第49話 拠点チーム
廃屋から三人の男が出てきた。
それに気付いた黒田が三好に紹介する。
「彼らも仲間だ。この三日間でスカウトさせてもらった」
「なるほど……」
三人が三好の前で止まった。
黒田は右端に立つ痩躯の男を指し示す。
「真島君だ。普段はスーパーの店長らしい」
「どうもー、このゲームでは聖騎士やってます。まあ、体力には自信がないので、あんま頼らないでくださいね?」
真島は頼りない顔で頭を下げる。
自虐的な内容に三好は曖昧な反応しかできなかった。
次に黒田は中央の男を見る。
紫色のローブを着込むその男は、頭部がなぜか鶏だった。
「彼は藤堂君だ。バーテンダーだそうだよ」
「うっす。職業は幻術師っす。鶏頭は幻っすね。自分、シャイなんで隠してます」
藤堂は気楽な調子で喋りつつ、自身のスキルについて話す。
彼は幻術の魔法により、VRのテクスチャで物体をごまかす能力を持っていた。
それを使ってゴーグル越しに見える容姿を変更しているのである。
(割と便利だよな。色々と使い道がありそうだし)
感心する三好は、藤堂の頭に注目する。
VRと知った上でも分からないほど精巧な鶏であった。
黒田は左端にいる小太りの男の肩に手を置いた。
「最後が白石君だ」
「よろしく。一応ジャーナリストだが、こんな場所じゃ無意味だわな。ゲームの職業も弱いから期待すんなよ」
「確か詐欺師だったね?」
「ああ、ショボすぎて笑うしかねえ」
黒田と話す白石は、煙草を吹かして皮肉っぽく笑う。
全員の紹介が済んだところで、黒田は「言い忘れていたが私は狩人、蓮巳は巫女だ」と付け足した。
場の人間の視線が三好に集まる。
視線の意味に気づいた三好は自己紹介をする。
「はじめまして、俺の名前は三好です。職業は冒険者です。よろしくお願いします」
「はーい、三好さんは彼女いるっすか?」
藤堂の質問に三好は「えっ」と困惑する。
すぐさま藤堂は「冗談っすよ」と肩をすくめた。
黒田が咳払いをして場の空気を変える。
「我々の目的は、このゲームを安全に生き抜くことだ。したがってリスクの高い行動は極力避けねばならない」
黒田の目には厳しさと優しさが内在していた。
彼は己に言い聞かせるように語る。
「森に拠点を築き、モンスターだけを倒してレベルアップする。スキルやアイテムで守りを固め、敵対的なプレーヤーを追い返す。堅実にやれば全員で生き残れるはずだ。皆で頑張ろう」
蓮巳と藤堂が拳を突き上げて「おー!」と応えた。
真島は弱々しい顔で会釈する。
白石は煙草を吸いながら何度か拍手をした。
(防衛しながら地道にレベルアップか。消極的なスタンスだけど、本当に大丈夫なのか……?)
三好はふと心配になったが、空気を壊したくないので黙っておくことにした。




