第八十七話 虹の初級回復魔法
虹の初級回復魔法を習得するべく、練習を重ねるアルクス。
しかしその道は容易ではないようで……?
どうぞお楽しみください。
「……あの、まもなく王都に到着しますが……」
「う、わ、わかりました……」
駄目だったー!
寝ないでずっと虹の初級回復魔法を練習したのに、一回も成功しなかった!
わかったのは、相性のいい色と悪い色があるって事……。
緑と赤とか、青と橙とかは、二色で重ねただけでも崩れちゃう。
そうすると重ねていくしかないけど、そうすると七色揃う前に潰れちゃう……。
虹の七色は太陽の光……。
先生はそれだけ教えてくれた。
それは一体どういう意味なんだろう……。
「あの、少し休んだ方が……」
「いえ、大丈夫です……! 何としてでも虹の初級回復魔法を習得しないと……!」
ブルブスさんが夜中中馬車を走らせたのは、国王様の病気が一刻を争うからだろう。
お城に着いたらすぐ治療しないと……!
でも七色の付与を全部同時に使う方法が思い付かない……!
ぶっつけ本番……?
でもそれで失敗したら……!
国王様が手遅れになったら……!
「焦るなアルクス。焦りが状況を良くする事はまずない」
「先生!? 寝てたんじゃ……?」
ずっと座って黙ってたから、寝てるかと思ってた!
仮面だからわからないんだよね……。
「考え得る色の組み合わせは全部やっただろ? なら使ってない色を使うんだよ」
「使ってない色なんて……」
「あるだろ? お前と共にずっとあった色が」
「あ……!」
何も付与していない初級回復魔法……!
薄い白……!
そうか! これを基礎にして、上に七色を乗せれば……!
重ねるんじゃなくて、横に並べて……!
「あ……!」
「な、七色が……!」
「やればできるじゃないか」
できた! できた!
これで国王様を助けられる!
……わっ!? 崩れた!
「気を抜くなー。やりやすくなったとは言っても、合計八色を制御するんだ。とにかく集中しろー」
「わ、わかりました……!」
「と、とにかく成功したんですから、寝てください。王城に着いたら起こしますから」
「ありがとう、ございます……」
成功した安心感と、ずっと起きてた反動で、柔らかい椅子が私を眠りに誘う。
大きくあくびをすると、私は身体を背もたれに預けた。
「ラエダ。私も少し眠る。着いたら起こしてくれ」
「かしこまりました。私はカルースと交代したばかりですから、お任せください」
「頼む、ぞ……」
あ……、ブルブスさんも、御者の人に声かけたら目をつぶった……。
私の練習中も頑張って起きてたもんね……。
仕方ない、よね……。
「おやすみアルクス」
「あ、お、おやすみ、なさい……」
あれ……?
先生は、寝ないの、かな……?
途中で、寝てたの、かな……?
でも私の、練習、全部、見てたっぽいし……?
……あぁ、駄目だ……。
もう眠くて、眠、くて……。
読了ありがとうございます。
いよいよ虹の初級回復魔法成功!
国王の病気は治せるのか?
次回もよろしくお願いいたします。




