第76話 総攻撃
鎌倉の薙刀による猛攻が始まった。
卓越した連撃が魔王の鱗を削り飛ばしていく。
それに伴い紫色の血も散った。
鎌倉は余裕綽々と魔王を挑発する。
「遅せえよ」
魔王は唸るばかりで反撃に移ることができない。
薙刀が的確に出鼻を挫き、有効な行動が取れないように制限していた。
着々とダメージが蓄積し、魔王は顔全体から血を流している。
メインクエストに参加せず、盗みばかり働いてきた鎌倉は英雄度が低い。
ただし彼は【盗術】で奪った他者のスキルで多くの攻撃ボーナスを得ており、加えて魔法効果のある薙刀を使用している。
結果、低い英雄度を補えるだけのダメージを叩き出していた。
防戦を強いられる魔王が苛立ち、無理やり噛みつこうとする。
鎌倉は紙一重で避けつつ、その鼻先にカウンターを浴びせた。
畳みかけるように攻撃を重ねながら、鎌倉は不敵に笑う。
「ククッ、寝ぼけてんのか?」
挑発を理解したか定かではないが、魔王の動きが切り替わった。
叩き付けられる薙刀を無視して大きく息を吸い込み、喉奥に超高熱の炎を溜め込む。
その動作を見た瞬間、鎌倉は苦い顔で退避した。
「こいつは不味いな」
魔王が炎を吐き出す直前、飛んできた火球が口内に炸裂した。
暴発した炎は放たれることなく魔王の喉を焼き焦がす。
想定外のダメージに魔王は悲鳴を上げた。
暴発の衝撃で頬の肉が弾け、割れた歯列が露出している。
悶え苦しむ魔王の前に、白銀の杖を持った西園寺が現れる。
彼女は鎌倉を見て言った。
「間一髪でしたね。お怪我はありませんか」
「お、おう……」
鎌倉は困惑気味に頷く。
そんな彼の肩を鱧が馴れ馴れしく叩いた。
「誰だか知らんけど、時間稼ぎありがとうな」
鱧が白銀の弓を引くと、魔法の矢が発射された。
数十本に分裂した矢は縦横無尽に飛び回って魔王に突き刺さる。
肉を焼く苦痛に魔王は悲痛な叫びを漏らした。
命中した矢は止まらず、体内へと容赦なく潜り込んでいく。
そこに剣を掲げた三好、戦鎚を振りかぶる白石、槍を構えた藤堂が並んで接近する。
三人は息を合わせて突進し、それぞれの武器で魔王に攻撃した。
鱗が砕け散り、裂けた肉から鮮血が迸る。
聖なる武器の総攻撃を受け続けた魔王は白目を剥く。
そして小さく吐血したのを最期に、脱力して城外へとずり落ちていった。




