第50話 議論
日没後、三好は黒田のチームと一緒に夕食のカレー作りを行った。
野菜や肉を切り、まとめて鍋に放り込む。
加熱はカセットコンロを使用し、適度に混ぜながらじっくりと具材を煮込んだ。
鍋を任された真島は、他の者達に意見を求める。
「ルーは甘口と超辛口がありますけど、どちらを使います?」
「あたし甘口がいいなー!」
「中辛とかないっすか?」
「うん、甘口と超辛口だけだね」
「極端すぎっすよ」
協議の結果、甘口に少量の超辛口を混ぜたカレーを作ることになった。
配分を調整する真島を見て、三好はふと疑問を覚えて黒田に尋ねる。
「食材や調理器具はどこで買ったんですか?」
「買っていない。森の中の建物で見つけたものだ。街を利用しないプレーヤーへの救済措置だろう」
「無料で調達できるのはお得ですね」
「モンスターと遭遇するリスクはあるが、我々は経験値稼ぎになるからね。色々と都合は良いかもしれない」
ほどなくしてカレーが完成した。
全員で鍋を囲み、炊いた白米とカレーを皿に移して食べ始める。
皿を受け取った三好に真島が質問をした。
「ところで三好君はなぜゲームに参加したんだい?」
「えっと、普通にお金が欲しくて……あと情けない自分を変えたかったんです」
「情けない自分?」
「はい……失敗続きの人生をどうにかしたくてバイト参加しました。おかげで人生そのものが終わりそうな事態になってますけど」
自虐的な冗談に空気が冷たくなる。
気まずさに耐えられなくなった三好は、すぐさまゲーム中の行動や見聞きした出来事を伝える。
話の中には鱧、西園寺、志村に関する情報もあった。
生死に直結する話題なので、他の者達は真剣に聞いていた。
一通り聴き終えたタイミングで、蓮巳は名案とばかりに言う。
「その人達も仲間にできたら心強いねー」
「でも勇者の人はヤバそうっすよ」
異論を唱えたのは藤堂だった。
鶏の顔は少し不服そうな表情を浮かべている。
対する蓮巳はあっさりと言い返した。
「でも強い人は必要でしょ」
藤堂が反応する前に、黒田が強気な態度で割り込んだ。
彼は厳しい顔で述べる。
「私は断固反対だ。危険人物はチームの和を乱す」
「もうっ、おじさんってば真面目な意見ばかりなんだから」
カレーを食べながらの議論は白熱していく。
すっかり外野となってしまった三好は、箸で日本酒を飲む白石に気づく。
白石は肩をすくめた後、平然と二本目の酒を開封した。




