第27話 妨害
三好達は市場へと赴く。
裏技に使う武器と防具を買い集めるのが目的だった。
先頭を歩く鱧は露店をひやかしながら話す。
「僕らの資金で買える個数は限られてるから、慎重に選ばなあかんね」
「そうですね。優先するなら武器でしょうか」
西園寺の意見に鱧は頷く。
「うん。ミヨシンかサイちゃんの分が欲しいな」
「それでしたら三好さんの武器がいいでしょう。私は魔法とスキルで十分な火力が出るので」
「サイちゃんの魔法ってどんな感じなん?」
鱧の質問に対し、西園寺は少し考えるそぶりをした。
やがて彼女は自身の能力について詳細を明かす。
「初期スキルの【魔法:火球】は攻撃力8の火の玉を飛ばすことができます。MPがある限り連発が可能です」
「へえ、便利やね」
「さらにレベルアップで取得した【呪縛の聖典】によって、私の魔法攻撃力まで二倍になります。なので火球の攻撃力は16です」
「え……チートすぎひん?」
「ただし魔法以外で与えるダメージが固定で1になっています。一長一短ですね」
説明を聞いた鱧は驚きつつ納得する。
「なるほどなぁ。魔法特化の構成にしたわけやね。それは確かに裏技も必要なさそうやわ」
「ですのでまずは三好さんの武器を調達しましょう」
西園寺が三好を見て微笑む。
照れた三好は「あっ、どうも……」と返すしかなかった。
直後、上手く話せなかったことに自己嫌悪する。
その後、三人は各々の所持金を出し合っていくつかの武器を購入した。
同じく購入した鞄に武器を詰め込んで市場を巡る。
「誰に見られるか分からんし、裏技は宿屋に帰ったらやろか」
「それがいいですね」
二人が話していたその時、三好が唐突に立ち止まる。
彼は困惑した様子でステータスを眺めている。
異変に気付いた鱧が声をかけた。
「ミヨシン、どうしたん?」
「いや、なんか……お金が減ったような気がして」
三好は視界内に表示された所持金に注目する。
残り400Gはあったはずの金が、いつの間にか150Gになっている。
それを聞いた鱧は三好に念押しで確認する。
「本当に減ってたん?」
「ごめん、やっぱり勘違いかも」
「勘違いではありません。三好さんの所持金は不自然に減っています」
断定した西園寺は厳しい表情だった。
周囲に視線を巡らせつつ、彼女は毅然と述べる。
「お二人の残金は私が計算しています。150Gはありえません」
「データ上のお金を落とすはずもないし、つまり……」
「奪われたと考えるのが妥当でしょう」
西園寺の出した結論に三好はぎょっとした。
慌てて辺りを見回すも、怪しい人間はいない。
鱧は特に動揺せず、冷静に話を進める。
「犯人はNPCの他プレーヤーのどっちやろうね」
「今のところはなんとも……ただ、どちらも警戒すべきですね」
「ほんまな。厄介事がまた一つ増えたわ」
鱧は気だるそうにぼやいた。




