表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/91

第79話 巡り絡む感情

 壁際に走り寄った鎌倉が外を覗き込む。

 階下の崩れた床の一部がはみ出しており、そこに鱧が立っていた。

 鱧はウインクをして笑う。


「ほな、また後でー」


 返事を待たず、鱧は颯爽と城内へと消えた。

 見送った鎌倉は神妙な顔で考える。


(あいつ……最初から皆殺しにするつもりだったな)


 トゥルー・ライフ・クエストのルールでは、他プレーヤーを倒すと最終獲得金が二倍になる。

 殺害時に賞金を奪うナイトメアモードの特殊ボーナスが無くとも、PK行為に手を染めるメリットは大きかった。


 鱧の魂胆を察した鎌倉は振り返って尋ねる。


「関西弁は逃げたぜ。追いかけるかい?」


「いえ、彼はゲームの経験者です。下手な行動は命取りになるでしょう」


 答えたのは西園寺だった。

 彼女は落ち着いた様子で杖を握っており、不意の攻撃に備えている。


 一方、白石は藤堂のそばにいた。

 首を切られた藤堂は既に息をしておらず、鶏頭の幻術が解けて素顔が見えている。

 白石は髪を掻き毟って唸る。


「くそが……滅茶苦茶だろ」


 三好は呆然としていた。

 急転した事態に思考がついていけず、直前の出来事を思い返している。


(鱧が裏切った……いや、最初からこうするつもりだったのか? まさか前回のゲームでも同じようなことを)


 三好を我に返らせたのは、西園寺の差し出した手だった。

 西園寺は冷静に問いかける。


「三好さん。立てますか」


「あっ、なんとか……」


「話し合いを始めます。よろしいですか」


「な、何を話すんですか」


「今からの方針に関してです」


 西園寺が残った者達を見回し、澄んだ声を発した。


「単刀直入に訊きます。この中で殺し合いを望む方はいますか」


 真っ先に反応したのは三好だった。

 彼は暗い顔で意見を述べる。


「……絶対に嫌だ。正当防衛は仕方ないけど」


「俺だってもう懲り懲りだ」


 白石が憔悴した様子で呟く。

 彼は藤堂の死体を一瞥した後、再び小さく唸った。

 意見を聞いた西園寺は予想通りとばかりに頷く。


「私もお二人と同じ意見です。あなたはいかがでしょう?」


 西園寺が問うたのは鎌倉だった。

 鎌倉は苛立たしげに答える。


「あんたらはどうでもいいが、さっきの関西弁は別だ。あいつは皆殺しを宣言した。当然そこには俺も含まれている。つまり敵だってことさ」


 鎌倉は出入り口の扉に歩いていく。

 その進路に西園寺が立ちはだかった。

 鎌倉の目に好戦的な光が灯る。


「止めるかい? 別に構わんよ。邪魔するなら誰だろうと殺すだけだ」


「勘違いしないでください。餞別があるだけです」


 西園寺が手をかざして魔法を使う。

 鎌倉は一瞬だけ警戒するも、その効果を感じ取って構えを解いた。

 西園寺は流暢に説明する。


「筋力と動体視力を上昇させる強化魔法を使いました。効果は一時間ほどで、その後は筋肉疲労になります」


「ようするにドーピングだな。ククッ、悪くねえ贈り物だ」


「相手は狡猾です。どうかお気を付けて」


「任せとけ。八つ裂きにしてやるよ」


 走り出した鎌倉が広間を退室した。

 彼がいなくなった直後、西園寺はやはり冷静に語る。


「これで鱧さんもただでは済まないでしょう。どちらが生き残るにしても我々に損はありません」


「はは……すげえ冷静だな。あんた何者だよ」


 白石が投げやりに尋ねると、西園寺は意味深に微笑した。


「ただの実業家です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ