お月様とルナ
雪の降る夜。
小さな子犬は、今日も夢を見る。
段ボールは、私の小さなおうち。
顔を少し出すと、キラキラが街を彩っているの。
でもね、ここから出られないんだ。
だって、顔を出すだけでも背伸びしなきゃいけないから。
それでも、私は幸せなんだよ。
だってね、ぽかぽかしてるの。
あの日、あの人がくれたマフラーが、私を抱いてくれるから。
見上げた空には、今日もお月様が微笑んでいるよ。
だから、寂しくないんだ。
きっと、私のお母さんなんだよ。
だってね、私が眠るまで、見守っていてくれるもの。
お日様の光が、私を起こしてくれる。
辺り一面、真っ白な雪。
ぽこぽこと、たくさんの足跡があるよ。
何だか、楽しいね。
このどれか一つに、あの人の足跡もあるのかな。
だってね、時々見つけるの。
目が合うとね、笑ってくれるの。
私ね、あの人がくれるごはんが好きなんだ。
だって、心がふわふわするの。
早く会いたいな。
ねぇ、お母さん。
もし私が、あの人みたいになれたら、ずっと一緒に居られるのかな。
だってね、あの人は、わんちゃんは連れて行けないって言ってたの。
いっつも、ごめんねって言うの。
私ね、あの人のところに行きたいな。
ねぇ、お母さん。
私ね、おうちから出られるようになったよ。
あの人に贈るプレゼントも集めたの。
どんぐりでしょ、お花でしょ、それにビー玉もあるよ。
喜んでもらえるかな。
お月様は、今日も優しく微笑んでくれる。
私、いつも夢見ているよ。
あの人と同じになって、あの人と暮らすの。
いっぱい恩返しするんだ。
ねぇ、お母さん。
私の夢、叶うかな。
雪の降る夜。
小さな子犬の見る夢は、今日でおしまい。
お月様は、今日も微笑んでいる。
彼女の夢が叶った証。
それは、お月様がくれたプレゼント。
あの人がくれたマフラーに似合う、可愛いお洋服と一緒に…。
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可愛いお花がたくさんの、大きなお庭。
準備は、ばっちり。
あの人がくれたマフラーが、心をぽかぽかにしてくれるの。
白い袋は、あの人への贈り物。
私の宝物が、たくさん詰まってるの。
お母さんからもらったお洋服も、ちゃんと着れたよ。
後は、あの人を待つだけなんだ。
早く会いたいな。




