。どこかのおてんば姫にも見習ってもらいたいモンで…」

「ちょっと誰がおてんばだって!?」


カイトの呟きに反応するかのように

人形のような銅色の巻き髪を振り乱して

サラが走り込んできた。


「……イヤなんでもないです」

カイトは目の前の国王に向き直り。いつもの剣を構える。


国王は後からやってきたサラを見て、嘲笑する。

「……己が狙われていると知っての所業か、小娘。オマエから始末しても良いのだぞ」


「何度も同じ事言わせないで頂戴。」

サラは腕を組み、仁王立ちでそう答える。

その返事に満足したのか、国王は鼻で笑って

「その強がりがいつまで続くか……楽しませてもらおう」


国王はサラに向かって地を蹴る。

腰の辺りに構えて力を溜め込んだ拳をサラのみぞおちへと突き出すーーが。


バリバリと火花の散る音がして。

その力は国王の拳へそのまま、還る。


「ぬうっ……!」


反動で後ろへ下がり。

サラを睨む。


「……貴様のような小娘にここまでの結界が……!」

「残念。私一人じゃないから」

サラがそう告げた後ろに。


「……微力ながらお役に立てれば幸い、かな。」

ロウが護符を手に、その姿を見せた。


「オマエは……あの時の…!」

「少し、勉強させてもらったよ。今回は色々と。」

ロウはそう言ってカイトを見る。


「…なんかプレッシャーかかる言い方ですねソレ。」

カイトは剣を構えてヒナの前に立ったまま、苦笑いする。

「受け取り方の問題だと思うよ。俺は素直に気持ちを伝えているだけだからね。」

「その言い方がそもそも素直じゃねーんだよな、ロウは」

ロウのさらに後ろ

部屋の入り口に立ったままレイはあきれ顔でそう言う。


「……弟にまでそう言われると身も蓋もないね。改めるよ。」

ロウは方をすくめて

国王を見た。

「……状況判断ができないほど、頭の悪い人では無いと思いたいのですが。」


国王はその言葉に、ふ、と笑みをこぼし。

「そうだな。だが……娘の前で引き下がれるほど情けない父親ではない!」

そう言って拳を地面に突き出す。


ドン!


強い縦揺れが空間を襲う。

と、同時に。


一瞬。

全ての『力』がかき消されたような

カイトの剣が姿を消す。


「!」


と、同時に。

国王はすぐ後ろにいたカイトに向かって飛びつく。


顔面に降り掛かる拳を紙一重で交わし。

避けた流れでそのまま国王の腹部に蹴りを入れる。


が、逆に足を掴まれ。

「のわっ」

バランスを崩して宙に浮く。

そのまま国王はカイトを振り投げる。

地面に叩き付けられる瞬間

すぐその場へ走り込み

その背中に拳を振り下ろす。


「おっと」

その隙間に入ったのは。


「オマエちょっと剣に頼りすぎじゃね?動き鈍ってる」

レイがそう言って。片手で国王の拳を受け止めたまま

反対の手で反撃を繰り出す。

国王もまたそれを避け、後ろへ下がりながらも

レイへの攻撃の手を止めない。


「……はは、レイにダメ出しされるってどこまで底辺」

怒りを含みながらも情けない声でカイト地面に顔を伏せて呟く。


「事実、だろ。さっきのアイツのアレ、結界みたいなモンか?」

国王の攻撃を交わしながら、カイトに確認を取る。


『力』が、かき消された。

あの一瞬で。


何かしら結界のようなものがほどこされたのだろう。

カイトはロウを見る。


「……この城自体が、『結界』だね。空いての『力』を押さえる類いの。」

ロウは辺りを見渡して、分析する。

「でも。護符は使えるよ。何か『媒体』があれば少しマシという事かな…」

その声を聞いて。

「媒体、ねぇ……とりあえずロウは解除お願いします。サラはロウと一緒に居て」

「言われなくてもそうするわよっ!サッサと本気出しなさい!」

平然と怒るサラを見て苦笑いする。

「本気て。ワタシはいつも手ェ抜いたりしてませんってば」

「じゃぁちゃんとやりなさいよ!カッコつけて手ぶらでやるからしくじるのよ!」


手ぶらでやるからしくじる。

そう言われると弱い……


「……うーん、やっぱり嫌なんだけど仕方ありません、よね。」

「嫌とかどうとか言ってる場合じゃないでしょ!大丈夫よ!アタシがいるから!」

「さよですか」

カイトは苦笑して。

ポケットから数珠を取り出す。


「数珠?」

ヒナは、カイトがそれを使うのを初めて見た。


「これが、『本家のお仕事』なのです。できればやりたくないんですけどね。色々あるから」

詳しくは省略します、とカイトは告げて。


「オン、アジャラダセンダサハタヤ、ウン。」

途端に

ヒナにはカイトとレイの『空気』が、より済んだモノに見えた。


「……すげ。」

レイは自分の拳を見て、おもわず呟く。

「オマエこんな技持ってんならサッサとやれよな!」


「だから言ってるじゃないですか!色々あるから使いたくないって!奥の手ですよコレ!」

そう言って。

カイトは数珠を両手で持ち、手を組む。

「バサラ、ヤシャ、ウン」


ドォン、と音がして。


国王が吹き飛ばされた。

「なっ……!」


すかさずカイトは手を組み直し唱える。

「オン、クロダヤ、ウンジャク、ソワカ」


カイトが身にまとう『空気』が風に舞う葉のように吹き上がり

一気に国王を襲う。

「くっ……」

両手でガードするも

その刃は容赦なくその身を斬りつける。



「……やめてっ!」

悲痛な声が、響き渡った。


ヒナは声の主を知っている。


「これ以上、お父様を傷つけないで!!」

「お、とう、さま……?」


レイとサラはポカン、と声のする方を見る。

ロウは微動だにせず。耳を傾ける。

カイトは黙ったまま、目を瞑る。


カリーナが、目に涙を浮かべて立っている。

「何がいけないのよ……!何故皆邪魔するの!?私は…ワタシ…ハ……」

白く透けた、陶器のような肌に亀裂が走った。

ボロボロ、と膜が剥がれ落ちる。


「……化けの皮が剥がれるって、こういう事を言うのかしらね」

サラが呟く。

「見たくねーし聞きたくねーな」

レイが舌打ちする。


所々、剥がれ落ちた皮膚の下に

腐食した肌と思われる、泥のようなものが見える。


「もう……時間がないの……早く……ハヤクチョウダイ……」

そう言いながら。

よろよろ、とおぼつかない足取りで

ヒナの方へ近寄る。


「ヒナ!」

レイが叫ぶ。


カイトが数珠を構える。

「ちょっと待って」

それを制したのは、ヒナだ。


カイトは目を細めてヒナを見る。

「……大丈夫だから。ちょっと待って」


「時間がないって。どういう事?」

ヒナは目の前に迫る姫に聞いたつもりだったが。


「……見たとおりだよ。身体が保たない」

ヒナの言葉に応えたのは。


「カリーナ様は、あのとおり。定期的に生き血を取り入れないと、姿を保てないのだ」


目を真っ赤に腫らした、アレックスだった。



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