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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
赤の章

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第七十七話 赤の初級回復魔法

アーテルが刺された怒りで、赤の初級回復魔法に目覚めたアルクス。

その怒りはルームスへと向けられて……?


どうぞお楽しみください。

「ぐはっ!?」


 私の右の拳が、にやにや笑うルームスの頬を殴る。

 吹っ飛んだルームスが地面に転がった。


「な……! んなぁ……!? いた、痛い! 痛い! アルクス! 貴様何をした! うぐ……! 痛いぃ!」


 尻餅をついた姿勢でわめくルームスに駆け寄る。


「や、やめろ! 誰に手を出してるかわかっているのか! ひぃ!」


 振りかぶった拳は、ルームスが反射的に顔を庇った腕の盾に当たった。


「ひぎぇ! う、嘘だ! 僕の、僕の盾が! 手甲が! 法術士の腕力じゃない!」


 盾を割り、手甲にひびを入れた私の拳が裂け、血が滴る。


「も、もうやめろ! その拳じゃもう……、な、治った!?」


 緑の初級回復魔法と同時に藍の初級回復魔法を発動する。


「ぎゃあ! ば、化け物ぉ!」


 外れた拳が壁を砕いた隙に、ルームスが転がるように逃げ出す。


「ひゃ!? な、何で前に……!?」


 黄の初級回復魔法で回り込んで、前にポルポラさんがしたみたいに鎧を掴んで立たせる。


「はがっ! ごほっ! げふっ! ぶはっ! へぎっ! どほっ! あがっ!」


 壁に叩きつけ、殴る。殴る。殴る。

 拳は藍の初級回復魔法で保護してある。

 赤と黄の初級回復魔法で筋肉が上げる悲鳴を、緑と橙の初級回復魔法で黙らせる。

 動きを邪魔しようとするだるさを、青の初級回復魔法で汗にして追い出す。

 付与の切り替えで減ってきた魔力は、紫の初級回復魔法で補う。


「……。……。……」


 目の前のルームスは、鎧が砕け、声も上げなくなった。

 触れてる拳から、命が尽きようとしているのを感じる。

 ふざけるな。

 こんな簡単に終わらせはしない。


「……ぅ……。はっ!? え、い、痛みが消えた? ぐはっ!」


 緑の初級回復魔法で治して、更に殴る。

 私の一番大切なものを奪った。

 こんなものじゃすまさない。


「あ、アルクスちゃん……?」

「も、もうおやめよ……」

「こ、殺しちまうよ……」


 邪魔しないで。

 今の私はたとえ誰であっても、邪魔をされたら殴ってしまうから。

 ルームスに私の怒りを思い知らせた上で、地獄に落とすまでは。

 回復。

 殴る。

 回復。

 殴る。

 回復。殴る。回復。殴る。回復。殴る。回復。殴る。

 回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復殴る回復


「そこまでにしとけー」

「!?」


 あり得ない。

 聞こえるはずがない。

 でも一番聞きたかった声に、手が止まった。


「……先、生……?」


 振り返りたい。

 でも身体が動かない。

 もしそれが私の願望から生まれた幻聴だったら……!

 倒れた先生をもう一度見てしまったら……!


「赤の初級回復魔法を覚えたのは良いが、ちょっとやりすぎだな」

「!」


 ぽんと頭に置かれた手。

 見上げればいつもの仮面と、にやりと笑う口元。

 ……先生……!


「お、おい、どうした?」

「べんべぇ、びぎでる……! べんべぇが、びぎでる……!」

「服に顔を埋めて喋ったら、何が何だかわからん。ま、とりあえず生きてるぞー」


 よかった……!

 どうしてかはわからないけどよかった……!

 あ、れ……?

 安心したら、急に、眠く……。


「おいアルクス? アル ク  ス

読了ありがとうございます。


スゲーッ爽やかな気分だぜ

新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ~ッ




僕と握手ッ!


次回もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良かった、やっぱりアーテルさん生きてた! ということは、アレは幻覚じゃなくて実物だった……? 幻覚だと殴れないですしね、すっきりしました! [気になる点] アルクスちゃん、魔力を外部から…
[一言] な、なぜ目の前に… まるで時間が止まったような… う、腕が〜〜〜! な、治ってる! でも形が変だな! スターダイヤモンド(笑)
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