表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/91

第42話 乱入する影

 三好がサッカーボールキックが丸岡の顔面を捉える。

 強烈な衝撃に前歯が欠け、丸岡は悶絶する。

 三好は素早く馬乗りになって容赦なく殴り始めた。


「おいッ! お前が! 勝手なことをしてっ! 俺が迷惑してんだよ!」


 三好は激昂していた。

 ゲーム開始からこれまで抱えてきた緊張や恐怖、ストレスがついに爆発したのである。

 限界寸前だったところに丸岡の言動が引き金となり、すべての感情が怒りに注がれた結果、本人すら知らない攻撃性が発露していた。


 三好は半ば理性を失った状態で執拗に殴り続ける。

 拳の皮が切れて出血するも、それすら気付かず丸岡への攻撃を繰り返した。

 苦痛を与えるたびに、彼を苛む不安が薄れていった。


 三好が手を止めたのは、殴り始めてから五分が経過した頃だった。

 疲労で呼吸を乱しながら、彼は呆然とした表情で眼下の光景を見る。


 丸岡は大の字になって死にかけていた。

 顔全体が青紫色に腫れて、元の人相が分からなくなっている。

 血だらけの唇からは微かに呼気が漏れ、意識が残っているかも曖昧だった。

 目からは涙を流している。


 三好は尻餅をついた。

 痛む手で地面を掻いて後ろに下がる。

 その顔は引き攣った笑みを貼り付けていた。


「ははっ……自業自得だ。そうだろ、俺のせいじゃない。だってこいつが殺そうとしてきたから……」


 背後から呻き声が聞こえ、三好はぎょっとして口を噤む。

 三好はすぐさま振り返る。


 木々の合間から歩いてくるのは、腐敗した人間だった。

 血塗れの衣服を着てゆっくりと接近してくる。

 半開きの口が不気味な声を発していた。


 三好は驚いた顔で立ち上がる。


「ゾンビ……?」


 三好は慎重に動いて距離を取る。

 ゾンビの進む先は、三好ではなく瀕死の丸岡だった。

 ふらついた足取りで徐々に迫っていく。


 丸岡が目覚めた時、ゾンビは既に目の前にいた。

 彼は「うわぁっ」と声を上げて押し退けようとするが、仮想のモンスターには通用しない。

 ゾンビは己を素通りした腕に噛み付いた。


 丸岡の腕にゾンビの歯が食い込む。

 物理的な痛みは皆無だが、ゴーグルの振動がシステム上のダメージを知らせた。

 丸岡は匍匐前進で必死に逃げようとする。

 しかしゾンビは離れず、連続で噛み付いてHPを削る。


 ほどなくして丸岡のHPが尽きた。

 ゴーグルからの投薬により、彼は泡を噴きながら痙攣する。

 目や口から血を流しながら丸岡は絶命した。


 獲物を仕留めたゾンビの視線は三好へと移る。

 三好は引き攣った笑顔で自身を指差した。


「えっ、俺……? やめた方がいいって……」


 刹那、ゾンビが小走りで襲いかかった。

 三好は慌てて逃げ出した。

 ショートソードを回収し損ねたことを後悔しつつ、彼は森の中を全力疾走で駆け抜けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ