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人助け(市川編)

 完璧人間。いつだって私はそこに向かう。誰に言われた訳でもない。ただ、頼られた時に幸せを感じ、生きている意味が見え隠れする。その瞬間、どれほど体がボロボロになっていても、全部消し飛んでしまう。ある意味私は、自己中心的な人間だと思っている。

「どうしたの?」

 高校3年生。受験も控えた、人生において大事な時期。勉強は正直できてる方だと思う。きっと就職にも困らない。だって上手くやってきたから。

「前川先生が見つからない?ちょっとここで待っといて、私探してくるから」

 今日も人助けをする。先生からの好感度はそこそこあると思う。というかあって欲しい。私は走り出す。あの先生は大体グラウンドに居る。居なかったら教室。だからとりあえず教室を巡る。全ての教室を一応見たけれど、どこにも居なかった。本命はグラウンド。階段を駆け下り、靴を履き替え、グラウンドへ行ってみる。そこにも先生は居なかった。体育倉庫、体育館、更衣室。あらゆる場所に行ってみたが、見つからなかった。もう一度戻ってみると、そこに私に助けを求めた人は居らず、私の鞄の上にメモがひとつ置いてあった。

「探して貰って申し訳ないけどこれ先生別に要らなかった。マジでごめん!」

 メモだけでも残してくれるだけありがたいなと思う。これでメモも残して無かったら、きっとまた私は探しに行くだろう。時計を見ると、25分も経っていた。

「あ、市川」

 後ろを振り返ると、城崎しろさき君がいた。中学の時には仲が良かったけど、今の学校になってからはあまり話せていない、少し気まずいような関係だ。

「いちいち助けてやんなくて良いよ。あいつお前が見つかんなくて困ってたから」

 確かに。勝手に助けようとされて、30分近くもどこかに消えたら困る。

「うん。謝っとこうかな」

「あ、いや。謝らなくても…ねぇ。なんか謝るのはちょっと変だし」

 それもそう。私は親が変わってたから、常識的な感覚があまり身につかなかったのだと思う。城崎君は優しいから、関わりづらくなった今でも、こうして話しかけてくれている。励ましてくれている。せっかくのこの機会を、無駄にしたくなくなった。

「一緒に帰る?部活多分今日無いよね」

「うん。さっきまで小テストしてたからさ。休んでた分の」

「どうだった?落ちた?」

「うぇ⁉︎なんで落ちた前提?ひど!」

「ずっと落ちてたし。で、どうだったんだい」

「ま、まぁ落ちたけど」

「間違えた数×5回書くんだっけ」

「うん。5分で終わる」

「じゃあ…良いのか」

「いいや?良くはない」

 実際、小テストに落ちるような人が5回書くぐらいでは覚えられる訳もなく、このシステムははたして良いのか悪いのか微妙だなと思う。

「なぁ市川、カラオケ行かね?」

「え、行きたい」

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