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トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


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第72話 意外な正体

 魔王の襲来を受けて、城内は慌ただしい様子だった。

 右往左往する兵士達が指示を飛ばして駆け回る。

 城内の付近では、眷属である昆虫の侵入を防ぐ戦闘が繰り広げられていた。

 兵士達は魔法と物理攻撃の両方を使って昆虫の撃退を試みているが、物量の差で劣勢気味だった。

 今にも突破されそうな危うさがあった。


 一方、メインクエストに参加するプレーヤーの五人――三好、鱧、西園寺、白石、藤堂は城内の石階段を下っていた。

 怪我人がいるため移動スピードは遅いが、大半の者が焦りを見せている。

 壁をくり抜いて作られた窓からは街の様子が一望できた。


 先頭を進む鱧は、窓の外の景色に注目する。

 城の門が壊されて数匹の昆虫が侵入していた。

 兵士が懸命に食い止めているが完全に人手が足りていない。

 昆虫が場内を蹂躙するのも時間の問題であろう。


 鱧は苦笑交じりにぼやく。


「ヤバいなぁ。外に出たら即死ちゃう?」


「おい。そろそろどこに行くか教えてくれよ。理由を隠して黙って誘導されたら、こっちだって不安になっちまうぜ」


 白石が疲弊した顔で言った。

 まだ傷が感知しておらず、歩くのも一苦労といった様子であった。

 振り返った鱧は行き先と目的をあっさりと明かす。


「目指してるのは城の地下やね。奥に聖なる武器があるんよ」


「聖なる武器? 一体何のことだ」


「魔王に強力なダメージボーナスが入る剣とか杖があってな。本来はメインクエストの最終盤で国王から授与されるんやけど、そこまで進める前に国ごと滅びそうやし、先にゲットした方がええかなぁって」


 得意げな鱧は流暢に説明する。

 一連の内容を聞いた他の者達は異変に気付き、思わず顔を見合わせた。

 そのリアクションを知ってか知らずか、鱧は気にせず同じペースで話し続ける。


「武器が保管された部屋は最強クラスの兵士が守っているけど、この状況なら眷属の対処に向かってるやろうね。拝借するのにちょうどええわ」


「待て待て。おかしいぞ。どうして先の展開まで知ってるんだ」


 見かねた白石が途中で遮り、最も気になった点を尋ねた。

 鱧は意味深に閉口し、にんまりと笑ってみせる。

 咄嗟に身構えた白石は慎重に問う。


「……まさかゲームの運営側か?」


「ちゃうちゃう。そういう感じのスパイとかやないで」


 鱧はくだけた口調で手を振った。

 それから彼は隠してきた正体を告白する。


「僕、トゥルー・ライフ・クエストに参加するのは二回目なんよ」

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