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不器用な蒼雷の騎士団長は、平民の書記官に恋をする  作者: 雨音AKIRA


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16/31

任務その15 緊急案件(※元カレ)発動中! ~その3~

最近投稿ギリギリな件( ´_ゝ`)

いや仕事忙しいんだ……orz


「夕食美味しかったですね!団長」


「(コクコクコクコク!)」


「次の限定デザートも絶対食べに行きたいなぁ」


「(コクコクコクコク!)」


「あ、団長も一緒に行きます?」


「(コクコクコクコクっ!!)」



 王城の食堂にて夕食を取った騎士団長(アルフレッド)書記官(マーガレット)は、騎士団寮までの道のりを歩いていた。


 結局一つしか注文できなかった数量限定デザートの季節のパフェを「あ~ん♡」してもらって食べることに成功したアルフレッドは、今や全てのモノ事に「OH!YES!!」と大声で叫びそうになるのを堪えているイエスマン状態である。会話というより単に相手の言葉に不自然なほどに頷くだけの、気持ちの悪い巨大首振り人形だ!


 そんな夕食を終えた二人は、再びマーガレットの住む騎士団寮へと向かっていた。



『チャーリーチーム、大熊マルタイがそちらへ向かった。状況を報告せよ』


『こちらチャーリーチーム。現状、元カレ男(マル被)らしき人物は見当たりません』


『了解、引き続き警戒に当たれ』



 薄暗くなってきた騎士団寮の周辺では、アルフレッドによる送迎途中の被害を最小限に食い止める為、騎士団員達が戦さながらの軍事作戦を実行していた。


 裏でそんな作戦があるとは知らないアルフレッドは、寮が見えてくると心なしか足取りが重くなっているようだ。



「団長?どうされたんです?」


「いや……そういえば女子寮の方は更に奥だったか?」


「はい。一応騎士団寮ですけど、女子寮はちょっと場所が違うんですよね。どちらかというと兵団よりというか」


「何?そうなのか……?」



 兵団とは騎士とは違い、一般兵達が所属する部隊である。ほとんどが平民で構成されており、騎士団よりも人数が多い。



「大丈夫なのか?騎士団もそうだが兵団も男ばかりだろう。すまない、これまで何も考慮してこなかったが、安全のために今後も送迎をしよう」



 アルフレッドは騎士団長として、書記官の安全の為にそう提案した。軍部はそもそも女性が少なく、彼女達が利用する施設は特別に作られたとはいえ、男所帯の中では心もとない。



「そんな申し訳ないです。一応安全面は魔道具とか設置されているみたいなんで大丈夫ですよ」


「そうは言ってもな……やはり男所帯の中で女性一人というのは心もとないだろう」



 遠慮するマーガレットにアルフレッドは心配そうに言った。恋愛においてはポンコツだが、女性に対しては普通に紳士な男である。驚くほどまともな会話に、周囲の騎士団員達(団長の恋見守り隊)は感動に打ち震えている。



『団長……成長したんですね……!俺感動っす!』


『うっ……流石俺達の団長だ……!恋愛はダメダメだけど、女性に優しい騎士団の熊さんだ!』



 ちなみにアルフレッドとマーガレットにはそれぞれ極秘に特別な魔道具(盗聴器)が仕掛けられている為、会話は全てマルッと筒抜け状態だ!(※設置犯はもちろん補佐官である!)マーガレットのプライベートを盗聴したなど、バレたらキッツイお仕置きがアルフレッド(嫁命の男)から下されるだろうが、騎士団員達(自分が大事な男達)は全てマルッと補佐官(生贄)に罪を押し付けるつもりである!


 そんな彼等が見守る中、アルフレッドとマーガレットの二人は、やってきた騎士団女子寮の前で立ち止まったまま会話を重ねていた。



「騎士団の方は俺がいる限りおかしなことをする奴はいないと思うが、兵団の方はわからないからな。女性である君が嫌な思いをすることがあるかもしれない。間違いがあってからでは遅いんだ」


「う~ん……そうかもしれないですけど……でもこれまで寄ってきたのって、兵団の男性というよりどちらかというと……」



 アルフレッドの説得に対して、マーガレットが答えようとしたその時──



「やぁ愛しのマーガレット!仕事が終わったのかい?」


「っ──!?!?!」



 颯爽と長い脚でこちらにやって来る一人の人物。舞台役者かと思うようなキラッキラの美しい顔に艶やかな笑みを浮かべて近づいてきたその人物の放った言葉に、アルフレッドをはじめ騎士団の男共は戦慄した!



『おい!周囲を警戒しろと言っただろ?!アイツは何だ?!』


『えぇ?!でも寮の周辺は閉鎖したはずですが……そもそもあの人、今女子寮の中から出て来ませんでした?』


『そんな馬鹿な事があるか!騎士団の女子寮は魔道具の結界で男は入れないようになっているんだぞ!』


『そんなことを言われても……』



 インカムでざわつき始める騎士団員達チャーリーチーム。厳戒態勢で自分達以外の人間の侵入を止めていたはずだが、いつの間にか何者かが入り込んだようだ。しかもその言動から察するに、目の前にいるのがストーカーをしているらしい、マーガレットの元カレのようである。



「せ、先輩……お疲れ様です~……どうしたんですか?」


「あぁ、折角だから僕の可愛いマーガレットと一緒に食事でもどうかと思ってね。仕事が終わるのを待っていたんだよ」



 そう言ってスッと近づくと、その人物はマーガレットの手を掬い取り、甲に口づけを落とした。



「なっ──!?!?!」



──ピシャァァァンッ!!──



 あまりの衝撃にアルフレッドの蒼雷が発動する!だが目の前にいる優男はピンピンしていた。



「おや?何やら静電気でも起きたかな?」



 アルフレドの蒼雷を静電気と評する優男。にこやかにマーガレットの肩に手を置いて語り出す。



「マーガレット……この後どうだい?夕食を一緒にさ……ついでに夜明けまで語り明かそうじゃないか」


「せ、先輩……実はもうご飯は食べてきてしまってて~……」


「何だ、残念だな。じゃあ明日からは一緒に食べよう。職場まで僕が迎えに行くよ」


「え、遠慮しておきます~。悪いですし、仕事も忙しいからいつまでかかるかわからないですし~……」



 普段は割と豪胆な性格のマーガレットだが、何故か目の前の優男に対しては、あまり強く言い出せない様子だ。


 だが流石に馴れ馴れしいその態度に、側で固まっていた童貞騎士(アルフレッド)はようやく動き出した。



「き、き、き、き、貴様は一体何者だ?!」



 ズビシッ!!と効果音が聞こえてきそうなほどの勢いで相手を指さすアルフレッド。だが親し気な二人を強引に引き離す勇気がないだけのただのヘタレである!



「……えぇと君の方こそ何かな?女子寮の前にいるなんて随分と不審だが……」


「あ、先輩。こちらは私の上司で騎士団長のアルフレッド様です~。寮まで送っていただいたので」


「ふぅん……彼がねぇ……」



 マーガレットの紹介に、イケメンの優男はジロジロと上から下までアルフレッドを見回した。切れ長の目はどことなく侮蔑の色を含んでおり、その様子にアルフレッドの怒りのボルテージもあがってくる。蒼雷がバチバチと全身を覆い始めるが、マーガレットが間に割って入った。



「先輩……団長に失礼ですよ?」


「はーっはっはっはっはっ!すまんすまん!つい噂の騎士団長殿を揶揄ってしまったよ!はーっはっはっはっはっ!」



 突然高らかに笑い出す元カレ男。豪快な笑い方は、その美麗な見目におよそ似つかわしくない。だが王国最強の騎士団長を前にしても動じない、油断のならない人物のようだ。



『おい!本当にあれがマーガレット書記官の元カレなのか?一応指揮官クラスだという話だが……どう見てもキラッキラの舞台役者じゃないか!作戦指揮官オペレーショナルコマンダーどういうことだ?』


『あー、突貫で情報を仕入れたので、相手が兵団所属で指揮官クラスというところまでしか……チャーリーチーム、出来れば相手の情報を仕入れつつ団長の補佐をお願いします、どーぞー』


『おいっ!こっちに全部丸投げかよ!チャーリーチーム了解だ!どうなっても知らんからな!』



 マルッと現場に投げてきた補佐官に毒づくチャーリーチーム隊長。一応周辺は封鎖済みで騎士団員と当事者であるアルフレッド達以外は誰もいないから、何かあっても(※主に特大の蒼雷)被害は最小限で済むだろう(※つまりはいつも通り騎士団員へ被弾)。後はあの元カレ男がどう動くかだけが不安要素だ。


 しかしそんな周囲の心配をよそに、マーガレットを挟んだ者達は互いに睨み合っていた。



「見れば貴様は兵団所属の一兵士のようだな。部隊が違うとはいえ、上官への態度がなっていないんじゃないか?」


「ふぅん?でもそれを言うなら、君は上官という立場を笠に着て、部下の女性を無理に連れまわしているみたいに見えるけど?それってパワハラじゃないのかい?」



──バチバチバチバチッ!!──



 互いの目から凄まじい火花が放たれる!実際にアルフレッドからは蒼雷がバチバチと放たれているが、優男は全くもって相手にしていない。



『おいおいおいおい!なんかあの元カレ男、何気に団長と互角にやり合ってないか?俺達が助けなくてもアイツ自分で何とかしそうじゃね?』


『いやだがあの顔面偏差値の高さだぞ?もしまかり間違って団長が完全にフラれて、元カレ男とマーガレット書記官がよりを戻した時のことを考えろ!』


『…………ヤバイな』


『…………ヤバイヤバイ』


『…………終わる(死ねる)未来しか見えない』


『てか顔面だけでは団長(巨熊)に勝ち目はない( ´_ゝ`)』


『『激しく同意!\(゜ロ\)(/ロ゜)/』』


『右に同じ!(/ロ゜)/』


『左に同じ!\(゜ロ\)』


『億が一にも顔面で勝ち目はない、うん。詰んだ(死んだ)(´・ω・`)』



 シレッと失礼なことを言い放つ騎士団員達チャーリーチーム


 この場にいない補佐官やアルファチーム、ブラボーチームの面々も、美貌の元カレの人物像(※主に顔面偏差値)が気になるようだが「まぁあの凶悪顔の大熊が相手なら、大抵の男はイケメンに見えるかも?」と思い直したようだ。上官アルフレッドの顔面偏差値については、触れてはいけない非常に繊細な部分(デリケートゾーン)である!


 そんな騎士団員達(外野)の思惑をよそに、マーガレットを巡る二人の人物の対立は更に深まっており一触即発状態だ。



「俺は上官として部下の安全の為に、彼女を送迎していただけだ。寧ろストーカー行為をしている貴様の方が迷惑行為をしているだろう!即刻この場から立ち去るがいい!そして二度と出入り禁止だ!!」


「ははっ!ストーカーだって?心外だなぁ!元々僕らは恋人同士だったんだから、迷惑行為なわけないだろう?離ればなれだった恋人同士がやっと再会したんだから、邪魔をすると馬に蹴られるよ」



──バチバチバチバチッ!!──



『うわっと!』


『ぎゃっ!こっちまで来た!』



 元カレ男への怒りに対し激しい火花が飛び散り、影で見守っていた騎士団員達チャーリーチームへ蒼雷が襲い掛かる!避けようよしてアワアワしていたら、隠れていた物陰から出てしまった。



「おや……?どうやら他にも無粋な輩がいるようだね?見たところ騎士団員のようだが、みんなで一人の女性をつけまわしていたのかな?」


「……お前ら……」


「だ、団長、お、お疲れ様です……」


「あわわ……き、奇遇ですねぇ」



 超絶不自然な様子で挨拶をする騎士団員達チャーリーチーム。極秘の軍事作戦コードネームスリーピングキングベアー大失敗の危機である!


 するとアルフレッド(一応騎士団長)も流石に部下達の可笑しな挙動に気が付いたのか、矛先を変えて問いただした。



「お前ら、居残り訓練するとか言ってなかったか?何故ここにいる?」


「あー、えーっとぉ……」



 当然のことながらアルフレッド(恋するキングベアー)の尾行は超極秘事項である!相手に気付かれないようにうまいこと恋の誘導をするつもりが、マルッと大熊マルタイにモロバレしてしまった!



「しかも何だか怪しげな魔道具のインカムも付けてないかい?……騎士団ってのは身内を尾行するのが仕事なのかな?」


「「「(ギックーンッ!!)」」」



 余計な事を言う元カレ男。その言葉に、アルフレッド(怒れるキングベアー)の顔面が更にヤバいことになっている。



「お前ら……っ(怒)」


「あばばばばばっ」


「ご、誤解ですっ!」


「そ、そうそう!誤解ですって!」



 ヤバ気な空気(※蒼雷)を醸し出すアルフレッド(怒り状態の巨熊)に、慌てだす騎士団員達(見つかった男達)。インカムから聞こえる音に、他の騎士団員達(自分だけは助かり隊)はゾゾゾと背筋を震わせた。可哀想だがその場にいない自分達にできることはないと、祈るばかりだ(※つまり助けに行く気はこれっぽっちもミジンコほどの気持ちもない!)



「うわ~、ザ・修羅場(SYURABA☆)だ!ははっ」



 アルフレッド(怒れる巨熊)VS騎士団員達(やらかした男達)の対立に、元カレ男は楽しそうに笑い声を立てている。だが蒼雷の恐怖の前では笑いごとではない。アルフレッド(怒らせたらヤバイ奴)から怒りの矛先を向けられた騎士団員達(追い詰められた男達)は、ついに禁断のワードを口にした!



「補佐官っ!そう、補佐官の奴に言われてやったんですよ!」


「そ、そうそう!補佐官が団長をつけろって!だから仕方なくっ!」


「全部補佐官のせいっす!!」


「っ!?!?!?!?」



──ピシャァァンッ!ドンガラガッシャーんっ!!──



 騎士団員達(仲間を売る奴ら)は、マルッと全部の罪を補佐官(生贄)へと被せた!ついでに凄まじい蒼雷が周囲をほとばしる!


 罪を補佐官へ被せたはいいが、蒼雷の直撃を食らった騎士団員達チャーリーチームは瀕死寸前、ほぼ壊滅状態だ。


 ちなみに現場へ任務を丸投げしていた補佐官は、既に魔道具インカムを外していた為、自分がマルッと罪を着せられているとは全く知らない。


 憐れ補佐官(生贄)。仲間達から売られ、今日中にも上官(怒れるキングベアー)からのキッツイお仕置きが待っているだろう!「たまには指揮官とかやってみたいな~☆俺できる男だからできるっしょ!」なんて軽い気持ちで作戦の指揮など執るものではない!



「あの~、もしかしてストーカーとかの件で補佐官から指示があったんですかね?」


「そ、そうです!俺らはそれに従っただけで!」


「あぁ~、そうなんですね。団長、私があれこれと言ったばかりに、補佐官や皆さんにも随分ご心配かけてしまったようで……すみません」



 ここで助け船のようにマーガレット書記官がフォローに入った。実際に騎士団員達が尾行していたのはストーカーの心配というより、アルフレッドの暴走を警戒してのことだったが、勿論、尾行(つけ)られている本人達は知らない。



「うむ……そういうことなら仕方ないな」



 アルフレッドも愛しのの発言に、何とか留飲を下げたようだ。流石は猛獣アルフレッド使いのマーガレットである!



「おいおいおい、ストーカーとか穏やかじゃないね、マーガレット。もしかして僕のことを言っているのかい?心外だなぁ」


「あ~、先輩すみません……でも勧誘がしつこいので流石にちょっと……仕事にも支障をきたしますし……」


「それは申し訳なかった!だが僕にはやはり君しかいないんだ!君こそ僕のヒロインに相応しい!どうかもう一度僕と恋人同士になってはくれないか?」


「っ!?!?!?!?」



──ズガガガーンッ!!ドンガラガッシャーん!!



 まさかの目の前での告白である!予想外の展開と衝撃に、既に倒れ伏している騎士団員達チャーリーチームに追撃の蒼雷が襲い掛かる!


 一方で甘い雰囲気の中で見つめ合う元恋人同士の二人。元カレ男がマーガレットの手を取り、まるで恋愛劇さながらに跪いて愛を乞うている。



「ダメかな?僕たちほどお似合いのカップルはいないと思うけど」


「でも先輩~、お付き合いするのは学生時代だけだって言いましたよね?お互い仕事もしてますし、前みたいなのはちょっと……」


「そうは言っても今の僕の仕事はそっちなんだよ?だからこそ君が必要なんだ」


「えぇぇ?でも先輩って兵団所属じゃないんですか?あっちの仕事なんてあるんです?」 


 あっちとかそっちとか、互いにしかわからない言葉で話す二人。そんな秘密の甘いやり取りを目の当たりにして、アルフレッド(経験の無い男)は最早、崩れ落ちる寸前の化石状態だ!



「あぁ!あるとも!兵団が持っている楽団にプラスして、兵団主催の劇団もできたんだよ!今の僕はそれの劇団長だからね!」


「えぇ?!そうだったんですか?!」



 何やらマーガレットも知らない元カレ男の事実が発覚したようである。だがその詳細を聞こうにも、騎士団員達チャーリーチームは壊滅しているし、肝心のアルフレッド(傷心の童貞)は化石のように固まっていて役に立たない!


 そこで奥で控えてコッソリ様子を窺っていた衛生兵(デルタ2)が勇気を振り絞って近づいた!



「あ、あの~……その劇団って言うのは一体なんですか?それに勧誘とかなんとかって……」


「おや、まだ騎士団員が残っているのか?まぁいい。劇団ていうのはね──」


「んまっ!オスカル様ここにいらしたのね~!」



 元カレ男が説明をしようとした時、野太い声がその場に響いた。オネェ言葉でくねくねと喋るその人物は勿論、王宮専属デザイナーのシモンことシナモンちゃんである!



「シナモン、打ち合わせは明日じゃないのか?」


「んもう!ツレないんだから!予定が空いたから来たのよぉ~」



 つい先ほど王宮の食堂でデルタ(ワン)衛生兵(生贄)を連れ去ったシナモン(男色の化け物)であるが、どうやら衛生兵(獲物)に逃げられたらしい。ごっつい身体を揺さぶりながらドスドスとこちらへと走ってくる。



「シナモンさんも先輩と認識があるんですか?」


「あらん、当然よぉ~。だって王太后様肝入りの劇団の団長よぉ?衣装とか舞台デザインとか私以外の誰がお仕事するっていうのよ~!おほほほほ!」



 マーガレットの疑問に、濃い化粧の顔面に満面の笑みを浮かべて応えるシナモン。男達を恐怖に陥れるすさまじい人物オネェだが、本職のデザイナーとしての腕は一流である!


 そんなシナモンからの情報に、一人生き残っていた衛生兵(デルタ2)は、これまでの疑問をぶつけてみた。



「えとつまり、マーガレットさんの元カレさんは、劇団の団長ってことなんですか?」


「あぁ、そうさ!というか元カレという呼び名はあまり好きじゃないな。僕とマーガレットは運命の恋人同士なんだから!」


「そういう役柄ってだけでしたけどね」


「え?役柄??」



 マーガレットの口から思ってもみない言葉が放たれ、衛生兵(デルタ2)は目を丸くして問いただした。すると何でもないことのように更なる事実がもたらされる。



「そうですよ~。先輩と私は学生時代に演劇部だったんです~。そこで主演をつとめたんですけど、恋人同士の役がどうもはまってたみたいで、すごく人気が出ちゃって~。おかげで学園にいた時は彼氏彼女で通ってました」


「え?え?でも実際に付き合ってたのではないんですか?」


「え~、でも先輩は女性・・だし~、本当にお付き合いするとかそういうのはちょっと~……」


「え?女性?女性っていいました?!」


「??そうですよ?先輩は女性です」


「あぁ、当然ながら僕は女だが?」


「オスカル様は女性よねぇ?」


「だって通ってたの女学園ですよ。あれ?言ってませんでしたっけ?」


「えぇぇぇぇっっ!?!?!?」



──ピシャァァァンッ!!ズガガガガーンッ!!──



 元カレ男=女性というとんでもない事実に、ついに覚醒したアルフレッド(ヘタレのチェリー)から更なる蒼雷がほとばしる!



「ぐっふぅっ!!……」



 憐れな衛生兵(デルタ2)も、覚醒した凄まじい蒼雷の前では生き残ることは叶わなかった。「元カレ男が女とかマジかよ……」という最後の言葉(ダイイングメッセージ)を呟きながら倒れ伏してしまった!


 そんな中で他の者達と言えば、激しい蒼雷がほとばしる中でも悠々と語り合っている。



「やぁ、この蒼い雷、次の講演の演出で使えないかな?是非とも噂の騎士団長殿にもうちの劇団に入ってほしいものだね」


「先輩、それは困ります~。団長は騎士団うちの団長ですから。誘うのは他を当たってください~!」


「ふふふ♡騎士団長(子猫ちゃん)が劇団に入るなら、普通に役者で出てもイイかもしれないわねぇ♡その肉体美を彩る素敵な衣装を考えちゃうわよん」


「ははは、それもイイねぇ。是非とも団長殿を劇団にスカウトしよう!」


「も~、先輩ったら」



 思い思いに語る女性(?)達。女性に優しい紳士のアルフレッドは、蒼雷も無意識の内に女性を避けるように操っている為、この激しい閃光の中でも彼女達は全くもって無事であった。


 元カレ男と警戒されていた男装の麗人オスカルも、アルフレッド(意外と敏感な男)の中では無意識下で女性と認識されており、蒼雷を受けることがなかったようである!ついでに言えばオネェのシナモンも蒼雷を被弾していないので、アルフレッド(やっぱり鈍感な男)にとってはしっかり女性として認識されているようだ!



「じょ、女性……?女性なのに元カレ……だが女性……だが元カレ……だが女性で元カレで……」



 元カレ男が女性だったということに衝撃を受けたアルフレッド(蒼雷だけ敏感な男)は、その後暫くの間、「元カレが女性……つまりマーガレットは女性好き……?」とちょっと斜め上な悩みを抱える羽目になったのだった。


補佐官「アタタタ……団長のお仕置きキツかったー!」

ケビン「はは、作戦指揮官大変だったみたいだね」

補佐官「そうですよ!いつもなら殿下が指揮をとってたのに……」

ケビン「まあ俺は劇団長が女性だって知ってたからね」

補佐官「え!知ってたんすか?!( ; ゜Д゜)」

ケビン「そりゃ知ってるよ。人事俺だし( ´_ゝ`)」

補佐官「教えてくれてもよかったんじゃ……( ; ゜Д゜)」

ケビン「やだよ。余計な仕事したくないし( ´_ゝ`)」

補佐官「ヒドイ( ; ゜Д゜)」

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