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トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


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第20話 油断の代償

 遠ざかる足音を聞いて、三好はふらつきつつも立ち上がる。

 視界がぐらつく上に耳鳴りが酷い。

 出血のせいか、手足の末端が冷え切っていた。

 三好は血を吐き捨てて呻く。


(死ぬかと思った……)


 彼の脳裏を占めるのは、薮蛇による暴力であった。

 二人に面識はない。

 ただゲーム内で遭遇した。

 それだけの理由で殺されかけたのである。


 苦痛と恐怖で震える三好だったが、ふと閃いて己のステータスを確認する。

 HPは一切減っていない。

 システム上、三好は無傷という判定であった。


(投石と槍。どっちもゲーム用の武器じゃなかった。つまり攻撃力が設定されていないんだ)


 三好は自身の認識の甘さを呪う。

 いくらデスゲームとは言え、彼はそれがシステムの枠内にあると考えていた。

 したがってHPの管理さえ徹底しておけば、命の心配は薄いと高を括っていたのである。


 しかし薮蛇は手製の凶器を作って襲撃してきた。

 ゲーム武器に頼らず、殺しの経験を存分に活かした戦法を取ってきたのだ。

 レベルやステータスなど無関係な暴力により、三好を重傷を負う羽目となってしまった。


(反省だな。今後は普通の凶器にも注意しないと)


 自戒する三好のもとに、杖を持った美女が歩いてきた。

 彼女は静かに問う。


「大丈夫ですか」


「す、すみません……ありがとう、ございます……」


 三好がそう答えると、美女は彼の身体を観察し始めた。

 衣服をめくって状態を確かめ、頷いてから離れる。


「骨は折れていないようですね。ここは危険ですので、ひとまず街に向かいましょう」


 美女はさっさと歩き出した。

 三好は慌てて後を追う。

 撤退した薮蛇が戻ってくる可能性はゼロではない。

 一刻も早く逃げ出したいというのが三好の本音だった。


 日没の迫る草原を二人は歩く。

 途中、美女は前を向いたまま発言した。


「お名前を伺ってもよろしいですか」


「三好です……フリーターやってます」


「私は西園寺です。よろしくお願いします」


「こ、こちらこそ」


 会話中も西園寺の意識は周囲の警戒を絶やさない。

 油断なく杖を構えて襲撃に備えている。

 三好も同じように警戒したかったが、傷が痛むので移動ペースを合わせるので精一杯だった。

 そのため彼は歩くことだけに専念する。


 およそ三十分ほどかけて二人は街に辿り着く。

 道中でプレーヤーやモンスターと遭遇することはなかった。

 にぎやかな街並みを見た三好は安堵する。

 西園寺は立ち止まらずに大通りを進んでいく。


「どこか行きたい場所はありますか」


「酒場でクエストの報酬を受け取りたいです」


「分かりました。すぐに行きましょう」


 酒場に赴いた三好は、モンスター討伐の報酬を得る。

 視界に表示された所持金が1500Gになった。

 さらにレベルも上がる。

 スキルは獲得できなかった。


 その後、二人は市場で水と食糧を調達する。

 三好は追加で消毒液や鎮痛剤、包帯といった道具も買っておいた。

 さっそく鎮痛剤を服用した三好は、市場の品揃えの良さに顔を顰める。


(このラインナップ……やっぱり殺し合いが前提のルール設計か)


 市場を去ろうとした三好は、すぐそばの露店に見慣れた人間を発見する。

 それは衣服を新調した鱧だった。

 小綺麗になって靴も履いた鱧は、三好を見て意外そうに笑う。


「あっ、ミヨシン。生きてたんや」


 次の瞬間、三好は鱧の顔面を殴った。

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