表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

屋上にて(千夏編)

「あなた、幽霊なのよね」

 うちの高校と同じ制服。この学校で死んだのだろうか。こんなにも気付いて欲しかったのはなぜだろうか。

「そう、幽霊。暇で暇で仕方がなくて、片っ端から声をかけてたら千夏ちゃん。あなたに出会った」

 咲希ちゃんは元気だけど、どこか寂しい空気を纏っていて、不思議な感じがした。私にしか見えないし、話せない。不思議な関係。

「…ねえ!友達に…なってくれる?」

 勇気を出した。高校生になった時からだろうか。人との接し方が下手になって、いわゆるコミュ障みたいになってしまった。そのまま1年半も経ってしまった。友達は居ない。でも、私しか触れられない彼女なら、寂しそうな彼女なら、友達になれるかもしれないと思った。私は最低なのかもしれない。なぜなら、彼女が頷くことは目に見えていたから。本当は、勇気なんて出していないのかもしれない。

「だめ。私とあなたはどこまで行っても友達になれないよ」

「なんで…」

「幽霊は忘れてしまう。きっと私が死んだのは何十年も前で、多分あなた以外にも誰かと会ってる。1ヶ月もすれば、あなたのことはすべて忘れてしまう。だから、ごめんなさい。確かに、何も考えずあなたを呼んだ私が悪かった」

 咲希は目を合わせてくれなかった。すごく、言いづらそうにしていた。校庭で、野球を練習する人たちの声がここまで届く。また、私の髪だけが揺れる。私は、深く息をお腹に押し込んだ。

「それでも良い。私はあなたと友達になりたい。全部忘れても、また会いに行く。だから、友達になってください」

 勇気を出した。嫌いな自分はこれで終わり。私は、ここで押せるような人間でありたかったから。そして、自分が咲希の立場なら、こう言って欲しいと思った。なんなら、私の場合、きっと屋上すら出ることができていないだろう。

「本当に…良いの?」

「うん。じゃ、また来るね」

「うん…うん!またね!」

 今の私なら、何でも出来る気がする。少しソワソワしながら扉を開け、音を立てないようにゆっくりと閉めて、跳ねるように帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ