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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
虹の章

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第九十二話 アーテルの過去

国王レクスがアーテルに跪いた事に驚きを隠せないアルクス。

しかしその口から語られた内容は更に衝撃的で……?


どうぞお楽しみください。

「ニグリオス様がお見えになったという事は、破滅の時は間も無く……」

「まー、そこら辺はこっちで上手い事やりますんでー」


 わけわかんない!

 わけわかんない!

 何で国王様が先生に膝をついてるの!?

 何で先生はいつも通りなの!?

 それにまた聞こえた『破滅の時』って言葉……!

 何がどうなってるのー!


「アルクスさん。心より感謝申し上げます」

「ぶ、ブルブスさん……?」

「あの方は、陛下がずっと待ち続けておられたお人なのです」

「な、何でですか!? 実は国王様の子どもとか!?」

「いえ、そうではないのです。私も先程聞いたばかりの話で半信半疑ではあるのですが……」


 ブルブスさんは言うのをためらってるみたい。

 でもどんな話でもいいから聞かせてほしい!


「お、じゃあ三人まとめて説明しますかー」

「せ、先生!?」

「王様も伝え聞きでしょうからー、聞いときたいですよねー」

「勿論です。お願いいたします」

「じゃあ机とお茶なんかも用意してもらってー」

「すぐに手配いたします」


 ブルブスさんが大急ぎで机と椅子を置くと、扉の外に顔を出してお茶とお菓子を頼んだ。

 その間に先生は悠々と座り、国王様はお辞儀をしてその正面に座った。

 ……何か態度だけ見るとどっちが偉いんだかわからない……。


「茶と菓子はすぐにお持ちいたします」

「ありがとうございまーす。じゃあ話を始めましょうかー。アルクス、こっちきて座れー」

「は、はい……」


 せ、先生と国王様の間……!

 緊張する……!

 正面にブルブスさんが座ったところで、先生が口を開いた。


「とりあえずざっくり言いますとー、昔々に作られた魔法兵器が復活するのでー、ぶっ壊すために俺が来た、って感じですねー」

「ざっくりすぎます先生!」

「あ、アルクス……」


 しまった! いつもの調子でつっこんじゃった!

 国王様の前なのに……!


「まー、そうだよなー。じゃ、詳しく行くぞー。五百年前は今よりも魔法はもっと自由で複雑で、今みたいに魔術と法術とにも分かれていなかった」

「ご、五百年……?」


 いきなりついていけそうにないんですけど!?


「んで、人の世の常。魔法は当たり前に戦争に使われていた。そんな中ある国が作り出したのがアドウェルサ」

「アド、ウェルサ……」

「そいつは魔法を分解して吸収し、成長する粘液状の人造生物でなー。魔法を主体とした戦争では無敵と言われてたんだが、そうなると落ちはわかるだろー?」

「え、お、落ち!?」

「……制御不能、ですかな」


 国王様の言葉に、先生が嬉しそうに親指を立てる。


「正解! しかもその時には大規模な戦闘で攻撃魔法をたらふく吸って、ちょっとした山くらいの大きさがあったんだ」

「……うぇ……」

「戦争どころじゃなくなった各国は手を結んだが、手の打ちようがなかった。魔法攻撃は吸収、兵器だから物理攻撃耐性も高い。そして生物だから勝手に動く」

「た、大変じゃないですか!」


 山みたいな粘液が、魔力を吸いながらあちこち移動するなんて、熱が出た時の悪い夢みたいだ……。


「そ。だが俺達は諦めなかった。アドウェルサが吸収しきれない量の魔法で消滅させる手段を編み出した」

「そ、それは!?」

「じゃーん! この仮面なのだよー」

「……ただのお洒落じゃなかったんですね……」


 そうか……。

 その仮面の力で、アドウェルサをやっつけようと……。

 ……ん? 俺達……?


「あ、あの、先生って、今いくつなんですか……?」

「五百三十七、いや、八かな」

「うえええぇぇぇ!?」


 な、何で五百年以上も生きてるの!?


「それがこの『後払いの仮面』の効果さ。俺の身体が得たもの全てを吸い取り、中に溜め込む。そして砕いた時にその溜め込んだものを持ち主に返す」

「え、え?」

「つまり、俺の魔力を溜め込み続けるのと同時に、俺の肉体年齢も吸い取る。だから俺は歳を取らない。それに負傷も吸い取るから、怪我でも死なない」

「……! じゃ、じゃあルームスに刺された時って……!」

「そ。この仮面が傷を吸い取ったのさ。ちなみにお前にもらってた緑の魔吸石まきゅうせきは、死にかけてた坊ちゃん貴族に使ってたのさ」

「えぇ……?」


 だ、駄目だ……。

 理解が追いつかない……。


「……アルクスさん。ルームスとは、ルームス・ルトゥムの事で間違いありませんね……?」

「え、あ、はい」

「つまりニグリオス様を剣で刺した挙げ句、アルクスさんと共に化け物呼ばわりした、と……」

「……ブルブス」

「わかっております陛下……」


 な、何か国王様とブルブスさんが怖い……!


「失礼致します。お茶とお菓子をお持ち致しました」

「お、待ってましたー。じゃあ話の続きはお茶の後でー」

「……畏まりました。入れ」


 ブルブスさんの声に、いい香りのするお茶と美味しそうなお菓子が運ばれてきた。


「いっただっきまーす」

「では我々も……」

「……うむ」

「い、いただきます……」


 お茶を飲んで、お菓子を一口。

 正直頭の中がぐるぐるしていて、味はよくわからない……。

 でも少しでも落ち着くために、私は目の前のお茶をゆっくりと飲み続けるのだった……。

読了ありがとうございます。


ルームスの運命や如何に。


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アーテル先生の正体がついに! 魔法の発展していた古代から生きていたんですね。 道理で色々な魔法や魔道具について詳しい訳でした。 アドウェルサ、開発した生体兵器が制御を受け付けなくなって…
[一言] 国を陰から守ってた、大賢人!?
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