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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
赤の章

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第八十三話 情けない勇気

ブルブスの頼みで王都で国王の治療に向かう事になったアルクス。

しかし不安は尽きないようで……?


どうぞお楽しみください。

「先生!」

「よぉアルクス。……院長はいないな?」

「え、あ、中にいますけど呼んで来ます?」

「いや違う。今ここにいないなら良いんだ。じゃあ身体を成長させる付与を教えるぞ」

「お願いします!」


 元の身体に戻ったら、王様の治療のために王都に行く。

 ……うぅ、緊張する!


「何だ? 別に失敗しても身体が爆発したり性別が変わったりしないから安心しろよー」

「そんな心配はしてません!」

「そうそう、その意気だ。じゃあ緑半分、赤と藍で残りを埋める感覚でやってみろ」

「は、はい!」


 言われた通りにやると、おぉ!?

 身体が伸びてくる!

 だぼだぼでもいつもの服を着ておいてよかった……!


「よーし。そんじゃこれで」

「ま、待ってください!」

「どうしたアルクス?」

「あの、えっと……」


 ……王都に付いてきてほしいとか言っちゃ駄目かな……?

 先生が側にいてくれたら、何か困った事になっても助けてくれそうな気がする……。


「何だ? どうした?」

「……あの……。な、何でもないです……」


 ……そんな事言ったら、ただでさえ子ども扱いされてるのに、もっと子ども扱いされちゃう……!


「おーいアルクス」

「わぎゃ!? な、何ですか!?」


 いきなり頭を撫でないで!


「何か言いたい事があるなら言え」

「……でも……」


 もしそれで先生から呆れられたり見放されたりしたら……!


「お前、俺の心がわかるのか?」

「え……?」

「わからないだろ? わからないから怖くなる。だが聞いてしまえば、答えは決まる。決まった答えは事実でしかない」

「あ、あの、でも……」

「それが最悪の答えだったら、か? そんなもの、形にさえなってしまえば、謝るなり誤解を解くなり、対応のしようが見えてくるだろ?」

「あ……」


 そうか……。

 勝手に怖い事考えて、臆病になってるだけだ。

 先生ならひどい事はしないって信じてるはずなのに……!


「……あの、ルームスとの件を調べに来た『王国の盾』のブルブスさんから、王様の病気を治してほしいって言われて……」

「ほう、宮廷法術士が匙を投げたか」

「……はい。でも先生が教えてくれたこの付与なら、もしかしたらって思って……」

「おぉ、実際に見てないから確証はないが、七色揃った今のお前に治せないって事はまずないだろうな」

「……!」


 やっぱり先生の言葉は暖かい……!


「でも、もし私が緊張してうまくできなかったら、大変な事になるって思うと、余計に緊張して……」

「で? お前はどうしたいんだ?」

「……」


 勇気を、出そう!

 情けない事を、ちゃんと言う勇気を……!


「……怖いんです。だから、先生……。一緒に来てください……!」

「ふーん……」


 にやっと笑う先生……。

 ……馬鹿にするなら馬鹿にして!

 でもそれでも先生がいてくれたら……!


「良いぜ。ついて行ってやる」

「ほ、本当ですか!?」

「こんな事で嘘ついてどうすんだ。お前の頑張り、ちゃんと見守ってやるよ」

「ありがとうございます!」


 先生がいる。

 ただそれだけで、もうどんな病気でも治せる気がする!

 さっきまで怖かったブルブスさんが来るのが、やけに待ち遠しく感じた……。

読了ありがとうございます。


あらあらうふふ。


次回もよろしくお願いいたします。

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