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トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


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第14話 目撃者

 丸岡は茂みを突っ切って走る。

 脂肪を蓄えた大きな腹を揺らして、顔を真っ赤にして必死に逃げていた。


(ふざけんなって! あんなの強すぎだろ!)


 数分前、丸岡は藪蛇による村人の殺戮を目撃した。

 圧倒的な殺意と迫力を前に、彼はすっかり怯え切ってしまい、気が付けば森の中に逃げ込んでいたのである。

 たまたま草むらにいたことで藪蛇に見つからなかったのは、丸岡にとってこの上ない幸運だった。


 体力を使い切った丸岡は全力疾走をやめる。

 彼は汗だくで呼吸を整えながら尋ねた。


「アテナ、あいつはプレーヤーなのかっ!?」


『その質問にはお答えできません』


「くそ、役に立たねえなぁ!」


 苛立ちと焦りから怒鳴った丸岡は、すぐに口を押さえて周囲を見回す。

 彼の他には誰もいなかった。

 安堵した丸岡はアテナに質問をする。


「なあ、さっきの奴と俺が戦ったら勝てると思うか?」


『あなたが特殊部隊に匹敵する戦闘技術を発揮すれば不可能ではないかと』


「つまり無理ってことじゃねえか!」


『無理ではありません。トゥルー・ライフ・クエストの難易度はプレーヤーの能力で大きく変動します。ゲームシステムは一側面に過ぎません』


「そんな風に言われてもなぁ……」


 丸岡はリストラされた元サラリーマンだった。

 競馬と風俗が趣味で多額の借金を背負い、その返済のためゲームに参加している。

 決して褒められた経歴でないのは自覚しており、ましてや特殊部隊に匹敵する戦闘技術など持っているはずもなかった。


 歩いて森を進みつつ、丸岡は自身のステータスを確認する。



調教師マルオカ

レベル1

HP10

MP10


スキル

【調教】



 丸岡の足元には緑色の粘液の塊があった。

 その粘液はゼリーのような質感で、彼の移動に従ってついてくる。

 丸岡は微妙な顔で注視する。



スライム

レベル3

HP15

MP15



 スライムは調教師が初期状態で飼っている魔物だった。

 ただし能力は低く、過信できるほどの強さはない。

 それでも単純なステータスはレベル1の丸岡よりも上だった。


(ただ、雑魚キャラが仲間でも意味ねえよなぁ……)


 丸岡はスライムを見てため息を吐く。

 それから彼は気になっていたことをアテナに訊いた。


「そういや、あの村って時間経過で復活するのか?」


『いいえ、建物やNPCの状態がリセットされることはありません。クエストによっては進行不能になりますのでご注意ください』


「注意って言ったって、他の連中が暴れてたらどうすんだよ」


『戦って止めましょう』


「それができたら苦労しないって……」


 非情な回答を受けて、丸岡はまた息を吐いた。

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