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トゥルー・ライフ・クエスト ~超高額バイトに応募したら絶海の孤島でデスゲームに参加することになりました~  作者: 結城 からく


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第13話 厄介な刺客

 青年の凶行により、村全域が血みどろになっていた。

 見つかった者は例外なく殺されており、辺りには無数の死体が散乱している。

 青年は付近で一番大きな家屋に侵入した。


「ふう、結構殺したねー。まあ全部バーチャルだけど」


 室内には杖を持った老人が待ち構えていた。

 この村の責任者、村長である。

 村長は怒りに染まった顔で追及する。


「おのれ……貴様、何が目的じゃ!」


「ん? 人殺しだけど」


「ふざけるなッ!」


 村長が杖を翻すと、そこから鋭い刃が現れる。

 仕込み杖だった。

 老人とは思えない身のこなしで、村長は青年に斬りかかる。

 青年はナイフで防御して微笑む。


「いいね、かっこいいじゃん」


 村長が凄まじい速度で斬撃と刺突を放つ。

 青年は巧みにやり過ごしていたが、振り抜かれた刃が前腕に当たる。

 痛みはなく、代わりにゴーグルの振動がゲーム上のダメージを知らせる。

 彼のHPが残り四割を切っていた。


「わお、ヤバい火力。チートかなー?」


 あと一撃でゲームオーバーにも関わらず、青年は冷静だった。

 その後はすべての攻撃を躱し、村長の首にナイフを突き込んで勝利する。

 ナイスを引き抜いた青年は手を振った。


「はい、おしまい」


「ぐ……おおぉ…………」


 呻く村長が床に倒れる。

 そして二度と起き上がることはなかった。

 直後にアテナが通達する。


『おめでとうございます。村を壊滅させたことで賞金百万円を獲得しました』


「やったー、ボロ儲けー」


『条件の厳しいボーナスなので賞金も高額に設定されています』


 喜ぶ青年は村長の死体を見下ろすと、仕込み杖を指差して言った。


「この刀って貰えないの? めちゃくちゃ強かったんだけど」


『VR技術で構築された仮想武器なのでプレーヤーが所持することはできません』


「そりゃそっか」


 青年は納得して笑う。

 村長はゲームの人物に過ぎず、その持ち物も実在しない。

 どれだけリアルでもそこは絶対だった。

 アテナは続けて青年に告げる。


『村長を倒したことでレベルアップし、HPとMPが全回復しました。今回はスキルも獲得できます。次の三択からお選びください』


 青年の前に三つのウィンドウ画面が表示された。

 彼は数秒ほど吟味した末、そのうち一つを選び取る。


「うーん、じゃあこれにしようっと」


 青年が取得したのは【狩りの時間】というスキルだった。

 夜間のみ攻撃力が二倍になるという効果である。

 さっそく青年はステータスを確認する。



暗殺者ヤブヘビ

レベル24

HP110

MP140


スキル

【暗視】

【狩りの時間】



 銀髪の青年――藪蛇の初期状態は決して強くない。

 暗闇を見通すだけのスキルに、攻撃力3のナイフが武器である。

 他のプレーヤーと比べても弱い部類だが、彼はそのハンデをものともしなかった。


 薮蛇の本業は殺し屋だ。

 ゲームに参加したのは、運営会社からのスカウトがきっかけだった。

 大儲けできる仕事があると誘われ、嬉々として乗ったのである。


 殺し屋として多様な経験を積んだ彼にとって、ナイフ一本の殺戮など朝飯前だった。

 ましてやゲームキャラに負ける道理など存在しなかった。


「何かアイテムとかないかなー」


 藪蛇は家の中を探索し、小さな宝箱を発見する。

 開けてみると古い銀の指輪が入っていた。

 彼が注目した途端、指輪に関するデータが表示される。

 それを読んだ藪蛇は満面の笑みを浮かべた。


「ラッキー、宝物を見つけちゃった」


 藪蛇は意気揚々と外に飛び出し、下手くそなダンスを踊る。

 リズムも動きも滅茶苦茶だが、本人は心の底から満足していた。


「はあ、楽しいー。これで大金をゲットできるんだから最高だね」


 藪蛇はデスゲームを謳歌していた。

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