第44話 逆境
大量のゾンビに追われながらも、三好は冷静に状況を分析する。
彼の顔は焦燥感に満ちていた。
マップの現在地を確認して絶望する。
(このペースだと村には辿り着けないな。先に捕まりそうだ)
南の村はまだ遠い。
出現するゾンビのペースは一向に落ちず、徐々に距離が縮まっている。
三好の体力もとっくに限界を迎えており、動きが見るからに鈍くなっていた。
なんとかゾンビの攻撃を凌いでいるが、間もなく破綻するのは目に見えていた。
茂みから這い出てきたゾンビを横目に、三好は顔を顰めて唇を噛む。
(どうする。もう打つ手は……)
三好は改めてマップを確認し、先ほどから見落としていた光点があったことに気付く。
それはレアアイテムを示す表示だった。
ちょうど三好の進行方向にあり、南の村より遥かに近い位置に留まっていた。
掴みかかってくるゾンビを紙一重で躱しつつ、三好は考える。
(何があるか分からない。でも他に逆転の可能性はないんだ)
数秒の思考を経て、三好は賭けに出ることを決めた。
彼は足腰に力を込めて加速すると、ゾンビの合間を縫うように突き進む。
今の三好には選択の余地はなく、不確かな勝機を頼るしかなかったのだった。
「邪魔だ、どけぇッ!」
最短距離を選ぶ三好は、ほどなくして洞窟を発見した。
レアアイテムの光点は洞窟の最奥にある。
三好は躊躇なく飛び込み、そして目を見開いた。
薄闇に紛れるように、大量のゴブリンが待ち構えていた。
ゴブリン達は棍棒やナイフを手に三好を睨む。
「マジかよ」
三好は踵を返そうとするが、ゾンビが目前まで迫っていた。
もはや走り抜けられる隙間は残されていない。
両者に挟まれた三好は、絶叫しながらゴブリンに突進した。
「うあああああああああああっ!」
三好は全力疾走で洞窟の奥を目指す。
途中でゴブリンに殴られるも、残っていたドロップアイテムを連続で使ことでHPを無理やり回復した。
そうしてゴブリンの大群を突破した時、彼の残りHPは2だった。
ゴブリン達は入口付近に固まったゾンビの排除を優先し、三好のことを見ていなかった。
ゾンビとゴブリンは洞窟の中で血みどろの殺し合いを始める。
(しめた! 今のうちにレアアイテムを入手しよう)
三好はさっさと先へ進み、台座の上に置かれた宝箱を発見する。
彼は宝箱を慎重に開く。
中には黄金の杯が納められていた。




