親、子、孫へ……その後と最期
その後の彼らについて記す。
まず、元実。
彼は朱天鬼の族長として領地拡大と鬼の世の復活の為、人間達と戦い続けた。
生涯、酒呑童子の称号を緋寒から奪い返す事はなかったが、古い仲間達は最後まで彼を裏切る事は無かった。
また、迷いがありながらも妻を持ち、その間に男児を一人、18年間を空けて女児を一人授かる。
息子とは接し方や父としての愛情の与え方が分からず、長年不仲ではあったが、晩年に和解する。
最後の戦いでは、息子や若者達を守り、人間の大将の首を取って息絶えた。
息子を背負って死んだ最後の姿は、『馬になって子供と遊んでやっている、優しい父親』の姿だったと伝えられている。
次に、白妙。
造られた大鬼や合成妖怪などの鬼兵を操る『乳母鬼衆』として、元実の重臣として戦い続けた。
子は成せなくとも、天鬼や鬼兵、弱い鬼、強い鬼の区別なく、生まれてくる鬼全てを愛し慈しむその姿から『鬼全ての母』と称された。
最後は人間との戦で、元実への深い忠を胸に、育てた大鬼と共に自害した。
次に、大志摩。
彼は家老のような存在として、元実を支え、大江の城を守り続けた。
かつて元実にそうしたように、元実の息子の教育係としても活躍。
元実の死後は、新たに族長となった元実の息子を支えた。
朱天鬼の知恵袋として元実の孫の代まで慕われた。
そして、緋寒――。
彼を倒す者がいなくなった時、彼は人間の女と結ばれ、子を成した。
その息子に殺される為に。
彼が関緋を殺した罪を感じていたのかは分からないが、鬼にとって最高の称号、酒呑童子と称された自分の血が、自分を打ち破る事を夢見ていた。
彼の息子は彼の思惑通り、彼を倒した。
しかし息子は人間だったので彼の死を深く悼んだ。
緋寒はそんな息子を不思議に思い、息子の思う『慈悲』に同調し、最後には息子を守ってこの世からも、黄泉からも消えた。
恐らくその時、親子の因縁は消えたのだろう。
関緋の親の代から続く、憎しみの連鎖は緋寒の息子によって断たれた。
緋寒の息子は、自分の子を深い愛情を注いで育てた。
緋寒の孫は更にその愛情を後世に伝えた。
子を慈しむ心は何代にもわたって受け継がれた。
呪いは消え、祝福に変わったのである。
だが、覚えておいて欲しい。
緋寒の息子が呪いを断ち切るのに、彼は多くを失い、多くの葛藤を乗り越えなければならなかった。
親が子に呪いをかける事は簡単だ。
しかしその逆をするのは多くの時間が必要で、場合によっては多くの苦痛を伴う。
勿論これは鬼の物語。
だが果たして、人間には無関係な話だろうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
えー何でしょうね……、「今までの自分の殻を破ろう」とか、「本当はこういうのが得意なんじゃないか」とか、割と気軽に始めたのですが、正直、微妙な仕上がりです。
とりあえず「ザマア系」は得意じゃないんだなってのは痛感しました。
どうしても悪者の事情まで深く考えてしまって、スカッとする復讐が出来ない。(事情が無くても悪い人になる人だっているんですけどね)
よって、見ての通りの中途半端です。
結果がこれなので話しても仕方ないですが、これを書くのに影響した体験について少し……。
自分の母方の祖母はDVで苦しんだ経験があります。
祖母は夫をおよそ10年前に亡くし、今は90歳。
そんな今になって祖父から長くDVされていた事を、私と母に打ち明けました。(因みに、痴呆でデタラメ言ってる訳じゃないです。頭はハッキリしてて、今でも一人でバリバリ畑仕事・家事している、元気な人なので)
全く知らなかった私はまあ……ショックでしたね。
仲が良さそうに見えましたし、祖父も孫には優しくて、私も祖父が好きだったので。
大人になれば分かりますが、仲の良い家族って、親とかが子供の為になんとかそう見えるように努力で作っているんですよね。
また、昭和の時代ならDVは珍しくないって聞きますが、そうだとしても、そういう因果が積み重なって今SNSなどでDVについて女性が声を上げるようになったんだと思うんですよね。誰かの強い苦しみは、遅れて現れる。
ただよく聞いてみると、DVした祖父も、幼少から母親が大変厳しかったらしく、そういうのも因果の一つとして具現化されてしまったのだろうかと、色々考えさせられます。
自分が物語で関緋を一方的に罰せられまかったのも、それを聞いたせいかもしれません。まあ、関緋の方が比べ物にならないくらい酷い事してるし、言い訳に出来ないかもしれませんが……。
何より読んでいる人がスッとするように書くのも物書きの仕事ですしね……。そういう意味では自分はカタルシスが少なくて、説教ばかりで嫌な奴ですね。アハハ……。
終わりに以下、キャラの裏設定や語り
『実鈴』
・今まで書いた女性キャラの中で、一二を争うくらい可哀想な女性であり、一番怖い子だなあと……(笑)
関緋のような察しが下手な男性からすれば、黙って我慢して、着々と殺意を膨れ上がらせるのは滅茶苦茶怖いと思います。まあ、全部彼の自業自得ですけどね。
前々作の陽光デザインが気に入っているので、彼のお婆ちゃんである彼女も、陽光の娘である天陽もそっくりにさせました。
性的指向はパンセクシャル寄りの異性愛ですかね。
『関緋』
・話がもの凄く単純化するほど、色々駄目な人だったなあ……。
駄目すぎて、失踪しようかと思ったくらい扱いに困った。
根は悪じゃないんだけど、どうしようもないくらい駄目な子。
不自然なくらい女への執着が深いのは、女性向け寄りに書いたからです。
リアルに書いたら、きっともっと胸糞です。
性格は絶対嫌だけど、顔と筋肉は個人的に好み。
性的指向は異性愛。なのに男にモテる。
『緋寒』
・今回の話の為に、ちょっと本来のキャラを殺してしまったと反省。
小さい頃は息子の夜光にそっくりです。
自分は夜行鬼での自立心のある、あの緋寒の方が好きみたいです。
性的指向はバイかゲイだと勘違いされやすいだけで異性愛者。多分アロマンティック。
『元実』
・この子も話の都合でキャラがぶれたかな……。
活躍させる予定はないけど、スルーし過ぎると、実鈴が愛情注いでいないみたいで嫌なのでやんわり彼の回を作りました。
少しですが白妙とおねショタができて楽しかったです。
父親のゴリラ顔は全部彼に遺伝しましたが、性格は母の根暗成分を受け継ぎました。
性的指向はアロマンティック。主に親達のせいで恋愛について究極に冷めている。
『泰寒』
・後付け男。
デザインは気に入っています。
今回のジャンルに合わせ、若干、女性に都合のいい男として作ってます。スパダリってやつですね。
イケメンだけど、小さい頃とかに好きな女の子に局部を見せつけて喜んでいるようなタイプ。
性的指向は異性愛。
『白妙』
・姐さん気質。今回は抑えましたが、お色気枠です。
夜行鬼の時に語れなかった関緋との関係や、彼女が抱えていた闇について書けて良かったです。
性的指向は異性愛。
『タオヤメ』
・今までの自分なら絶対書かなかったキャラ。
BLは苦手なのですが、「こういうキャラならカッコいいし許せるな」と許容範囲が彼です。
あまりそっち系の知識が無いので、2丁目系な感じに。
性的指向は堂々のゲイセクシャル。
『大志摩』
・縁の下の力持ち。こういう真面目な人のお陰で、朱天鬼は存続できたのだと思います。
別の赤鬼の一族が自分から朱天鬼の傘下に入ったのが付き合いの始まり。
関緋を友達として付き合える辺り聖人。
関緋も友達が少ないので、彼と喧嘩してしまった後は、泣いて許しを乞います。
見た目のイメージはハルク・ホーガン。この間お亡くなりになったらしく、非常に残念。
性的指向は異性愛。
『鴇羽』
・作中で一番酷い目に遭っている可哀想な娘。主に作者のせいですが。
最後に実鈴の事を緋寒に伝えるだけのチョイ役の予定でしたが、タオヤメを書いてたら、レズも書きたくなりまして。
いつの間にか作品のテーマの一つである「母親」を語るキーパーソンにもなりました。
こんな事なら序盤もうちょいちゃんと書いてあげた方が良かったかな……。
性的指向はレズビアン。夫と結婚する前から、コンプレックスもあって、何かしら違和感を感じていたのかも。




